神の子
[Wikipedia|▼Menu]

本記事ではキリスト教における神の子(かみのこ、ギリシア語: Ο Υι?? του Θεο?[1], ラテン語: Filius Dei[2],ドイツ語: Sohn Gottes[3], 英語: Son of God[4], ロシア語: Сын Божий[5])の概念を主に扱う。

「神の子」はキリスト教において多義的である[6]

三位一体の神(至聖三者)のうち、子なる神(神子:かみこ)、ロゴス(ギリシア語: λ?γο?, 言[7])、神の言(神言[8][5][6][9]

この場合の「神の子」は、「神の独り子」(かみのひとりご、英語: only-begotten Son of God[10])とも呼ばれる[11][12][13][14][15]正教会では「神の独生子(どくせいし)」とも表現される[16])。


イエス・キリストを信じる者(この場合、しばしば「神の子ら」すなわち複数形となる[17][6][9]

その他 - 聖書に登場する様々な「神の子」につき、何を指すのかについて解釈が分かれる箇所がある[6][18]

ラテン語での"Dei Filius"は、カトリック教会で特に第一バチカン公会議で出された教皇令を指して用いられることがあるが[19]、本項では詳述しない。
三位一体の神(至聖三者)のうちの子なる神:キリスト蝋画法によるイエス・キリストイコン6世紀頃、シナイ半島聖カタリナ修道院所蔵)
概要

キリスト教正教会[5]非カルケドン派[20]カトリック教会[21]聖公会[22]プロテスタント[23][24])において、三位一体の神(至聖三者)のうちの子なる神(神子:かみこ)である「神の子」は、受肉(藉身)してイエス・キリストとしてこの世に来たと信じられている。

前述、後述の通り、「神の子」は三位一体の神(至聖三者)のうちの子なる神(神子:かみこ)のみを指すわけではない。この語義であることを特に明確にする場合には、「神からつかわされた者」[25]、「子なる神」[26][27][28]、「神の独り子」[11][12][13][14][15]、「神子(かみこ)」[29]といった表記が使われる。
旧約聖書

「神の子」は、旧約聖書においてメシアの称号でもある。メシアとは「油つけられし者」との意味であり、待望されていた救い主(キリスト教においてはイエス・キリスト)としてのメシアに限定されない称号であるが、注解者によっては旧約聖書の幾つかの箇所につき、「神の独り子」イエス・キリストが預言されていると解釈されることがある[30][31]

たとえば詩篇聖詠)2:7における「(神の)子」は、神の独り子イエス・キリストのことが預言されているとキリスト教においては解釈されることがあり[5][4][32][33]、これは使徒行伝4:25 - 4:27においても示されていると捉えられることがある(ただしそのような解釈をとらない者もあり[30]、同箇所についても様々な解釈がある[34])。
新約聖書

新約聖書においては「神の子」は、待望されていた救い主としてのキリスト(メシア)という称号とともにしばしば用いられている[31]
福音書

福音書において、イエス・キリストを「神の子」と呼んでいる個所として以下が挙げられる[35][36]

マタイによる福音書 - 4:3, 4:16, 8:29, 14:33, 16:16, 26:63, 27:40, 27:43, 27:54

マルコによる福音書 - 1:1[注釈 1], 3:11, 5:7, 15:39

ルカによる福音書 - 1:35, 4:3, 4:9, 4:41, 8:28, 22:70

ヨハネによる福音書 - 1:34, 1:49, 5:25, 5:28, 10:36, 11:4, 19:7, 20:31

上記箇所を分類すると以下のようになる(ルカによる福音書 22:70は二つに分類)。

場面分類聖書箇所
イエス自身が自分を神の子としている場面ルカによる福音書 22:70, ヨハネによる福音書 5:25, 同5:28, 同8:42, 同10:36, 同11:4
記者による記述(台詞ではないもの)マルコによる福音書 1:1, ヨハネによる福音書 20:31
天使がイエスを神の子と呼ぶ場面ルカによる福音書 1:35
弟子などが、イエスを神の子と(認めて信仰告白として)呼ぶ場面マタイによる福音書 14:33, 同16:16, 同27:54, マルコによる福音書 15:39, ヨハネによる福音書 1:34, 同1:49,
悪魔がイエスを神の子と呼ぶ場面マタイによる福音書 4:3, 同4:6, 同8:29, マルコによる福音書 3:11, 5:7, ルカによる福音書 4:3, 同4:9, 同4:41, 同8:28
(皮肉にも[4])イエスを処刑する人々による告発、尋問、嘲笑の中に出てくるもの(イエスを「神の子」とは認めない人々による台詞)マタイによる福音書 26:63, 同27:40, 同27:43、 ルカによる福音書 22:70、ヨハネによる福音書 19:7

また、「神の子」という文言で表現されずとも、三位一体の神(至聖三者)のうち父なる神(正教会では「神父(かみちち)」とも呼ばれる[37])からの声として、イエスが「子」と呼ばれる場面において、イエスが「神の子」であると表現されている箇所がある[4][38]

イエスの洗礼神現)の場面 - マタイによる福音書 3:17, マルコによる福音書 1:11, ルカによる福音書 3:22

イエスの変容顕栄)の場面 - マタイによる福音書 17:5, マルコによる福音書 9:7, ルカによる福音書 9:35


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:40 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef