神棚(かみだな)は、主に神道において、家や事務所などにおいて(一般的には神札を納めて)神を祀るために設ける棚。 一般的な神棚は伊勢両宮を祀るもので[1]、小型の神社を摸した宮形(みやがた)の中に神宮大麻や氏神札、崇敬神社の神札を入れるもので、これは札宮(ふだみや)といい、狭義にはこれを神棚と呼ぶ。神職の家などの神葬祭を行う家には、祖先の霊をまつるための神棚があり、これは御霊舎(みたまや)という。 神棚のある家では座敷の鴨居の上部に板棚を造って神棚として宮形を据えることが多い[2]。「モダン神棚」と呼ばれるような新たな形態の神棚も登場している。また、埼玉県神社庁は『未来の神棚デザインコンテスト』を開いている。 一方、荒神や稲荷といった系統の違う神を祀る家では、伊勢両宮の神棚とは別の神棚を設けることがある。一般的には多くの家々では、荒神は台所(土間)のかまどの奥の壁に、恵比寿や大黒は勝手の隅に祀られることが多かった[2]。商家などでは恵比寿・大黒の神棚を設けて破魔矢、熊手、だるまなどのさまざまな縁起物を飾ることから「縁起棚」とも言う[1]。歳徳神の恵方棚のように期間を限って設けられる神棚もある[1]。 他に、神札よりも神の依り代としての意味合いが強い「御神体」をまつる神棚もある。その場合は神棚ではなく「御神体」を授与した神社の分社とみなすほうが自然だ、とする考え方もある。 以下、札宮(狭義の神棚)について説明する[3]。 神棚は、できるだけ明るく清浄な場所で[4]、かつ、日当たりや風通しがよく、日々拝むのに適した高い位置に設置するのが良いとされている[5]。方角は南向きまたは東向きに設置するのが基本とされる[5]。また、二階建てであれば本来は二階(上階)に設置するほうが良いとされる[5]。実際には最上階(または上に上階の床のない箇所)の天井近くに最上階への設置が困難な場合があるため「雲板」や「雲文字」が用いられる。「雲板」は神棚を設置する神棚板の上部に取り付けられている雲形に彫刻されている部材である。また、「雲文字」は「雲」、「天」、「空」の木製の抜き文字あるいは紙製の書き文字を天井部分に取り付けるものである[4]。設置場所がなくやむを得ずタンスの上にまつる場合は白い布か白い紙を敷いて神札を置くのが望ましいが[6]、トイレと背中合わせになる場所や、人の出入りが激しい扉の上などは避けなければいけないと言われている。それ以外にも同じ部屋で神棚と仏壇の向かい合わせの設置は好ましくないとされている[7]。神棚は家の中のある意味神社であり、神棚の正中には不浄なものがないようにすることが望ましい[8]。 神棚の中心にあって神札を祀るところを宮形という[5]。 宮形には神明型や片屋根型などがあるが、伊勢神宮正殿を模した神明型が多い[5]。また、宮形は神札を納める場所の数で「一社造」や「三社造」のように分けられる[5]。「三社造」や「五社造」の宮形には、屋根がそれぞれ異なる「屋根違い」のものと屋根が一続きになっている「通し屋根」がある。 一宮形の神棚においては、通常、神札は前から伊勢神宮の札を重ねて入れるのが良いとされるが、たとえば春日大社などは逆に、伊勢神宮の札を奥にするのが良いとしている。 神棚の正面には神鏡、左右に榊を立てた榊立て、灯明を配し、神棚の前方に注連縄をかける[9]。このほか折敷、土器、瓶子、水玉、真榊(まさかき、ミニチュア)、御幣(金幣)などが神具セットに含まれている場合がある。 なお、神鏡を置く理由は諸説ある。神は鏡のようにあるがままを見通すものであるとか、あるいは鏡のように見る人によって違って見えるものであるからそのつもりで神の前に立てという意味であるという説や、自らの中にある神性と向き合えという意味であるとする説、あるいは鏡は太陽の光を反射するように神の光を映すものであるとする説、など。
概説
神棚の設置
神棚の構成
宮形
神具神具としてだるまが飾られることも多い.
神饌(お供え)
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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