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核戦争の恐怖は、文明の破滅への想像力をかきたてた
終末もの(しゅうまつもの)またはポスト・アポカリプスは、フィクションのサブジャンルの一つ。
大規模な戦争、大規模な自然災害、爆発的に流行する疫病などの巨大な災害、あるいは超自然的な事象によって、文明や人類が死に絶える様を描くもの(Apocalyptic fiction)、あるいは文明が死に絶えた後の世界を描くもの(ポスト・アポカリプス、Post-apocalyptic fiction)である。
概説アメリカの画家ジョセフ・ペネルが1918年に描いた戦時国債・「自由公債(英語版)」の購入を呼び掛けるポスター『自由の女神を地上から消してはならない』。敵軍の空襲で火炎地獄と化すニューヨークが描かれている。しかし第一次世界大戦時の航空機ではここまでの火災を起こす爆弾を積むことも大西洋を越えてくることもかなわなかったが、いずれこのような破滅的戦争が起きるだろうことを見る者に予感させた
一般的にはSFのサブジャンルとされるが、SF、ファンタジー、ホラーなどを包含する「スペキュレーティブ・フィクション」(speculative fiction、思弁小説、思索小説)というより大きなカテゴリを設け、終末ものをその一部とする論者もいる。
破滅もののフィクションは災害の最中あるいは直後を舞台とし、災害や戦争で都市や社会が破壊される様を描き、生存者の苦闘や心理に焦点をあてる。また災厄から遠い将来、現代の文明社会が完全に忘れられたか神話と化している時代を舞台とし、文明の後の社会や自然環境を構想しその世界に生きる人々を描くもの、あるいは地球の終末(ダイイング・アース)や宇宙自体の終末を描くものもある。こうしたフィクションにはハードSFに属するものもあるが、どちらかといえばファンタジーやある種のディストピアものなどにあたる作品もある。
終末もののジャンルは第二次世界大戦後、人類が核兵器を手にして地球規模の殺戮が現実味を帯び、社会が核戦争に関心を持つようになって、一気に人気を博するようになった。しかし文明の終末を描いた小説は少なくとも19世紀初頭、メアリー・シェリーが『最後の人間』(1826年)を著した時期には存在しており、19世紀の科学的知見の発達や産業革命などによるイギリス社会の激変を背景に、破滅・災害を描くフィクションや破滅後・終末の風景を描くフィクションが次々登場している。加えて、終末ものは数千年も前から存在してきたさまざまな終末論や終末を描いた神話などからも想像力を得ている。
こうしたフィクションには、それらが書かれた時代を覆う恐怖、社会の破滅への期待など様々な関心事が反映している。
終末・破滅のテーマの起源ゾンビも疫病や生物兵器などによる破滅ものの中にしばしば登場するアメリカとソ連の核戦争を描いた1952年のアメリカのコミックブック、「Atomic War!」第1号
現代の終末ものフィクションの起源は、古代の黙示的文学にその起源を見ることができる。世界各地の神話や宗教には世界や人間社会の終わりを描写したもの、予言したものが多く存在する。
例えばユダ王国では、バビロン捕囚後に災厄や終末への志向があらわれ、預言者たちによる黙示文学にも終末に関する預言が登場した(特にダニエル書)。キリスト教が生まれる前後のローマ帝国のユダヤ属州においても、ローマ人に抑圧されるユダヤ人の間では終末に関する教えは関心が高く、キリスト教の勃興や教えにも影響を与えており、福音書の中ではイエス・キリスト自身も終末について述べている。
キリスト教がローマ帝国に広がった後も、キリスト教徒の間では、世の終わりの時にイエスが再臨するという思想が信仰の中枢にとどまり続けた。ローマ帝国後期の信仰や終末論は、キリスト教の終末論の形成に大きな影響を与えている。ローマ帝国後期にはさまざまな黙示的文学が登場するが、その中でもヨハネの黙示録は新約聖書に採り入れられたため今日でもよく知られており、西洋文明のなかの終末テーマの作品のほぼすべてに何らかの影響を与えている。