社会保障
[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .hatnote{margin:0.5em 0;padding:3px 2em;background-color:transparent;border-bottom:1px solid #a2a9b1;font-size:90%}

アメリカ合衆国のプログラムについては「社会保障 (アメリカ合衆国)」をご覧ください。
OECD各国の目的別社会的支出のGDP[1]OECD各国のGDPにおける社会的支出割合(公費および私費)[2]

社会保障(しゃかいほしょう、: Social security schemes)とは、個人的リスクである生活上の諸問題(病気外傷障がい出産老化死亡失業など)について、国家地方公共団体が各分野ごとに徴収した保険料による支え合いを基本とし、不足分を租税・公債金(国債)などを充当・所得移転させることによって、上記の諸問題から国民を保障し、医療介護などの社会的サービス(Social benefits)を給付すること。社会保障制度(Social security system)は社会保障のための制度を指す[3][4]

社会保障という言葉は福祉と同義で使われることも多いが、公的には、社会福祉の他に公衆衛生をも含む、より広い概念である。

社会保障の有無や程度は国によって差が大きく、世界人口の約53%、約41億人は社会保障がない状態に置かれている(地域別では、ヨーロッパは80%以上カバーしているに対して、サブサハラアフリカは約13.7%しかカバーされていない。国別では、北朝鮮等の不明の国を除けば、ガイアナサンピエール島・ミクロン島オーストラリアモンゴルニュージーランドシンガポールカザフスタンベルギーフィンランドフランススロベニアスウェーデンは全国民をカバーしているのに対して、ギニアビサウは約0.9%しかカバーされていない。因みに、日本は約98.0%)[5][6]。社会保障制度がある国においてその目的は多くの国で共通するが、言葉の意味するところは国によって異なる。たとえばイギリスでは、Social Security(社会保障)は経済安全保障のみを指す。国際労働機関(ILO)や欧州連合(EU)などではSocial Securityに代えてSocial Protection(社会保護、社会的保護)という言葉も用い、経済協力開発機構(OECD)の統計ではSocial Expenditure(社会支出)の概念を採用するなど[7]、国際比較や統計処理のために様々な分類を行っている。

その財源については、一般租税を原資とする方式(ベバリッジ型)と、労使折半で保険料を拠出する方式(ビスマルク型)に分かれる[8]。後者については社会保険制度とも呼ばれる。日本における制度については「日本の福祉」を参照社会保障の発展や変容の要因に関する研究については「福祉国家論」を参照
各国の財政規模・財源

OECD諸国における公的社会的支出[9]人口一人あたり
支出(PPP米ドル)
(2017年)GDPに占める
割合(%)
(2019年)政府一般支出
占める割合(%)
(2017年)
OECD平均9,158.120.046.2
 オーストラリア8,571.516.7[注釈 1]45.6
 オーストリア14,900.026.955.4
 ベルギー14,567.428.955.3
 カナダ8,830.418.0[注釈 2]43.5
 チリ2,701.811.4---
 コロンビア1,947.313.129.7
 コスタリカ---12.2[注釈 2]34.9
 チェコ7,231.819.2[注釈 2]47.6
 デンマーク16,053.528.356.9
 エストニア5,839.217.743.8
 フィンランド14,073.029.155.1
 フランス14,078.431.055.8
 ドイツ13,448.825.957.1
 ギリシャ7,172.824.052.0
 ハンガリー5,810.518.141.9
 アイスランド8,896.817.437.3
 アイルランド11,125.013.454.5
 イスラエル6,331.116.341.1
 イタリア11,551.428.256.7
 日本9,153.722.3[注釈 1]57.7
 韓国4,143.912.233.4
 ラトビア4,534.416.440.8
 リトアニア5,185.916.746.2
 ルクセンブルク24,236.721.651.0
 メキシコ1,501.07.528.7
 オランダ9,192.716.139.1
 ニュージーランド7,710.719.4[注釈 2]48.8
 ノルウェー15,868.825.349.9
 ポーランド6,198.621.350.4
 ポルトガル7,497.922.650.0
 スロバキア5,395.317.742.1
 スロベニア7,881.021.148.8
 スペイン9,487.824.758.1
 スウェーデン13,736.825.552.9
 スイス11,432.416.7[注釈 2]49.9
 トルコ3,414.612.035.4
 イギリス9,466.320.649.8
 アメリカ10,964.318.748.5

*印のある国は、違う年の値を使用している。国名の脚注にどの項目が違う年度の値であるか表記している。
特に項目を指定してない場合は、全項目である。国名に脚注してない場合は、脚注のある項目のみ違う年度の値を使用している。

社会保障給付と税・保険料負担の大きさを比較し、北欧諸国は「高福祉・高負担」、アメリカ合衆国は「低福祉・低負担」の代表例と言われている(ただしアメリカは公的支出は小さいが私的支出はOECD各国で最大であり、慈善団体の果たす役割が大きい[7])。

制度財源は国によって様々であり、社会保障財政を政府一般会計から分離して運営する場合には社会保障基金(Social security Funds)と呼ばれる[10]
財源

原資を雇用者または雇用主(あるいはその両者)にて供出する場合は社会保険制度(Social insurance)、ビスマルク型と呼ばれる[11][8]ドイツフランスなどが該当する[8]

それに対して、一般租税を原資として給付を行う方式をベバリッジ型と呼ぶ[8]スウェーデンデンマークなどの北欧諸国や[8]、社会保険制度のないオーストラリアニュージーランドなどが該当する[12]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:74 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef