破壊力学
[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

この記事は検証可能参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(このテンプレートの使い方
出典検索?: "破壊力学" ? ニュース ・ 書籍 ・ スカラー ・ CiNii ・ J-STAGE ・ NDL ・ dlib.jp ・ ジャパンサーチ ・ TWL(2016年1月)

破壊力学(はかいりきがく、: fracture mechanics)は、材料力学をベースとしながらもそれでカバーできない分野に考え出された工学の一分野であり、欠陥もしくはき裂を有する部材・材料について、破壊現象を定量的に取り扱う工学的手法の一つである。き裂は曲率半径0の切り欠きであり、その部位の応力集中係数を従来の材料力学的手法で取り扱うと無限大となる困難が生じていた。これに対する回答をグリフィスやアーウィンらがみいだし、この分野が確立した。破壊力学では、欠陥・き裂部位の形状・応力ひずみの状態などを単純なパラメータに落としこみ、比較的容易に取り扱うことが出来る。材料力学を常用することで解決する分野でなく破壊問題が深刻な最先端領域で多用される。
破壊力学のパラメータ

物体の形状や、欠陥・き裂の形態・寸法、荷重条件が異なっていても、材料・パラメータの値が同一であれば、ある部位で破壊現象がおきたばあいに、別の部位でも同様の破壊現象が起きると予測できる。破壊力学のパラメータは、目的や適用範囲に応じて複数提案されている。
線形弾性の破壊力学
グリフィス理論詳細は「グリフィス理論」を参照

破壊力学は第一次世界大戦中にイギリスの航空エンジニアアラン・アーノルド・グリフィス(英語版)が、脆性材料(ガラスやセラミックスなど)の破損を説明するために発展させた[1]。グリフィスの仕事は次の2つの矛盾した事実に動機づけられたものだった:

バルクガラスを破壊するために必要な応力は約100MPaである。

原子間の結合を切るために理論上必要な応力は約10000MPaである。

これらの競合する観測結果の帳尻を合わせる理論が求められていたのである。また、グリフィス自身が行なったガラスファイバーの実験から、破壊するために必要な応力はファイバーの直径が減少するほど大きくなることが示唆された。グリフィスの登場以前は、一軸引張強度が広範囲に材料の破壊を予測するために使われていたが、これは試料に依存しない材料特性としては使えなかった。グリフィスは、実験で観測された理論上の予測値より低い破壊強度と大きさに依存した破壊強度は、バルク材料のミクロスケールのき裂によるものだと提案した。

このき裂によるという仮説を検証するため、グリフィスは彼の実験のグラス試料に人工的なき裂を導入した。この人工的なき裂は、試料表面の他のき裂に比べて非常に大きいものとした。彼の実験によると、き裂の長さ a {\displaystyle a} の2乗根と破断応力 σ f {\displaystyle \sigma _{f}} はほぼ一定で、次の式で表される: σ f a ≈ C {\displaystyle \sigma _{f}{\sqrt {a}}\approx C}

線形弾性理論の観点からのこの関係の説明には問題がある。線形弾性理論によると、線形弾性体材料の尖ったき裂の先端における応力(すなわち、引っ張り)は無限大になることが予測されるのである。この問題を避けるため、グリフィスは熱力学的アプローチを構築し、彼の観測した関係の説明した。

き裂の成長には新しい2つの表面の生成、すなわち表面エネルギーの増大が要求される。グリフィスは弾性体平板の有限のき裂の弾性の問題を解くことで、表面エネルギーを用いた定数 C {\displaystyle C} の表現を発見した。そのアプローチは端的には、

ある一軸引張負荷が加えられた理想材料に蓄えられる位置エネルギーを求める。

境界で加えられた負荷が仕事をしないように補正し、き裂を材料へ導入する。き裂は応力を緩和するので、き裂表面付近の弾性エネルギーを減少させる。一方、き裂の存在は材料全体の表面エネルギーを増加させる。

自由エネルギーの変化(表面エネルギー - 弾性エネルギー)をき裂の長さの関数として求める。この自由エネルギーが臨界き裂長さでピーク値をとるときに破壊が起こる。臨界き裂長さを越えると、き裂長さの増加すなわち破壊が起こることにより自由エネルギーが減少する。

このような手続きによって、グリフィスは次の関係を見い出した: C = 2 E γ π {\displaystyle C={\sqrt {\cfrac {2E\gamma }{\pi }}}}

ここで、 E {\displaystyle E} は材料のヤング率で、 γ {\displaystyle \gamma } は材料の表面エネルギー密度である。 E = 62 G P a {\displaystyle E=62\mathrm {GPa} } 、 γ = 1 J / m 2 {\displaystyle \gamma =1\mathrm {J/m^{2}} } と仮定すると、グリフィスのガラスにおける実験により予測された破壊応力とよく一致する。
アーウィンによる修正詳細は「グリフィス理論#グリフィス・オロワン・アーウィンの条件」を参照延性材料のき裂突端周辺の塑性領域。

グリフィスの仕事は1950年代前半まで航空エンジニアのコミュニティから全く相手にされなかった。その理由は、(a)実際の構造材料で破壊が起こるのに必要なエネルギーの規模は、発生した表面エネルギーよりも何オーダーの規模も大きいということと、(b)構造材料のき裂先端周辺で常にある程度起こっている非弾性変形がき裂先端で無限の応力を伴う線形弾性材料の仮定を極めて非現実的なものにしていること、であるようだ。 [2]

グリフィスの理論はガラスのような脆性材料の実験データと良い一致をもたらした。のような延性材料については、 σ y a = C {\displaystyle \sigma _{y}{\sqrt {a}}=C} の関係は維持されるものの、グリフィスの理論によって予測した表面エネルギー γ {\displaystyle \gamma } は大抵の場合非現実的に高くなってしまう。米海軍調査研究所(英語版)(NRL)のジョージ・ランキン・アーウィン(英語版)[3]の作業グループは第二次世界大戦の間に塑性が延性材料の破壊において間違いなく重要な役割を果たしているということに気が付いた。

延性材料では、き裂の先端で塑性領域が発達する(実は脆性材料でも同様である[4])。加えられた荷重が増加するに従って、その塑性領域はき裂が成長しき裂奥の材料にかかる荷重を緩和するまで大きくなる。き裂先端付近のこの塑性の荷重の増減の繰り返しがエネルギー散逸を引き起こし、を発生させる。ゆえに、グリフィスが脆性材料に対して考案したエネルギーバランスの関係に散逸項を加える必要がある。物理の言い方をすれば、脆性材料と比較すると、延性材料におけるき裂の成長には追加のエネルギーが必要であるということである。

アーウィンの戦略はエネルギーを2つに分けることであった:

き裂成長されることにより放出される弾性エネルギー。これは破壊における熱力学的駆動力となる。

塑性的散逸および表面エネルギーとして散逸したエネルギー(およびその他散逸)。散逸するエネルギーは破壊における熱力学的な抑制である。

すると全エネルギーは次のようになる: G = 2 γ + G p {\displaystyle G=2\gamma +G_{p}}

ここで、 γ {\displaystyle \gamma } は表面エネルギーで G p {\displaystyle G_{p}} はき裂成長の面積当たり塑性散逸(およびその他の散逸)である。

ガラスのような脆性材料においては、表面エネルギー項が卓越するので、 G ≈ 2 γ = 2 J / m 2 {\displaystyle G\approx 2\gamma =2\,\,\mathrm {J/m^{2}} } となる。鋼のような延性材料においては、塑性散逸が卓越して G ≈ G p = 1000 J / m 2 {\displaystyle G\approx G_{p}=1000\,\,\mathrm {J/m^{2}} } となる。温度がガラス転移点に近い高分子においては、中間的な値 G ≈ 2 − 1000 J / m 2 {\displaystyle G\approx 2-1000\,\,\mathrm {J/m^{2}} } となる。
応力拡大係数 K詳細は「応力拡大係数」を参照

アーウィンとその同僚によるもう一つの重要な業績は破壊に有効なエネルギーの量を線形弾性固体のき裂先端周辺の漸近による応力と変位場で計算する方法を発見したことである[3]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:36 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef