磁性流体(じせいりゅうたい, magnetorheological fluid, magnetic fluid, ferrofluid)あるいはMR流体とは、流体でありながら、磁性を帯び、砂鉄のように磁石に吸い寄せられる性質を持つ機能性流体(smart fluid)の一つである。 磁性流体はマグネタイトやマンガン亜鉛フェライトなどの強磁性微粒子、その表面を覆う界面活性剤、ベース液(水や油)の3つで構成される磁性コロイド溶液である。 磁性流体中の強磁性微粒子は、界面活性剤とベース液の親和力と界面活性剤同士の反発力によりベース液中で凝集したり沈降したりすることなく安定した分散状態を保っている。 強磁性微粒子は直径10nm程度であり、インフルエンザウイルスの約10分の1と非常に小さい。粒径は大きすぎても小さすぎてもだめで最適な粒径は9nmとされ、界面活性剤の分子の長さは短すぎては凝集が生じてしまい、長すぎては油の中での金属磁性体の充填割合が下がり、十分な磁性が得られないので1.5nmが最適であるとされる[1]。 窒化鉄磁性流体の磁化は2400ガウスで現在でも世界最高性能であり、多方面への応用が模索される[1]。 永久磁石などの磁場を発生する物を至近距離に置くと、その磁力線の流れに沿って磁性流体から角が生えたような突起が形成される。これをスパイク現象といい、流線型に突起が形成される形状はとても美しく、この現象を利用し芸術作品が作られることがある。 磁性流体は1960年代にNASAでPapellにより宇宙服の可動部のシール材や無重力環境での物体の位置決め、機械的な駆動部のない液体輸送用のポンプに使用するなどの目的で研究・開発された。ただしそれ以前にも、1931年にBitterにより開発された磁性体を分散させた溶液や、それをもとにしたElmoreによる流体など類似の技術が開発されており[2]、その起源をどこに定めるかは磁性流体のどのような特性に注目するかにより多少変化する。 また、それとほぼ同時期に東北大学でも下飯坂らも磁石に吸引されるコロイド溶液の報告を行っている。1989年に中谷功 初期の頃は材料の塊をボールミルやジェットミル 磁性流体のベース液は目的や用途に応じて選択される。また磁性流体はベース液に対応した界面活性剤が必要である。よってどんな流体でも磁性流体にすることが出来るわけではない。
構成
スパイク現象磁性流体のスパイク現象
歴史
製法
ベース液
水
イソパラフィン
アルキルナフタレン
パーフルオロポリエーテル
他
応用例
磁性流体シール(回転軸のシール)
ダンパ
スピーカー
センサ
比重差分離
磁区観察
脚注[脚注の使い方]^ a b c ⇒金属磁性体で微細構造をつくる ?ナノ粒子化からナノ加工プラズマプロセスまで?
^ Rosensweig, R. E. (1985). Ferrohydrydynamics. Cambridge, U.K.: Cambridge University Press. pp. 33-144. .mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 9780521256247