神饌
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.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}この項目には、一部のコンピュータや閲覧ソフトで表示できない文字が含まれています(詳細)。高千穂河原に奉げられる神饌

神饌(しんせん)とは、日本神社神棚に供える供物のこと。御饌(みけ)あるいは御贄(みにえ)とも呼ばれる。
概要

一年の節目に行われる日本の祭祀神事祭礼から成り立っており、神事の際はその土地の人々が特別な恩恵を享受した食物を神饌として捧げ、神迎えを行ってきた。

捧げられる神饌は主食に加え、、海の幸、山の幸、その季節に採れる旬の食物、地域の名産、祭神と所縁のあるものなどが選ばれ、儀式の終了後に捧げたものを共に食することにより、神との一体感を持ち、加護と恩恵を得ようする「.mw-parser-output ruby.large{font-size:250%}.mw-parser-output ruby.large>rt,.mw-parser-output ruby.large>rtc{font-size:.3em}.mw-parser-output ruby>rt,.mw-parser-output ruby>rtc{font-feature-settings:"ruby"1}.mw-parser-output ruby.yomigana>rt{font-feature-settings:"ruby"0}直会(なおらい)」と呼ばれる儀式が行われる。

2015年現在では、1871年(明治4年)に打ち出された祭式次第に準拠した生饌と呼ばれる、素材そのものを献供する丸物神饌が一般的になったが、それ以前には熟饌とよばれる、調理や加工を行った、日常生活における食文化の影響が窺えるものも神饌として献供されていた。そして、一部の神社では伝統に則ってこの形式の神饌の献供が引き継がれており、これらの神饌は他の地域に見られない特徴を有することから、特殊神饌とも呼ばれる。

2015年現在、特殊神饌の献供を行う神社は全国各地に存在するが、代表的な例として、以下のような神社、神饌が挙げられる。

伊勢神宮 神嘗祭「由貴大御饌」 - 三重県伊勢市

石清水八幡宮 石清水祭「供花神饌」 - 京都府八幡市

賀茂別雷神社 賀茂祭 御阿礼神事(みあれしんじ) 「内陣神饌」「外陣神饌」「庭積神饌」 - 京都府京都市

賀茂御祖神社 賀茂祭 御蔭神事 - 京都府京都市

和布刈神社 和布刈神事(めかりしんじ)「福増(ふくそう)」「歯固(はがため)」「力餅(ちからのい)」 - 福岡県北九州市

老杉神社 エトエト祭「行(おこない)」 - 滋賀県草津市

北野天満宮 梅花祭「梅花御供」 - 京都市上京区

美保神社 青柴垣神事 - 島根県松江市

日吉大社 山王祭 「粟津の御供」 - 滋賀県大津市

彌美神社 例大祭「御膳」 - 福井県三方郡美浜町

率川神社 三枝祭 - 奈良県奈良市

阿蘇神社 御田植神幸式 - 熊本県阿蘇市

田出宇賀神社 熊野神社 田出宇賀神社の祇園祭と熊野神社の例大祭「七行器(ななほかい)」 - 福島県南会津町田島

諏訪神社 例大祭 - 青森県三戸郡南部町

談山神社 嘉吉祭 「百味の御食(ひゃくみのおんじき)」 - 奈良県桜井市

香取神宮 大饗祭 「大饗祭神饌」 - 千葉県香取市

銀鏡神社 例大祭 「オニエ」 - 宮崎県西都市

春日大社 春日祭 「御棚神饌」「八種神饌(やくさのしんせん)」 - 奈良県奈良市

加茂神社 毎年元旦「鰤分け神事」(射水市無形民俗文化財) - 富山県射水市

白山比盗_社 例大祭 「特殊神饌」[注釈 1] - 石川県白山市

形式
調製

神饌の調製は竃殿(へついどの)(春日大社)、大炊殿(おおいどの)(賀茂御祖神社)など専用の建物がある社はそこで調製を行う。あるいは、特別の施設を持たない社では社務所などを注連縄を用いて外界と分かち、精進潔斎した神職や氏子の手で作られる。火は忌火が用いられ、唾液や息などが神饌にかからないよう口元を白紙で覆う場合もある。また、近親者に不幸があった者は調製に携わることが許されないなど、調製には細心の注意が払われる。春日大社で行われる春日祭などの勅祭では、明治以前には宮中から大膳が参向し、御物の調製にあたった[1]。1884年(明治17年)明治天皇の旧儀復興の命で神饌は特殊神饌に戻されたが[2]、調製は春日大社の神職の手で行われている[1]
御物.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{display:flex;flex-direction:column}.mw-parser-output .tmulti .trow{display:flex;flex-direction:row;clear:left;flex-wrap:wrap;width:100%;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{margin:1px;float:left}.mw-parser-output .tmulti .theader{clear:both;font-weight:bold;text-align:center;align-self:center;background-color:transparent;width:100%}.mw-parser-output .tmulti .thumbcaption{background-color:transparent}.mw-parser-output .tmulti .text-align-left{text-align:left}.mw-parser-output .tmulti .text-align-right{text-align:right}.mw-parser-output .tmulti .text-align-center{text-align:center}@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{width:100%!important;box-sizing:border-box;max-width:none!important;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow{justify-content:center}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{float:none!important;max-width:100%!important;box-sizing:border-box;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow>.thumbcaption{text-align:center}}一般生活に浸透した代表的な神饌には鏡餅がある[3]香取神宮御田植祭に供えられた神饌(千葉県

誠心誠意を込めて、出来得る限りのことを尽くすという概念が根底にあるため[4]、季節や地域によって奉げられる内容は変化に富む。初物は神饌として神前へ奉納するまで食べないという風習が残る地域があることからも[5]、季節に応じて旬の食材などから御物を選び、それを奉げるといった考え方がうかがえる。
穀物

日本人は稲作の伝来以降、春に田を耕し、秋に収穫を得る生活を社会の基盤とし、米には稲魂が宿ると考え、米と深い関わりを持って生活をしてきた[6]。そのため、飯や、餅、酒などの米から作られる食物は神饌の中心として頻出し「お神酒のあがらぬ神はなし」と評されるほどだが[7]、特定の形式を有する儀式ではないため、穀物ですら形式は統一されていない。米以外の穀物を神饌として奉げる地域も存在し、沖縄の伊良部島では稲作に適さない石灰質の土壌のため、粟などの穀物から作られた「ンマダリ」と呼ばれる神酒や餅が奉げられている[8]。また、静岡県磐田市の府八幡宮や岡山県岡山市の吉備津神社などでも粟や黍を神饌として奉げる風習がある。これらは土壌や水源などの要素の他に、稲作の定着以前の食文化を残しているとして、民俗学的に貴重な事例とする説もある[8]。米は「粢(しとぎ)」と呼ばれる粉末状に加工され、発酵させては酒になり、熱を加えては餅になり、唐から油を用いた調理法が入って以降は「??(ぶと)」や「?餅(まがりもち)」となり、アイヌにも「シト」という餅として伝わり、様々な御物、食物へと発展した[7][9]
特徴的食材

穀物以外の食材では海産物や野菜が多く、鳥を奉げる神社は少なくないが、獣肉を奉げる神社は限られる。『延喜式』第七巻祗七に記載された大嘗祭の品目によると、神酒の他に鰒、烏賊、いりこ、魚?(いおのきたい)、胎貝、堅魚(かつお)、興理(より)、刀魚(といお)、などの海産物、海菜(もは)、昆布(ひろめ)海松(みる)、紫菜(のり)などの海藻類、梨子橘子などの果実、未豆子(ふきまめ)、大豆、小豆などの豆類、搗き餅、捻り餅、勾り餅などの餅類、おこし米などが奉げられたと記録されている[10]。第五巻祗五の斎宮の品目には、米、栗、白酒、黒酒、油などに加え鰒、堅魚、烏賊、螺(さざえ)年魚(あゆ)などの記録があり[10]、この内、堅魚、年魚、鮒については、煮た堅魚、塩煮の年魚、醤煮の鮒など、調理方法の記録もある[10]

禁葷食を求められる神饌がある一方、賀茂別雷神社ではニンニクが奉げられ、獣肉を奉げる例としては、銀鏡神社で行われている「オニエ」と呼ばれる、その年に狩猟された猪の頭部を奉納する儀式で奉げられる神饌がある。あるいは、護国神社などの実在した人物を祀る神社では、ビールや煙草といった既製品が奉げられる場合もあり、これらもまた神饌である[11]

その土地の特産品や古事にあやかった神饌が奉げられることも多く、それらは現代に受け継がれ、その土地独特の神事として形を残している場合がある。例として奈良県の牛蒡喰神事、島根県の茄子神事、滋賀県の胡瓜祭り、京都府の山葵祭り、イタドリ祭り、福島県の生姜祭り、秋田県の牛尾菜祭り、長野県のウド祭り、東京都のスモモ祭りなどがある[5]

豊かな実りを表す食材の他にも、福井県三方郡美浜町にある彌美神社、青森県三戸郡南部町にある諏訪神社、島根県松江市にある美保神社などでは野老(ところ)とよばれる[注釈 2]、日常的には食べない食物が奉げられている[12][13]


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