磁気回路
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磁気回路は、磁束を含む1つ以上の閉回路で構成される。磁束は普通、永久磁石もしくは電磁石により生成され、鉄といった強磁性材料からなる磁心により経路に閉じ込められるが、その経路には空隙もしくは他の材料があるときがある。磁気回路は電動機、発電機、変圧器、継電器、リフティング電磁石SQUIDs検流計、磁気記録ヘッドなど多くの装置で磁場を効率良く通すために使われている。

「磁気回路」の概念は不飽和強磁性材料における磁場の方程式と電気回路の方程式の間の1対1の対応関係を利用している。この概念を使用して変圧器のような複雑な装置の磁場を電気回路のために発展した方法と技術を利用して素早く解決することができる。

磁気回路のいくつかの例は以下の通り。

鉄の保磁子付きの蹄鉄磁石磁気抵抗の低い回路)

保磁子なしの蹄鉄磁石(磁気抵抗の高い回路)

電動機(可変抵抗の回路)

ピックアップカートリッジのいくつか(可変抵抗の回路)
目次

1 起磁力

2 磁束

3 磁場回路へのオームの法則

4 リラクタンス

5 リラクタンスの微視的起源

6 磁気回路と電気回路の類似まとめ

7 類推の限界

8 回路法則

9 応用

10 関連項目

11 脚注

12 外部リンク

起磁力

起電力(EMF)が電気回路内の電荷の電流を駆動する方法と同じ方法で、起磁力(MMF)が磁気回路を通る磁束を「駆動」する。しかし、起磁力は力でも動く何かでもないので「起磁力」という用語は不適切な名称である。単にMMFと呼ぶのが良いであろう。起電力の定義同様、閉ループ周りの起磁力 F {\displaystyle \scriptstyle {\mathcal {F}}} は次のように定義される。 F = ∮ H ⋅ d ⁡ l {\displaystyle {\mathcal {F}}=\oint \mathbf {H} \cdot \operatorname {d} \mathbf {l} }

起磁力はループを完成させることにより仮想の磁荷を獲得するという可能性を表している。駆動される磁束は磁荷の流れではない。これは単に電流が起電力に持っているのと同じ関係を起磁力に対して持っているだけである(詳しい説明は下記の微視的な磁気抵抗の起源を参照)。

起磁力の単位はアンペア回数(At)であり、真空中で導電性材料の単一ターンループを流れる1アンペアの定常直流電流により表される。1930年にIECにより制定された[1]ギルバート(Gb)は起磁力のCGS単位で、アンペアターンよりわずかに小さい単位である。この単位はイギリスの医師、自然哲学者のウィリアム・ギルバート(1544?1603)にちなむ。 1 Gb = 10 4 π At ≈ 0.795775 At {\displaystyle {\begin{aligned}1\;{\text{Gb}}&={\frac {10}{4\pi }}\;{\text{At}}\\&\approx 0.795775\;{\text{At}}\end{aligned}}} [2]

起磁力はアンペールの法則を用いて迅速に計算することができる。例えば長いコイルの起磁力 F {\displaystyle {\mathcal {F}}} は F = N I {\displaystyle {\mathcal {F}}=NI}

N は巻き数で、Iはコイルの電流である。実際にはこの方程式は現実のインダクタの起磁力に使われ、このときのNは誘導コイルの巻き数である。
磁束

適用した起磁力は系の磁性部品を通して磁束を「駆動」する。磁性部品を通る磁束は、その部品の断面積を通過する磁力線の数に比例する。これは「正味の」数、つまり、1方向に通過する方向からもう1つの方向に通過する数を引いたものである。磁場ベクトル B の方向は定義より磁石の内側のS極からN極への方向であり、磁力線の外側はNからSへ延びている。

磁場の方向に垂直面積の要素を通る流速は、磁場面積要素の積で与えられる。もっと一般的には、磁束Φは磁場と面積要素ベクトルのスカラー積により定義される。定量的には、表面Sを通る磁束は表面の面積にわたる磁場の積分として定義される。 Φ m = ∫ ∫ S B ⋅ d ⁡ S {\displaystyle \Phi _{m}=\int \!\!\!\!\int _{S}\mathbf {B} \cdot \operatorname {d} \mathbf {S} }

磁性部品の場合、磁束Φの計算に使われる面積Sは通常、部品の断面積になるように選択される。

SIの磁束単位ウェーバ(組立単位:ボルト秒)であり、磁場の単位はウェーバー毎平方メートルもしくはテスラである。
磁場回路へのオームの法則

電子回路において、オームの法則は要素に印加される起電力 E {\displaystyle \scriptstyle {\mathcal {E}}} と要素を通して発生する電流 I の間の経験的関係である。


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