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この項目では、時間の単位について説明しています。角度の単位については「秒 (角度)」をご覧ください。

びょう

seconde
second

原子時計
記号s (sec, sec. などではない)
国際単位系 (SI)
種類基本単位
時間
定義秒(記号は s)は、時間のSI単位であり、セシウム周波数 ?νCs、すなわち、セシウム133原子の摂動を受けない基底状態の超微細構造遷移周波数を単位 Hz(s-1 に等しい)で表したときに、その数値を9192631770 と定めることによって定義される
由来平均太陽日LOD)の1/86400
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秒(びょう、: second, : seconde 、記号 s)は、国際単位系 (SI) における時間単位である。他のとは関係せず完全に独立して与えられる7つのSI基本単位の一つである[1][2]。秒の単位記号は、「s」であり、「sec」などとしてはならない(秒#表記)。

「秒」は、歴史的には地球の自転の周期の長さ、すなわち「一日の長さ」(LOD[3])を基に定義されていた[4]。すなわち、LODを24分割した太陽時を60分割して「」、さらにこれを60分割して「秒」が決められ、結果としてLODの86400分の1が「秒」と定義されてきた。しかしながら、19世紀から20世紀にかけての天文学的観測から、LODには10−8程度の変動があることが判明し[5]、時間の定義にはそぐわないと判断された。そのため、地球の公転周期に基づく定義を経て、1967年に、原子核が持つ普遍的な現象を利用したセシウム原子時計が秒の定義として採用された。

なお、1秒は偶然にも人間の標準的な心臓拍動の間隔に近い[5]
定義

「秒」は、2019年5月以降、以下のように定義されている。秒(記号は s)は、時間の SI 単位であり、セシウム周波数 ?νCs、すなわち、セシウム 133 原子の摂動を受けない基底状態の超微細構造遷移周波数を単位 Hz(s−1 に等しい)で表したときに、その数値を 9192631770 と定めることによって定義される[6][注 1]

この定義を受けて、日本の計量法においては「セシウム133の原子の基底状態の二つの超微細準位の間の遷移に対応する放射の周期の9192631770倍に等しい時間」(計量単位令別表第一第3項)と定義されている[7]
表記
単位記号

秒の単位記号は、小文字立体の「s」である[8]。しばしば「sec」や「sec.」と書かれることがあるが、これらの表記は国際単位系および日本の計量法では認められておらず、誤りである[9][10]
漢字表記

漢字「秒」の本来の意味は、小麦や稲などの穂先の堅い毛すなわち芒(のぎ)のことである。そこから、わずかなもの、微細なものの意味となった[11]。『孫子算経』では、小数の位取りに「秒」を用い、「(毫)」の10分の1(すなわち0.0001、1万分の1)を「秒」としている[12]時代にこの秒は「」に置き替えられた。時代に西洋の時法が伝わったとき、わずかな時間である「second」に「秒」の字が宛てられた。
歴史「時計の歴史」も参照
機械時計成立以前の秒

古代のバビロニアそして中国では、1日を12等分する時間を設け、これを日時計による観測で確認をしていた[13]。また、少なくとも紀元前2000年頃にはエジプトでは1日をに分け、それぞれを12の時間単位で区切っていた[13]。これは不定時法と呼ばれ、季節による昼や夜の長さ変動から、それら時間単位の実際の長さは一定していなかった。古代ギリシアヒッパルコス(紀元前150年前後)と古代ローマクラウディオス・プトレマイオス(150年前後)は、それぞれ1日を六十進法で細分し、平均化された1時間(1日の24分割)や、1時間の単純な分数(1/4や2/3など)そして時間の度合い(現代の「分」にも通じる1日の360分割)などを用いたが、これらは現代の分や秒とは異なっていた[14]

六十進法の定義によって分けられる1日は 1/60のn乗の時間区分を設けていくことになるが、300年頃のバビロニアでは少なくとも(1/60)6までの分割(2マイクロ秒よりも短い)を行っていた。ただし、そのようなごく短い時間単位を基準に用いていた訳ではなく、例えば1年という時間を細分単位で表すような場合には1日の60分割単位を基礎としていた。バビロニアでは1日を360分割した she という単位(現代の4分に相当する時間)、これをさらに72分割した helek という単位(現代の10/3秒に相当する時間、ユダヤ暦の「ヘレク」と同じ)を使っていた[15]。彼らはこれらの単位時間を正確に測定を行う手段は持っていなかったが、計算で、例えば1朔望月の平均時間を六十進法で29;31,50,8,20日(≒29.5305941358 日)という値を得ていた。この計算方法はヒッパルコスとプトレマイオスが使っていた方法である。この「ヘレク」は1080分の1時間であり[16]ユダヤ暦では、平均月を29日と12時間793ヘレク(英語版)(=29日と12.734時間)とする。

西暦1000年、ペルシア人の学者アブー・ライハーン・アル・ビールーニーは、新月となる週に、日曜日正午を基準点とした「日、時、分、秒」さらに秒より細かな2段階の区分を施した[17]。1267年にはロジャー・ベーコンが、満月日の正午を基準に「時(horae)、分(minuta)、秒(secunda)」さらに細かな tertia と quarta へ分けた[18]。これら「秒」を60分の1に細分する用語「third」は、現代のポーランド語「tercja」やトルコ語「salise」に残っているが、通常は小数点以下2桁で示される。またこの「third」に相当する漢字の単位名称は現代ではまず用いられないが、中国・日本の西洋時法伝来以降の古文献では「微」が用いられた。

現代英語の「second」は、元々「第二の分」「次の分」を意味する「second minute」と呼んでいたことを由来とする[11]。それに対して分のことは「第一の分」を意味する「prime minute」と呼んでいた。すなわち、1時間に対する第1の分割、第2の分割という意味である。
秒表示を持つ機械時計

時計が秒単位を表示するようになった初期の例は、16世紀後半に現れる。1560?1570年のフレマースドルフ・コレクション[19]には、秒針を持つねじ式時計がある[20][21]。同じ頃、タキ・アルジン(英語版)は5秒刻みの表示をする時計を製作した[22][23]。1579年にはヨスト・ビュルギヴィルヘルム5世の依頼を受け、秒を示す時計を作った[24]。1581年にはティコ・ブラーエ天文台の時計を改修した際にと秒の表示を加え、1587年に彼は、この時計は4秒の狂いしか生じなかったと述べた[25]

秒表示の正確性は、振り子時計が発明され、日時計による見かけ時間の表示から平均時を表すことができるようになって向上した。特に1670年にビル・クレメント(William Clement)がクリスティアーン・ホイヘンスの時計に秒振り子(英語版)を加えた事が顕著に貢献した[26]。ロングケース・クロック(英語版)の秒振り子は一往復で2秒を示し、片方からもう一方へ振れる際に鳴る機械音が1秒毎の時間を刻んだ。そして、精密時計の文字盤には1分間で一周する秒針が加えられるようになった。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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