硫酸
IUPAC名
Sulfuric acid
識別情報
CAS登録番号7664-93-9
10 °C, 283 K, 50 °F
沸点
290 °C, 563 K, 554 °F
水への溶解度任意に混和
酸解離定数 pKa?3
粘度26.7 cP (20 °C)
熱化学
標準生成熱 ΔfHo?813.989 kJ mol−1
標準モルエントロピー So156.904 J mol−1K−1
標準定圧モル比熱, Cpo138.91 J mol−1K−1
危険性
安全データシート(外部リンク)厚生労働省モデルSDS
GHSピクトグラム [1]
GHSシグナルワード危険 [1]
Hフレーズ
飲み込むと有害のおそれ(経口)
吸入すると生命に危険(ミスト)
重篤な皮膚の薬傷・眼の損傷
長期又は反復ばく露による呼吸器系の障害
水生生物に有害 [1]
NFPA 704032W
OX
引火点不燃性
関連する物質
関連する強酸セレン酸
塩酸
硝酸
関連物質発煙硫酸
二酸化硫黄
三酸化硫黄
ペルオキソ一硫酸
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。
硫酸(りゅうさん、英: sulfuric acid、独: Schwefelsaure)は、緑礬油(りょくばんゆ)、ビトリオール油としても知られており、硫黄、酸素、水素の元素からなる鉱酸である。分子式はH2SO4 で、無色、無臭の粘性のある液体で、水と混和する[2]。
純粋な硫酸は、水蒸気との親和性が高いため自然界には存在せず、空気中の水蒸気を容易に吸収する吸湿性がある[2]。濃硫酸は、強力な脱水作用を持つ酸化剤であるため、岩石や金属などの他の物質に対して強い腐食性を示す。五酸化二リンは例外的に酸の脱水性の影響を受けず、逆に硫酸を脱水して三酸化硫黄になる。硫酸を水に加えるとかなりの熱が発生する。逆に硫酸に水を加えて溶液を沸騰させると、その際に高温の酸が飛散する可能性があるため、そのような手順は行わない方がよい。硫酸が体組織に接触すると、重度の酸性化学熱傷や、脱水症状による二次熱傷を引き起こす可能性がある[3] [4]。希硫酸は、酸化作用や脱水作用がないため危険性はかなり低いが、酸性であるため取り扱いには注意が必要である。
硫酸は非常に重要な汎用化学品であり、硫酸の生産量はその国の工業力を示す良い指標となる[5]。硫酸は、接触法、湿式硫酸法、鉛室法など、さまざまな方法で広く生産されている[6]。肥料製造に最もよく使われている[7]が、鉱物処理、石油精製、廃水処理、化学合成にも重要である。また、家庭用の酸性排水処理剤[8]、鉛蓄電池の電解質、化合物の脱水、各種洗浄剤など、最終的な用途は多岐にわたっている。硫酸は、三酸化硫黄を水に溶かすことで得られる。 硫酸は三酸化硫黄 (SO3) を水と反応させて得られる、やや粘性のある酸性の液体である。 塩酸などとは異なり不揮発性であるため、濃度の低い硫酸であっても水分が蒸発すると濃縮されるので、衣服に付いた場合などは、そのまま放置すると穴が開く危険性があり、また、皮膚に付いたものを放置すると、火傷をする恐れがある。 水分子との強い親和力により吸湿性と強い脱水作用があり、有機化合物から水素と酸素を水分子の形で引き抜く。ショ糖に濃硫酸をかけると炭化したり、濃硫酸が皮膚に付くと火傷を起こすのは、この脱水作用と発熱およびプロトン化能力のためである。 硫酸の水和熱は極めて大きく第一水和エンタルピー変化は以下の通りである[9]。 H 2 SO 4 ( l ) + H 2 O ( l ) ↽ − − ⇀ H 2 SO 4 ⋅ H 2 O ( l ) {\displaystyle {\ce {H2SO4(l) + H2O(l) <=> H2SO4 . H2O(l)}}} , Δ H ∘ = − 27.80 k J m o l − 1 {\displaystyle \Delta H^{\circ }=-27.80~\mathrm {kJ~mol} ^{-1}} また硫酸の溶解エンタルピー変化は以下の通りである。 H 2 SO 4 ( l ) ↽ − − ⇀ H + ( aq ) + HSO 4 − ( aq ) {\displaystyle {\ce {H2SO4(l) <=> H^+ (aq) + HSO4^- (aq)}}} , Δ H ∘ = − 73.35 k J m o l − 1 {\displaystyle \Delta H^{\circ }=-73.35~\mathrm {kJ~mol} ^{-1}} このため濃硫酸を希釈する場合は、発熱に注意しながら、撹拌しながら水の側に濃硫酸を少しずつゆっくりと加えていかなければならない(塩酸や硝酸など他の強酸類も同様)。 硫酸を水に溶かすと発熱するが、氷と混ぜると多くの水溶性化合物に見られるように、逆に寒剤ともなり得る。 金属と反応させた場合の挙動は、金属の種類のほか、硫酸の濃度と温度に依存する。
化学的性質
水和
金属に対する反応
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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