祈りの幕が下りる時
[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .pathnavbox{clear:both;border:1px outset #eef;padding:0.3em 0.6em;margin:0 0 0.5em 0;background-color:#eef;font-size:90%}.mw-parser-output .pathnavbox ul{list-style:none none;margin-top:0;margin-bottom:0}.mw-parser-output .pathnavbox>ul{margin:0}.mw-parser-output .pathnavbox ul li{margin:0}加賀恭一郎シリーズ > 祈りの幕が下りる時

祈りの幕が下りる時
著者東野圭吾
発行日2013年9月13日
発行元講談社
ジャンルミステリサスペンス
日本
言語日本語
形態四六判変型
ページ数383
前作麒麟の翼
公式サイトbookclub.kodansha.co.jp
コードISBN 978-4-06-218536-3
ISBN 978-4-06-293497-8A6

ウィキポータル 文学

[ ウィキデータ項目を編集 ]

テンプレートを表示

『祈りの幕が下りる時』(いのりのまくがおりるとき)は、東野圭吾の長編推理小説である。2013年9月13日講談社より単行本が刊行された。2016年9月15日に講談社文庫版が発刊された。

2018年に阿部寛主演で映画化された[1]
概要

2013年8月9日に発売された文庫版『新参者』の帯で、かねてより刊行が噂されていた「書き下ろし最新作」としてタイトルや発売日が発表され、初版部数20万部で刊行された[2]。発売まで、あらすじなどの情報を公開しないという販売手法がとられていた。刊行後に『眠りの森』が阿部寛主演でスペシャルドラマ化が発表された時点で、発行部数は27万部を記録した[3]

加賀恭一郎シリーズの第10作である本作ではシリーズの主人公である加賀の母親が初登場し、『卒業』『赤い指』で触れられていた彼女の失踪理由が明かされるほか、『新参者』『麒麟の翼』において加賀が配属先の管轄である日本橋に積極的に溶け込もうとしていることや、優秀ながら依然として所轄の刑事のままでいる理由が語られており、本作はシリーズひいては加賀の公私における転換期が描かれる。また、東日本大震災発生後の世相が反映され、原発作業員の労働環境に対する問題にも触れている。

このミステリーがすごい! 2014年版では10位、2013年の週刊文春ミステリーベスト10では2位を記録。2014年3月には、第48回吉川英治文学賞を受賞した[4]。評論家の川本三郎は本作を「犯罪の背後に犯人の経済的苦境が浮かび上がる松本清張の世界を思わせる古典的ミステリー」と評し、清張作品の『砂の器』との類似を指摘している[5]。また、書評家の岡崎武志も「東野版『砂の器』ともいえる」と評している[6]
あらすじ

小菅のアパートで滋賀県在住の40代女性・押谷道子の腐乱遺体が発見された。アパートの住人は越川睦夫と名乗る男性で、現在越川は消息を絶っていた。

捜査一課の松宮は、殺害時期や現場が近い新小岩での河川敷で発生した「ホームレス焼死事件」との関連性を感じながらも、道子の住む滋賀県での捜査で道子が中学の同級生で演出家の浅居博美を訪ねに上京したことを突き止める。しかも、博美は松宮の従兄で日本橋署の刑事・加賀の知り合いだった。

松宮から博美についての意見を求められ、初めは管轄違いということもあり捜査の助言を送る程度だった加賀だったが、アパートで見つかった日本橋にある橋の名前を月毎に書き込んだカレンダーの存在が、この事件を思わぬ形で加賀の中で燻っていた失踪した母に関する謎と直結させることとなる。

カレンダーには、(1月:浅草橋、2月:左衛門橋、3月:西河岸橋、4月:一石橋、5月:柳橋、6月:常盤橋、7月:日本橋、8月:江戸橋、9月:鎧橋、10月:茅場橋、11月:湊橋、12月:豊海橋)と書かれていた。
登場人物
加賀恭一郎
日本橋署刑事。
松宮脩平
捜査一課刑事。加賀の従弟。
金森登紀子
加賀の父・隆正を看取った担当看護師。加賀とは父の死以降も付き合いがある。出版社でカメラマンをしている弟・佑輔がいる。
浅居博美
舞台演出家、脚本家、女優。芸名は「角倉博美」。両親の離婚後、父が自殺したため養護施設に引き取られて育ち、高校卒業後は演劇の道を志し劇団「バラライカ」に入団し、20代の頃に女優として活躍したが、30代頃から演出、脚本を手がけるようになり注目を集める。「バラライカ」代表の諏訪建夫とは3年間結婚生活を送っていたが、あるトラウマから子供を望んでおらず、夫に黙って堕胎していた。加賀が日本橋署主催の少年剣道教室で講師をしていた時に、自身が手掛ける芝居のため子役達に剣道の指導をさせてもらってから加賀と知り合う。自身の堕胎歴も加賀には打ち明けている。現在、曽根崎心中をミステリ風の視点で仕上げた「異聞・曽根崎心中」を明治座で公演中で、女優として初めて立った同じ舞台で演出を手掛けるという夢を叶えている。
田島百合子
36歳の頃に仙台のスナック「セブン」で働いていた女性で、加賀の失踪した母親。実年齢より若く見える瓜実顔の美人で、寡黙さが魅力となり「セブン」の客から良い評判を集めていたが、やがては体調を崩していき、住んでいたアパートで変死した。自分を律する真面目な性格で、周りにはどこか心を開いていない節もあったが、客の一人である綿部俊一とは心を通じ合う仲となっていた。
綿部俊一
50代半ば。「セブン」の客で田島百合子の恋人。電力関係の仕事に就いており、遠くの場所まで行くことが多い。他にも日本橋に度々足を運んでいる。宮本康代から百合子の訃報を聞き、遺骨・遺品の引き取り手として加賀の住所を康代に教えたのを最後に連絡を絶つ。
宮本康代
70代。40代の頃より亡き夫が遺したスナック「セブン」と小料理屋を経営していた女性で、温泉宿の女将をしている友人から紹介された田島百合子を雇っていた。百合子の遺体の第一発見者であり、綿部俊一が居場所を見つけた加賀に百合子の遺骨と遺品を引き取るように頼んで以来、加賀と面識を持つ。東日本大震災後に2つの店を閉じ、店の繁栄時の貯えと年金で暮らす。
押谷道子
小菅の事件の被害者で浅居博美の中学時代の同級生。明るくおしゃべりな性格のお節介焼きで人の好さから職場や得意先でも慕われていた。滋賀県彦根市古沢町に構える清掃会社「メロディエア」で外回りとして働いており、得意先の老人ホームで見かけた博美の母親と思しき人物の確認を博美に求めるために上京した。
浅居忠雄
浅居博美の父親。温厚でお人好しな性格で、母の代から続く洋品店を細々と経営していたが、ある日妻の厚子が、金品類や忠雄名義の口座の金を持ち逃げして失踪、その上に忠雄名義で借金を作らされたことからヤクザに追われ追い詰められた末に自殺した。
浅居厚子
浅居博美の母親。忠雄とお見合いで結婚したが、質素な生活振りに不満を露わにし、中学時代より噂されていた素行不良の悪さを露呈するかのように夜遊びに繰り出した末に、忠雄や博美の元から姿を消した。現在、無銭飲食したレストランから逃げようとした際に骨折した足の治療後、老人ホームに入り浸っている「201さん」(名前を明かさないため部屋番号に由来する)と呼ばれる老婆が現在の厚子であると目されている。
苗村誠三
浅居博美や押谷道子の中学時代の担任教師。転校した博美に励ましの手紙を書こうと生徒に呼びかけるなど生徒に優しく熱心な教師だった。19年前から教師を辞め同時期に離婚、今は誰も彼に連絡を取れていない。
茂木和重
加賀の警察学校の同期で、所轄をいくつか転々とした後、現在は警察庁広報課に籍を置いている。加賀に警察学校時代に助けてもらった恩もあり、加賀から頼まれた捜査協力に応じる。
映画

祈りの幕が下りる時
監督
福澤克雄
脚本李正美
原作東野圭吾『祈りの幕が下りる時』
製作伊與田英徳
藤井和史
川嶋龍太郎
露崎裕之
製作総指揮那須田淳
平野隆
出演者阿部寛
松嶋菜々子
溝端淳平
田中麗奈
キムラ緑子
烏丸せつこ
春風亭昇太
音尾琢真
飯豊まりえ
上杉祥三
中島ひろ子


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:58 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef