神戸層群
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神戸層群
神戸層群の柱状節理断層(兵庫県三木市)
読み方こうべそうぐん
英称The Kobe Group
地質時代古第三紀中期始新世?初期漸新世
絶対年代39Ma-31Ma
分布兵庫県神戸市、三木市、三田市
岩相白色凝灰質岩が中心。植物の密集層や礫岩層を挟在する
産出化石フウやメタセコイア、ドロノキ、ケヤキ、コナラ、ブナなどの植物化石、サイなどの動物化石
変成度弱い?ほぼ無
命名者鹿間時夫
提唱年1938年
模式露頭不明
構成層多井畑層、白川層、藍那層(神戸地域)、有野層、吉川層、淡河層(三田・三木地域)
同時異相岡山県や香川県に存在
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神戸層群(こうべそうぐん)は、淡路島北部から現在の神戸市西区須磨区から淡河吉川三田あたりまでの北神地区周辺を中心として広がる地域に、新生代古第三紀始新世末から漸新世にかけて形成された地層。保存の良い海生・淡水貝化石や陸生植物の葉や化石が産出することで広く知られる。
概要

現在の淡路島北部の一部より、六甲山の西端に沿うように、塩屋(垂水区)、名谷・白川(須磨区)、丸山(長田区)、鈴蘭台・藍那(北区)あたりまで、ほぼ南北に伸び、その後、東は三田から西は加東市三木市付近に翼を広げるように東西に広がる六甲山と丹生山系にはさまれた大きな丘陵地帯に広く分布。丹生山系は神戸層群ができたあとに隆起し、できたである。

かつて、この一帯には古神戸湖と名づけられている巨大ながあり、現在の神戸市須磨区、北区あたりから三田周辺にまで水をたたえていた。湖にたまった火山灰がかたまってできた凝灰岩泥岩、また河原堆積したが固まることによりできた砂岩礫岩により構成される。基本的に、凝灰岩、泥岩、砂岩、礫岩の4層からなり、全体に白っぽい色をしているのが特徴。白い凝灰岩の分厚い地層が幾重にも重なっており、完全な形の植物化石を多く含む。

長く神戸層群の年代はおよそ1600万年前から1500万年前であると考えられてきたが、1996年通商産業省工業技術院地質調査所の研究結果により、淡路島北部に分布する岩屋層のみが約1600万年前から1500万年前(中期中新世)で、神戸市西部から三田市付近の神戸層群は約3700万年前から3100万年前(後期始新世から前期漸新世)の地層であるとされた。

2000年には大阪市立大学の山本裕雄、石油資源開発の栗田裕司、兵庫県立人と自然の博物館の松原尚志の3名による共同研究の末、淡路島北部の神戸層群の年代がさらに古く3800万年前から3500万年前(中期始新世末から後期始新世)であるとされた(日本地質学会の学会誌「地質学雑誌」第103巻第5号)。これは、野島鍾乳洞の近くの北淡町野島常磐北方の岩屋層で採集された試料の石灰質ナンノ化石および渦鞭毛藻化石の2種類の植物プランクトン化石の分析にて、時代決定に有意義なな石灰質ナンノ化石、渦鞭毛藻化石がそれぞれ3種発見され、それらの年代から明らかになったものである。またこの結果より神戸市西部や三田市周辺一帯は、サイの仲間のアミノドン類が生息するような環境である湖や湿地帯で、淡路島付近はであったことが分った。
累層

神戸層群を形成する累層は以下の通りである(それぞれ、以下の累層が下から上に重なっている。数字は地層の厚み)。
神戸地域


多井畑累層 約90m

白川累層 約120m

藍那累層 約70m

三田地域


有野累層 約175m

吉川累層 約180m

淡河累層 約190m

命名

最初に神戸層群の本格的な研究を始めた古生物学者鹿間時夫による。鹿間は1938年昭和13年)に地質学の雑誌上で論文「神戸層群とその植物群」を発表しており、その中で「神戸層群とは明石海峡付近に発達する第三紀層に対して筆者の与えた名称である」と記している。

その後の研究により、この層が三田から三木にいたる広大なものであることが判明し研究が進んだが、これらすべての地域の地層を含め神戸層群とよばれる。
神戸層群の化石神戸層群が分布する三田市で産出した珪化木
種類・年代

神戸層群の化石のほとんどは古神戸湖が存在していたことからも分るように、に分布していた植物のが中心である。しかし多井畑累殻は海の貝の化石が多く産出していることから、古神戸湖よりも南側一帯までは海であったと考えられている。気候は亜熱帯的気候から温帯的気候に移行しかけていた時期にあたり現在よりも温暖であったと考えられている。日本列島の位置も形状も現在とは大きく異なり、最近の古地磁気学では、1600?1500万年前の日本列島はアジア大陸に現在とは異なりほとんど隣接するように位置し、そのころより日本列島がゆっくりと時計回りに移動を開始し始めた。

当時は亜熱帯的な気候から、現在のような四季の区別が鮮明な温帯的な気候へと移行しつつある時期だと考えられている。現在よりも温暖であったことから、当時の植物相には、中国南部から台湾にかけ分布する亜熱帯性のアデク属、コウヨウザン属、シマモミ属、シュロ属、ヒノキバヤドリギ属、ビロウ属、フウ属メタセコイア属と現在の温帯地方に分布するカエデ属ケヤキ属コナラ属ナナカマド属、ブナ属の大きく2つの種類に分けられる。特に葉の長さが20cmを超えるものもある絶滅したヨコヤマヌマミズキ、チュウシンフウやメタセコイアなども普通に見られる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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