この項目では、礼服全般について説明しています。律令制における礼服(らいふく)については「礼服 (宮中)」をご覧ください。
「夜会服」はこの項目へ転送されています。三島由紀夫の小説については「夜会服 (小説)」をご覧ください。
礼服(れいふく)とは、冠婚葬祭の儀式典礼[1]といった改まった席[2]で着用する衣服のことであり、礼服の着装状態を礼装[1]という。英語では「フォーマルウエア(Formal wear
)」と呼ばれ[3]、その格式によって、正礼装、準礼装、略礼装、平服、などと区別される。また、昼間に行われる結婚式や披露宴などは昼の礼服、夜に行われる舞踏会や晩餐会などは夜の礼服、と「昼」(モーニングドレス、アフタヌーンドレスなど)と「夜」(イブニングドレス、ディナードレスなど)のものに分けられており、特に夜会[注釈 1]で着用される礼服は夜会服と呼ばれる[4]。礼服は、一般に「冠婚葬祭」の儀礼において着用される[6]。日英のフォーマルウェアを研究する清家壽子は、それらを「慶事のシーン」「弔事のシーン」に大別し、それぞれに下記のシーンを挙げている[7]。シーンの場所や目的、参列者の顔ぶれ、すなわち「T.P.O.」[注釈 2]によって、ふさわしい装いを着分ける必要がある[8]。礼服着装のルールは時代とともに変化するが、ルールの基本精神は人間関係を快く保つことである[9]。 国際儀礼(プロトコル)に基づく公的なパーティでは、招待状にドレスコードが明記される[10]。招待状には、通常男性のドレス・コードのみが記載されており、女性は男性の服装と同格のものを着用する[11]。また出席者の出身国の民族衣装も尊重され、礼装・正装として、洋装におけるそれらと同格の服装として認められる(日本人にとっての紋付羽織袴、着物等)ことが通常である。 国際儀礼とは、国際的に行われている「国家間、公人間の儀礼上の規則、慣習」のことである。基本的には西欧の規則、慣習が土台になっており、キリスト教社会の考え方が大きく反映されている。国際儀礼やエチケットは、社会の営みをスムーズにし、相手に「不快感」や「憤り」を与えない、秩序ある居心地のいい環境を造るなど、社会と人々の関係を潤滑にすることが目的であるといえる[12]。 国際儀礼におけるドレス・コードは、かつては細かく規定されていたが、近年では簡略化され、多くの場合、男性は「平服(ラウンジ・スーツ)」か「ダーク・スーツ」で十分であり、女性の場合は、衣服の色やデザイン、素材に多様性が増したため、昼間に着用する服は「デイ・ドレス」、夜の食事に着用する服は「ディナー・ドレス」とだけ大別する程度になってきている[11]。 下記は、寺西千代子 (2014, pp. 152?159)に拠る。 男性女性 また、日本では普及していないが、昼の準礼装は男性はディレクターズスーツ。女性はセミアフタヌーンドレス 元首や高位者の臨席する公式行事、結婚式などに着用する。日本では、宮中関係の行事、結婚式、格式ある式典、改まった祝賀会、大使の信任状捧呈式などに用いられる[13]。
慶事のシーン
結婚式と披露宴
お見合い、婚約式、結納
公的なパーティ/国家の日の式典、晩餐会、午餐会、カクテルパーティー、ティーパーティー、舞踏会、記念式典や祝賀会(創立記念日、竣工または落成式、地鎮祭、社長就任、出版記念、入卒園式、入学式、卒業式、謝恩会、成人式など)
私的なパーティ/お宮参り、七五三、誕生祝い、結婚記念日、長寿の祝い、新築祝い、ホームパーティー
コンサート、オペラ、観劇、発表会
クルーズ、オリエント急行
皇室行事/叙勲、園遊会、文化勲章親授式
カジノ(主にヨーロッパ)
弔事のシーン
葬儀、告別式、三回忌までの法要
通夜、三回忌以降の法要
ドレス・コード
ドレス・コードの目安
昼・正礼装モーニングコートアフタヌーンドレス
夜・正礼装ホワイト・タイ(燕尾服)ロングイブニングドレス(ヒール丈またはトレーン丈)
夜・準礼装ブラック・タイ(タキシード)セミイブニング・ドレスまたはディナードレス(くるぶし丈またはヒール丈が正式だが、ショート丈も可の場合がある)
昼/夜・略(礼)装平服(ダークスーツ、ラウンジスーツ)平服(ワンピース/スーツなど)
モーニング・コート2012年12月21日、信任状捧呈式に臨むティモシー・ヒッチンズ日本駐箚英国特命全権大使と出迎える小田野展丈宮内庁式部官長。