神吉日
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暦注下段(れきちゅうげだん)とは、の最下段に書かれていた日々の吉凶についての暦注である。単に下段ともいう。市販の暦では、下段ではなく行事の欄に記載しているものもある。

迷信的な要素が多く、その弊害も大きいことから、日本では朝廷政府などから3回も禁止され、また識者からの批判も多かった。しかし、なかなか改められず、現在まで庶民の間で根強く生き残っている。
目次

1 一覧

1.1 受死日

1.2 十死日

1.3 五墓日

1.4 帰忌日

1.5 血忌日

1.6 重日

1.7 復日

1.8 天火日

1.9 地火日

1.10 凶会日

1.11 往亡日

1.12 三箇の悪日

1.12.1 大禍日

1.12.2 狼藉日

1.12.3 滅門日


1.13 時下食

1.14 歳下食

1.15 七箇の善日

1.15.1 天赦日

1.15.2 神吉日

1.15.3 大明日

1.15.4 鬼宿日

1.15.5 天恩日

1.15.6 母倉日

1.15.7 月徳日



2 関連項目

3 参考文献

一覧

下段には、以下のようなものがある。

これら下段の暦注は本来、受死日(●)と十死日(十し)は他のものと重複して記載されず、その他のものは1日にいくつも重なることが多く、たまに下段が空欄になることもあるというものである。しかし現在では六曜九星などに押されてマイナーになっていることもあり、現在の市販の暦では、下段自体を記載しなかったり、記載するにしても1日に1つあるいは2つしか記載されなかったり、複数個記載する場合でも、受死日や十死日であっても他のものと重複して記載されたりしている場合も多い。
受死日

じゅしにち、じゅしび。の下段に「●」の印で表されることから黒日ともいう。現在の市販の暦では「●日」と書かれることもある。

この日は最悪の大凶日とされ、この日には他の暦注は一切見る必要がないという。この日に病を患えば必ず死ぬとまで言われる。病気見舞い、服薬、針灸、旅行が特に凶とされているが、葬式だけは差し支えないとしている。

受死日の配当は節切りで、以下のようになっている。

1月戌の日
2月辰の日
3月亥の日
4月巳の日
5月子の日
6月午の日
7月丑の日
8月未の日
9月寅の日
10月申の日
11月卯の日
12月酉の日

十死日

じゅうしにち。には「十し」と書かれることがある。

受死日(黒日)の次に凶日とされ、全てのことに凶とされる。ただし、受死日と違い、葬式も差し支えありとしている。

十死日の配当は節切りで、以下のように、酉・巳・丑の繰り返しになっている。

1月酉の日
2月巳の日
3月丑の日
4月酉の日
5月巳の日
6月丑の日
7月酉の日
8月巳の日
9月丑の日
10月酉の日
11月巳の日
12月丑の日

五墓日

ごむにち。

その日取りは人によって異なり、その人の生まれ年の納音の性によって、次のように決定する。

木性の人乙丑の日
火性の人丙戌の日
土性の人戊辰の日
金性の人辛未の日
水性の人壬辰の日

五墓とは五つの墓のことであり、十二支が土性なので、これら5つの干支の日を五墓日としている。

五墓日はいずれも凶日で、家作りは構わないが、動土・地固め・葬式・墓作り・種まき(播種)・旅行・祈祷などは凶とされる。その名前から、この日にこれらのこと(特に葬式)を行うと、墓を5つ並べる(5人が死ぬ)ことになるとも言われている。
帰忌日

きこにち、きしにち、きこび、きこじつ、きいみび。暦には「きこ」とも書かれる。現在の暦では「きいみ」と書かれることもある。

帰忌とは、天?星(てんぼうせい:りゅう座のβ,γ,ζ,ν星)の精である。この帰忌が地上に降りて来て、人家の門の前で家人が帰って来るのを妨害するとされる日が帰忌日である。大変古い暦注で、正倉院に納められている天平勝宝8歳の具注暦にも「帰忌日、其日遠行、帰家、移徙(わたまし)、呼女、娶婦すべからず」と記載されている。市販のでは、金の貸し借りも凶としている。

帰忌日は節切りで、以下のように配当される。

1月・4月・7月・10月丑の日
2月・5月・8月・11月寅の日
3月・6月・9月・12月子の日

血忌日

ちいみにち、ちいみび、ちこにち。暦には「ちいみ」とも書かれる。

血忌とは、梗河星(うしかい座のρ,σ,ε星)の精で、中国ではこの3つの星を「殺忌」「日忌」「血忌」と呼んで、殺伐の気を司るとしていた。この日は血を見ることが凶で、特に鍼灸、刑戮(死刑執行)、狩猟などが凶とされる。

血忌日は大変古い暦注で、具注暦にも「其日不可針刺出血」と記載されている。

血忌日は節切りで、以下のように配当される。

1月丑の日
2月未の日
3月寅の日
4月申の日
5月卯の日
6月酉の日
7月辰の日
8月戌の日
9月巳の日
10月亥の日
11月午の日
12月子の日

重日

じゅうにち。には「ちう日」と書かれることがある。

重日は、が重なるの日と、陰が重なるの日に配当される。

この日に行ったことは重なって起るとされ、吉事には吉で、凶事には凶とされる。但し、婚礼は再婚に繋がるので良くないとされる。

また月と日の数字が同じ日も重日といわれる。
復日

ふくにち、ぶくび。には「ぶく日」と書かれることがある。

この日に吉事を行えば吉が重なり、凶事を行えば凶が重なるとされる。但し、婚礼は再婚に繋がるので凶である。

復日は節切りで、以下のように配当される。

1月・7月甲(きのえ)と庚(かのえ)の日
2月・8月乙(きのと)と辛(かのと)の日
3月・6月・9月・12月戊(つちのえ)と己(つちのと)の日
4月・10月丙(ひのえ)と壬(みずのえ)の日
5月・11月丁(ひのと)と癸(みずのと)の日

天火日

てんかにち、てんかび。地火日に対応するもので、五貧日ともいう。

五行説では、火気を天火・地火・人火の3つに分ける。このうち天火とは、天の火気が酷しいという意味である。

天火日に棟上げ、屋根葺きなどをすると、必ず火災があるとされている。また、家屋の修理や移徙(わたまし:貴人の転居)に凶とされる。

天火日は節切りで、以下のように配当される。これは、三箇の悪日の一つ、狼藉日と全く同じ配当である。

1月・5月・9月子の日
2月・6月・10月卯の日
3月・7月・11月午の日
4月・8月・12月酉の日

地火日

ぢかにち、ちかび。天火日に対応するものである。

五行説では、火気を天火・地火・人火の3つに分ける。このうち地火とは、大地の火気が酷しいという意味である。

地火日には、動土・定礎・柱建て・井戸掘り・種まき・築墓・葬式などが凶とされる。

地火日は節切りで、以下のように配当される。これは、十二直の「平」と全く同じ配当であるが、地火日で凶としているものが「平」では吉となっており、矛盾がある。

1月巳の日
2月午の日
3月未の日
4月申の日
5月酉の日
6月戌の日
7月亥の日
8月子の日
9月丑の日
10月寅の日
11月卯の日
12月辰の日

凶会日

くえにち、くえび。には「くゑ日」と記載される。陰陽二気の調和がうまく行かず、万事に忌むべき日で、この日に吉事を行うことは凶とされている。市販の暦では「くしえ・くしゑ」となっていることもある。

古い暦注の一つで、具注暦には24種の名称で記載されている。宣明暦には1年に82回記載され、貞享暦で72回に整理された。

凶会日の撰日には諸説あるが、宣明暦時代は節切りで、貞享暦以降は月切り旧暦)による。凶会日は、月毎に特定の干支を定める。下記のうち、括弧書きのものは貞享暦で廃止されたものである。

1月辛卯・(庚戌)・甲寅
2月己卯乙卯辛酉
3月甲子乙丑丙寅丁卯戊辰壬申戊申庚辰甲申甲辰丙申甲辰庚申・(癸亥


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