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歴
社会的包摂(しゃかいてきほうせつ)あるいはソーシャル・インクルージョン(英: social inclusion)とは、社会的に弱い立場にある人々をも含め市民ひとりひとり、排除や摩擦、孤独や孤立から援護し、社会(地域社会)の一員として取り込み、支え合う考え方のこと。社会的排除(しゃかいてきはいじょ)の反対の概念である。 1970年代のフランスで、障害者や高齢者が突き当たる困難を分析する中で社会的排除という言葉が生まれた。社会的排除は、社会関係に対する個人の位置を表現する概念であり、貧困問題や障害者対策など社会保障や福祉に関する政策や議論のなかで発展してきた[1]。 かつての階級闘争論では、社会的不平等は富裕層と貧困層の所得の格差で語られたが、社会的排除論は単に経済力に裏打ちされた社会的地位だけではなく、職業・健康・教育・家庭環境・国籍・ジェンダー・年齢層・地域環境など、多元的なリスクによって決定される格差によって、人々を社会の中心に近いインサイダーと、社会から排除されたアウトサイダーに峻別すると考える新しい社会的不平等の概念である[2]。 社会的排除の概念は1980年代にはヨーロッパ全体で注目を集めるようになった[1]。20世紀末のヨーロッパは急激なグローバリズムの展開によって各国ともに財政危機にあった。新自由主義が台頭し、直接給付の福祉はもはや有効ではないとしてケインズ主義的福祉国家路線は放棄された。若者と長期失業者を中心とした雇用の不安定化と貧困、逸脱行動が社会問題化し、そうしたドロップアウトした人々を他者化する考え方が蔓延していた[2]。 拡大する不平等感を抑制し、より安上がりな福祉国家を再構築するため、周縁化した人々を社会に再び参加させる、社会的包摂というアプローチが政策目標として創出された。具体的には、ワークフェアやアクティベーションと呼ばれる職業訓練政策が包摂の名のもとに実施された[1]。また、就労と切り離された包摂政策としてベーシック・インカムが議論されている。 社会的包摂の概念はノーマライゼーションと共通する概念として、北アメリカの障害者福祉や教育界に影響を与えた[1]。1980年代には「インクルーシブ学校」や「インクルーシブ教育」といった言葉が使われるようになり、1990年代には「インクルージョン」という用語が現れ、1994年にUNESCOが発表した「特別なニーズ教育の原理・政策・実践に関するサラマンカ声明」に取り入れられて国際的な影響力を持つに至った[1]。 「一億総活躍国民会議」の民間議員である菊池桃子は、「1億総活躍」のネーミングが分かりづらいとして、代わりに「ソーシャル・インクルージョン(社会的包摂)」という名称を提案した[3]。2006年の介護保険制度の変更により、この概念が「地域包括ケアシステム」にも影響を与えた。[4] 世界銀行の定義では、「ソーシャル・インクルージョン」は、社会の一部を担うにあたって不利な個性を持っている人々の、能力、機会、尊厳を向上させるプロセスを含んでいる[5]。 世界各地で、ソーシャル・インクルージョン担当閣僚が任命され、特別対策チームが設立している。2004年、南オーストラリア州首相のマイク・ラン政権で、最初のソーシャル・インクルージョン大臣が誕生した。これは1997年の、イギリスのトニー・ブレア首相によるソーシャル・エクスクルージョン・ユニットを基としていて、マイク・ランは2002年にソーシャル・インクルージョン・イニシアティブを設立していた。同政権下では、Monsignor David Cappo
目次
1 概要
2 ソーシャル・インクルージョン
3 出典
4 関連項目
5 外部リンク
概要
ソーシャル・インクルージョン
出典^ a b c d e 榊原賢二郎『社会的包摂と身体』 生活書院 2016 ISBN 978-4-86500-061-0 pp.98-105.
^ a b 樋口明彦 (2004). “現代社会における社会的排除のメカニズム”. 社会学評論 (日本社会学会) 55 (1): 2-18. doi:10.4057/jsr.55.2
^ “ ⇒菊池桃子さん、1億総活躍で注目 「多様性への理解を」”. 朝日新聞デジタル (2016年1月23日). 2016年12月1日閲覧。
^ Dahl, Nils (2018). “Social inclusion of senior citizens in Japan: an investigation into the ‘Community-based Integrated Care System’”. Contemporary Japan 30(1): 43-59. doi:10.1080/18692729.2018.1424069.