空母打撃群
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ジョージ・ワシントン」CVBG(2003年

空母打撃群(くうぼだげきぐん、英語: Carrier strike group, CSG)は、航空母艦(空母)を中核とする機動部隊の戦術単位の一つ[1]アメリカ海軍では、従来は空母戦闘群 (CVBG) と称されていたが、2004年10月1日より改称した[2]

イギリス海軍も、「クイーン・エリザベス」を中核とする機動部隊を西太平洋に派遣するにあたっては、同様の部隊名 (CSG21) を採用した[3]。またその他にも、中国などが空母を中核とする機動部隊を編成した場合にも、公式または非公式に空母打撃群と称される場合がある[4]
アメリカ海軍
来歴

アメリカ海軍は、当初は艦の整備や要員の練成など後方での練度管理を重視して、航空機、水上艦、潜水艦というプラットフォーム別の「タイプ編成」を行っていた[5]。空母についても同様で、1930年より空母戦隊(Carrier division)が編成された[6]。このような建制とは別に、実際の戦闘に臨む際には複数艦種を適宜に連携させる必要があることから、太平洋戦争が始まると、真珠湾攻撃時に難を逃れた航空母艦を中核として、巡洋艦駆逐艦を護衛とした空母任務部隊(Carrier task force, CTF)が編成された[7][注 1]

1970年代に入ると、まず建制としての航空戦隊が空母群(Carrier group)に改編された[6]。そして1974年ホロウェイ大将海軍作戦部長に就任すると、より抜本的な改編の一環として、事態対処を重視した「任務編成」への移行が進められることになり、1977年には戦闘部隊(Battle force)および戦闘群(Battle group)の編制が導入された[5]。これはいわば空母任務部隊の常設化であり、それぞれのナンバー艦隊に配属された戦闘艦はその艦隊の戦闘部隊に所属し、そしてそれぞれの戦闘部隊は空母1隻を中核とする戦闘群に細分化されることとなった[5]

これらの空母戦闘群(Carrier battle group, CVBG)は、空母機動部隊の最小単位として常時洋上に複数展開し[8]、「制海」および「対地戦力投射」というアメリカ海軍の2大任務を遂行し続けてきた[9]

その後、冷戦終結後の戦略環境の変化に伴い、特に対地戦力投射が重視されるようになったことを反映して、2004年10月1日より空母打撃群(CSG)と改称された[2]
指揮系統

CSGの司令官としては、通常、艦艇または航空職域の下級少将(Rear admiral lower half, RDML)が任ずる[2]。その直属の部下として、空母艦長、空母航空団司令、駆逐隊司令、またグループに割り当てられた各艦の艦長がいる[2]。このため、CSGの司令官は、単艦レベルの訓練から複数の部隊にまたがる訓練および割り当てられた艦・部隊の即応性、更には管理面や補給品にも責任を有している[2]。戦闘において、CSG司令官は、複合戦指揮官(CWC)としてCSG全体を指揮する[2]

CSG司令官に対する作戦上の指揮権は固定されたものではなく、各時点でCSGが所在する海域を担任する艦隊司令官の指揮下に入る[2]。例えば第7艦隊では、横須賀海軍施設を母港とする「ロナルド・レーガン」を中核としてCSG 5 (Carrier Strike Group 5) を編成するが、その司令官は、同艦隊の戦闘部隊(CTF 70)の司令官を兼任する[10]。ただし2010年代後半には、本来なら東太平洋を管轄する第3艦隊が指揮するCSGが、第7艦隊に編入されないままで西太平洋やインド洋に展開する「サード・フリート・フォワード」も行われるようになっている[11]

一方、管理上の指揮権は、それぞれの兵力について上級指揮官が存在する[2]。例えば空母および空母航空団は太平洋・大西洋それぞれの艦隊航空司令官 (COMNAVAIRFOR) 、水上戦闘艦は太平洋・大西洋それぞれの艦隊水上司令官(COMNAVSURF)の管理下にある[2]
編成

CVBGは、空母およびその航空団、護衛艦およびその搭載武器システムにより、対空・対地・対水上および対潜のいずれの分野においても優れた戦闘能力を備えている[9]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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