穀物(こくもつ、英: cerealsあるいはgrain)は、植物から得られる食材の総称の一つで、澱粉質を主体とする種子を食用とするもの。狭義にはイネ科作物の種子(米や麦やトウモロコシなど)のみを指し、広義にはこれにマメ科作物の種子(豆)や他科の作物の種子を含む[1][2]。 イネ科作物の種子を禾穀類(かこくるい、Cereals、シリアル)[1]といい、マメ科作物の種子を菽穀類(しゅこくるい、Pulses)[1]という。広義の穀物のうち、禾穀類の種子(単子葉植物であるイネ科作物の種子)と似ていることから穀物として利用される双子葉植物の種子をまとめて擬禾穀類あるいは擬穀類(疑似穀類、Pseudocereals)と呼ぶ[2][3][4]。擬穀類には、ソバ(タデ科)、アマランサス(ヒユ科)、キヌア(キノア、アカザ科)などが含まれる[2][5]。国連食糧農業機関では禾穀類に擬穀類を加えシリアルとまとめている。豆は別集計、大豆はさらに油糧作物として集計している。 生産量ではトウモロコシ、小麦、米が突出しており[6]、これら3種は世界三大穀物と呼ばれている[7]。 穀物が含む栄養素は主に炭水化物である。タンパク質や脂肪も含まれるものの穀物の摂取だけでは不足しがちなため、多くの文化圏において穀物はタンパク質を補うための豆類とセットで栽培され、消費されてきた[8]。たとえば、アジア地域における「米と豆」、中近東における「小麦と豆」、アメリカ州における「トウモロコシと豆」の組み合わせである[9]。@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .mod-gallery{width:100%!important}}.mw-parser-output .mod-gallery{display:table}.mw-parser-output .mod-gallery-default{background:transparent;margin-top:.3em}.mw-parser-output .mod-gallery-center{margin-left:auto;margin-right:auto}.mw-parser-output .mod-gallery-left{float:left;margin-right:1em}.mw-parser-output .mod-gallery-right{float:right}.mw-parser-output .mod-gallery-none{float:none}.mw-parser-output .mod-gallery-collapsible{width:100%}.mw-parser-output .mod-gallery .title,.mw-parser-output .mod-gallery .main,.mw-parser-output .mod-gallery .footer{display:table-row}.mw-parser-output .mod-gallery .title>div{display:table-cell;text-align:center;font-weight:bold}.mw-parser-output .mod-gallery .main>div{display:table-cell}.mw-parser-output .mod-gallery .gallery{line-height:1.35em}.mw-parser-output .mod-gallery .footer>div{display:table-cell;text-align:right;font-size:80%;line-height:1em}.mw-parser-output .mod-gallery .title>div *,.mw-parser-output .mod-gallery .footer>div *{overflow:visible}.mw-parser-output .mod-gallery .gallerybox img{background:none!important}.mw-parser-output .mod-gallery .bordered-images .thumb img{outline:solid #eaecf0 1px;border:none}.mw-parser-output .mod-gallery .whitebg .thumb{background:#fff!important} 現代において世界で栽培される穀物は、ほぼ7地域(近東、アフリカ(サヘル地帯及びエチオピア高原)、中央アジア、中国雲南省?東南アジア?インド北部、中国北部、中央アメリカ、南米のアンデス山脈)を起源としている。これらの地域は農耕文明の発祥地と重なっている[10]。 近東地域(中近東)は穀物の栽培化が世界で最も早かった地域であり、コムギ、オオムギ、ライムギ、エンバクといった世界でも重要な地位を占める穀物が栽培化された地域である。アフリカのサヘルからエチオピア高原にかけては、世界に広まったモロコシをはじめ、シコクビエやトウジンビエ、フォニオやテフなどが栽培化された。中央アジアではソラマメ、ヒヨコマメ、レンズマメが栽培化され、中国雲南省?東南アジア?インド北部においてはイネを筆頭としてソバやハトムギが、中国北部においてはキビ、ヒエ、ダイズ、アズキが栽培化された。中央アメリカにおいてはトウモロコシが栽培化された。南アメリカ・アンデスにおいては、アマランサスやキノアの栽培化が行われた[10]。 栽培化される前は、穀物の多くは播種のために熟すると種子が穂から脱落する性質(脱粒性
概要
トウモロコシ(ハンガリーで撮影)
フランスの小麦畑
イネの穂
様々な豆類(カトマンズにて)
歴史古代エジプトで描かれた小麦の収穫.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{display:flex;flex-direction:column}.mw-parser-output .tmulti .trow{display:flex;flex-direction:row;clear:left;flex-wrap:wrap;width:100%;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{margin:1px;float:left}.mw-parser-output .tmulti .theader{clear:both;font-weight:bold;text-align:center;align-self:center;background-color:transparent;width:100%}.mw-parser-output .tmulti .thumbcaption{background-color:transparent}.mw-parser-output .tmulti .text-align-left{text-align:left}.mw-parser-output .tmulti .text-align-right{text-align:right}.mw-parser-output .tmulti .text-align-center{text-align:center}@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{width:100%!important;box-sizing:border-box;max-width:none!important;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow{justify-content:center}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{float:none!important;max-width:100%!important;box-sizing:border-box;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow>.thumbcaption{text-align:center}}アワの原種であるエノコログサの穂。栽培種であるアワに比べ、種子の脱落性があり実が小さく数も少ない。アワの穂。原種のエノコログサに比べ、実が大きく数も多い。
栽培化
野生の穀物の粒は小さく、収穫しにくく、さらに加工しなければ消化もしにくいため、広く穀物を利用するようになるには石器の登場が必要であった[14]。石を原料とした器は旧石器時代のうち、4万年から1万2千年ほど前の間に出現したが、定期的な穀物の収穫は1万2千年前のナトゥフ文化にみられる[14]。ナトゥフ文化では野生の小麦、大麦、ライ麦を収穫し、ヤンガードリアス期に畑を作り穀物を蔵に保管するようになると、穀物を守るようにして野生の猫もそこに集まるネズミを狙った[15]。
なお穀物の栽培化においては、もともと栽培化されていた穀物とは別に、それらの穀物の栽培の過程において畑に紛れ込んだ雑草が、本来の穀物に紛れて、または押しのけて成長する中で穀物として栽培されるようになっていったものがある。