硫化水素
IUPAC名
スルファン
識別情報
CAS登録番号7783-06-4
-85.5 °C
沸点
-60.7 °C
水への溶解度0.25g /100 cm3 (40 °C)
酸解離定数 pKa6.89
19 ± 2
双極子モーメント0.97 D
熱化学
標準生成熱 ΔfHo-20.63 kJ mol-1
標準モルエントロピー So205.79 J mol-1K-1
標準定圧モル比熱, Cpo34.23 J mol-1K-1
危険性
安全データシート(外部リンク) ⇒External MSDS
GHSピクトグラム
GHSシグナルワード危険(DANGER)
HフレーズH220, H330, H400
PフレーズP210, P260, P271, P273, P284, P304+340, P310, P320, P377, P381, P391, P403, P403+233, P405
NFPA 704440
発火点260 °C
爆発限界4.3 - 46 %
関連する物質
その他の陰イオン水
セレン化水素
テルル化水素
ポロニウム化水素
二硫化水素
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。
硫化水素や二酸化硫黄を主成分とする火山性ガスを噴出する噴気孔(黒部立山・地獄谷)
硫化水素(りゅうかすいそ、英: hydrogen sulfide)は、化学式 H2S で表される硫黄と水素の無機化合物で、カルコゲン化水素の一つ。別名スルファン(sulfane)。無色の気体で、腐卵臭を持つ。空気に対する比重は1.1905である。 硫化水素は、空気より重く(比重1.1905)、無色、水によく溶け、弱い酸性を示す。 可燃性ガスであり、引火性がある。爆発限界は4.3 ? 46 %。燃焼した場合には硫黄酸化物となる。 硫化水素は好気性生物の多くにとっては有毒であるが、酸素非発生型光合成、すなわち水素源として水ではなく硫化水素を用いる事で酸素の代わりに硫黄を放出する緑色硫黄細菌・紅色硫黄細菌などの光合成細菌も存在する一方、硫黄酸化細菌と称される化学合成細菌は硫化水素の酸化に伴い発生するエネルギーで炭酸同化を行う。後者は硫化水素の豊富な海底火山の熱水噴出孔付近で生産者の役割を担い、独自の生態系を形成している。 天然には火山中から火山ガスとして放出されるほか、温泉(硫化水素泉)中に含まれる。人為的な発生源には石油化学工業などがあり、下水処理場、ごみ処理場などにおいても、硫黄が嫌気性細菌によって還元され硫化水素が発生する。飲食店などの厨房排水で設置される分離槽や溜め枡内で、閉店後水が動かなくなると非常によく発生する。糞や屁にも若干含まれる。硫酸塩還元細菌による働きで、口臭にも含まれる[1]。
特徴
腐卵臭
硫化水素は、腐った卵の臭いの原因で[2]、その時の特徴的な強い刺激臭は「腐卵臭」と表現される。目、皮膚、粘膜を刺激する有毒な気体である。悪臭防止法に基づく特定悪臭物質のひとつ[3]。噴火口から出る火山ガスや硫黄泉などの臭いが「硫黄の臭い」と形容される場合があるが、硫黄の単体(S)は無臭であり、これは硫化水素(H2S)の臭いをさしている[4]。