この項目では、磁場を発生させる物体について説明しています。
お笑いコンビの磁石については「磁石 (お笑いコンビ)」をご覧ください。
Something ELseの曲の「磁石」については「Something ELse#ディスコグラフィ」をご覧ください。
「マグネット」はこの項目へ転送されています。その他の用法については「マグネット (曖昧さ回避)」をご覧ください。
砂鉄による棒磁石の磁力線
磁石(じしゃく、英語: magnet、マグネット)は、2つの極(磁極)を持ち、双極性の磁場を発生させる源となる物体。鉄などの強磁性体を引き寄せる性質を持つ。磁石同士を近づけると、異なる極は引き合い、同じ極は反発しあう。 鉄にはもともと磁石になる磁性と呼ばれる性質がある[1]。鉄原子の中は小さい磁石(磁区)が多数存在する構造になっているが、磁極の向きが一定でない状態で固定されており、全体として磁力が打ち消されているため磁石になっていない[1]。 しかし、鉄に永久磁石(磁極の向きを変えないような構造にした磁石)を近づけると磁極は整列して磁石となり、反対に遠ざけると再び磁石ではなくなる[1]。このような性質は鉄だけでなくニッケルやコバルトにもみられる[1]。 電気と磁気の力はお互いに不可分である。これらの関係は、電磁気学の基本方程式であるマクスウェルの方程式で与えられる。 超伝導体には、磁場を退けるマイスナー効果という性質がある。超伝導体に磁石を近づけると、超伝導体は磁場を退けるので、まるで同極同士の磁石を近づけたように反発しているように見える。これによって磁石の上に超伝導体を浮上させることができる。また、ピン止め効果によって磁石の上に安定して留まる。 医療に用いるMRI(磁気共鳴画像法)用磁石の大部分や磁気浮上式鉄道では、強力な磁界が必要となるが、これを実現できるような永久磁石は容易には存在しない。また、電磁石で実現するためには、コイルに大電流を流す必要がある。しかし、銅などの低抵抗の配線材料を用いても、この電流による発熱に耐えることはできない。この問題を解決するのが、コイルに超伝導体を用いた超伝導電磁石である。超伝導材料は電気抵抗がゼロであるため、大電流を流しても発熱しないのである。超伝導コイルには、磁場に強い第二種超伝導体を用いる必要がある。 磁石には、N極とS極の2つの磁極(英: magnetic pole)がある。これらの磁極は単独で存在することはなく、必ず両極が一緒になって磁石を構成する。永久磁石を半分に切っても、S極だけ、あるいはN極だけの磁石にはならず、S極とN極の双方を持つ2つの小さな磁石ができる。磁界の元となるのは電荷の運動であり、片方の磁極のみが生まれるように電荷を運動させることは不可能である。ただし、1つの磁石に、磁極は1組とは限らない。磁極が多数ある磁石を多極磁石 電気と磁気の関係をひっくり返して、単独で存在する磁極が運動することによって、電場が生じるという現象を想像することはできる。このような空想上の単独の磁極のことを磁気単極子(モノポール)という。ただし、現実に存在する可能性も示唆されており、現在でも研究が進められている。 地球そのものも、(現在の)北極地方にS極、南極地方にN極を持っており、磁石と近似である。地球が発生させる磁場、すなわち地磁気に応答して、地球上にある磁石には一方の極を北へ、他方の極を南へ引き寄せる。この性質を利用したものが方位磁針である。磁極の呼称は方位磁針に由来して、北 (north) に引き寄せられる極がN極 (north pole)、南 (south) に引き寄せられる極がS極 (south pole) と呼ばれる(ゆえに、磁性体としての地球のN極・S極は、地理上の北・南とは逆である。つまり北磁磁極 外部から磁場や電流の供給を受けることなく、磁石としての性質を比較的長期にわたって保持し続ける物体のことである。強磁性ないしはフェリ磁性を示す物体であって、ヒステリシスが大きく、常温での減磁が少ないものを、磁化して用いる。永久磁石材料に関するJIS規格としてJIS C2502、その試験法に関する規格としてJIS C2501が存在する。 永久磁石は物質の構造により合金磁石・フェライト磁石・希土類磁石に分類される[2]。 鉄を主成分とする最も古い歴史をもつ永久磁石[2]。 フェライト磁石は鉄の酸化物を原料とする磁石[2]。1937年、東京工業大学の加藤与五郎、武井武によって発明された。酸化物磁石の1つで、酸化鉄を主原料にして焼き固めて作る。磁束密度は低いが、保磁力が高く減磁しにくい。電気抵抗が大きく渦電流損が低く、高周波まで適用できる。硬度は比較的に高いが割れやすい。磁器なので薬品に強く、錆びない。焼く前は粉末のため自由な形にできる。などの特徴がある。 フェライト磁石を粉末状にしてゴムに練り込んだゴム磁石やプラスチックに練り込んだプラスチック磁石もあり、これらはまとめてボンド磁石あるいはボンデッド磁石という(後述)[2]。 希土類磁石は希土類元素とコバルトや鉄の金属間化合物からなる磁石[2]。最大エネルギー積ではフェライト磁石の10倍以上の磁力を持つ[2]。ただし、合金磁石に比べて硬いが脆い[2]。 通常、磁性材料の芯のまわりに、コイルを巻き、通電することによって一時的に磁力を発生させる磁石である。機械要素として用いられる。電流を止めると磁力は失われる。 天然に産出する磁石として磁鉄鉱(四酸化三鉄、Fe3O4、マグネタイト)が挙げられる。古代からよく知られている磁石、磁鉄鉱(ないし砂鉄)として産出されていたのはこの四酸化三鉄である。砂浜で永久磁石を砂中に挿入すれば、充分に視認することができる。羅針盤の指針を磁化することなどに用いられてきたが、非常に微弱な磁石である。ちなみに磁気を帯びた岩石として知られる須佐高山の磁石石も、その磁気は斑れい岩中の磁鉄鉱によるものである。
原理棒磁石
磁性
電気と磁気
超伝導と磁石
磁極
磁気単極子詳細は「磁気単極子」を参照
地球詳細は「地磁気」を参照
磁石の種類
永久磁石詳細は「永久磁石」を参照
合金磁石
KS鋼
MK鋼
アルニコ磁石 - アルミニウム、ニッケル、コバルトなどを原料とした磁石である。20世紀半ばまで主流の磁石であったが、やがて安価で造形の容易なフェライト磁石などに主役の座を奪われた。
鉄-クロム-コバルト磁石
マンガンアルミ磁石
白金磁石
フェライト磁石
希土類磁石
サマリウムコバルト磁石 - サマリウムとコバルトを原料としている。組成比の異なる「2-17系」と「1-5系」がある。「1-5系」は高価なサマリウムの比率が高いため、「2-17系」の登場以降あまり用いられなくなってきた。強い磁力を持ち、高い耐腐食性と良好な温度特性(200℃程度まで使用可能)を有することが特徴である。
ネオジム磁石
プラセオジム磁石
電磁石詳細は「電磁石」を参照
磁石の原料
金属
磁鉄鉱
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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