知的障害
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知的障害
概要
診療科精神医学, 心理学, 神経学
分類および外部参照情報
ICD-10F70 - F79
ICD-9-CM317 - ⇒319
DiseasesDB4509
eMedicinemed/3095 neuro/605
MeSHD008607
[ウィキデータで編集]

知的障害(ちてきしょうがい、英語: Intellectual Disability)とは、
知的機能に制約があること

適応行動に制約を伴う状態であること

発達期に生じる障害であること

の3点で定義される[1]が、一般的には金銭管理・読み書き計算など、日常生活や学校生活の上で頭脳を使う知的行動に支障があることを指す。

精神遅滞(せいしんちたい、英: mental retardation)とほぼ同義語であるが、一般的には医学用語上の用語として「精神遅滞」を用い、学校教育法上の用語として「知的障害」を用いる形で使い分ける。日本では、1950年代から学校教育法で精神薄弱(feeble-minded)という語が使われていたが、1998年に法改正を経て「知的障害」に変わった。アメリカ合衆国などでも、こうした障害は「精神遅滞」と呼ばれていたが、retardation(遅滞)という語の差別的な側面に配慮し「intellectual disability」との呼称が好まれるようになった。この分野の国際学会も病名などで「mental retardation」という表現を用いていたが、次回の改正[いつ?]で改名される予定である。

知的障害の有病率は、一般人口の約2?3%である[2]。有病者の75?90%は軽度知的障害である。非共発性または特発性のケースが30?50%を占める[2]。約1/4のケースは遺伝子疾患によって引き起こされ[2] 、約5%のケースが両親から遺伝的なものである[3]。 原因不明のケースは、2013年の時点で約9500万人が該当する[4]
法律上の定義

福祉施策の対象者としての知的障害者について定義する法令は存在するが、個々の法令において、その目的に応じた定義がなされている。客観的な基準を示さず、支援の必要性の有無・程度をもって知的障害者が定義されることもある。

客観的基準を示す法令にあっては、発達期(おおむね18歳未満)において遅滞が生じること、遅滞が明らかであること、遅滞により適応行動が困難であることの3つを要件とするものが多い。遅滞が明らかか否かの判断に際して「標準化された知能検査(田中ビネーやWISCやK-ABCなど)で知能指数が70ないし75未満(以下)のもの」といった定義がなされることもある。どちらも教育機関で習う問題を記憶されているかが大きな基準とされる。学校の勉強は単にやみくもに机に向かったからといって、確実に成果が表れるというものではなく費やした時間がまったくの無駄になってしまうこともあれば、倍の価値になって返ってくる結果もある為、覚え方の違いにより差が表れる。

1971年に ⇒【知的障害者の権利宣言】が国連で形成された。

1987年7月に、身体障害者雇用促進法が改正され、知的障害者(療育手帳所持者等)が法定雇用率の算定対象に加えられた[5]

1998年7月に知的障害者雇用が義務化され法定雇用率完全適用等が追加された[5]
症状

よくある傾向として、以下のようなものがある。
乳幼児期
同年齢の
幼児との交流が上手くいかなかったり、言葉に遅れがあったりする場合が多い。染色体異常などの病理的原因(後述)の場合は早期に発見されることが多い。
学齢期(6 - 15歳ごろ)
判断力や記憶力などの問題で、通常学級の授業についていけない場合が多い。複雑なルールの遊びに参加することは困難である。複雑なルールが把握できる場合でも、周囲との人間関係の併用された考え方が困難な事がみられる。そういったストレスから、各種二次障害が発生する場合もある。また、義務教育ではない後期中等教育への進学に当たっては各種の問題がある。
成年期(18歳 - )
高等教育への進学[注釈 1]や一般的な職場への就労はハードルが高く、障害者雇用での就労や就労継続支援事業所・就労移行支援事業所等での福祉的就労を行う事が多い。また、日常的でない判断(高額な契約など)が難しく、時に判断を誤ることや、悪意の接触にだまされることがある。

検査結果から療育手帳を交付する事も可能な結果が出た場合でも、実際に福祉のサポートを受けるかを決めるのは本人の意思によるものではなく、本人の保護者が物差しを行う。
併発疾患

自閉症スペクトラム障害との関連性が指摘されており、ASD児童のうち45-60%は知的障害を併発しているとされる[6]ADHD(注意欠陥多動障害)やダウン症などもしばしばみられる。

知的障害者は認知症を発症するリスクが異例に高く、特に40代後半から50代でピークを迎えるという。また、肥満による糖尿病高脂血症心筋梗塞脳梗塞などを起こすリスクが高いと報告されている。特に中等度や重度では、高血圧や糖分の摂り過ぎ、脂肪分の摂り過ぎなどと健康診断の結果で指摘されやすい。

自閉症を伴うほうでは健康状態に異常がある場合が特に多いとされ、未成年のうちに発作や精神状態などの理由で繰り返し入院させられるケースもある。莫大な医療費がかかることもある。
強度行動障害について

重度の知的障害を伴う自閉症児・者が対象になる。ひどいこだわりやパニック状態の繰り返し、自傷行為、噛みつき(他傷行為)、著しい多動などの問題行動が絶え間ない状態が続く。対処としては薬物療法と行動療法があげられる。
原因

小児では、3分の1から2分の1のケースは原因不明であり[2]、両親からの遺伝は5%程度である[3]。知的障害の原因であるが、それが遺伝しない遺伝子異常は、遺伝子発生の際の事故や変異によって発生したものである。そのような例としては、18番染色体が余分に発生すること(18トリソミー)、ダウン症候群が最も一般的である[3]。 血管拡張型顔面症候群と胎児性アルコール症候群が次に多い[2]。しかし、他にも多くの原因がある。
病理的要因
染色体異常自閉症などの先天性疾患、出産時の酸素不足・脳の圧迫などの周産期の事故、生後の高熱の後遺症などの、疾患・事故などが原因の知的障害。脳性麻痺てんかんなどのの器質的な障害や、心臓病などの内部障害を合併している(重複障害)者もおり、身体的にも健康ではないことが多い。染色体異常が原因の場合は知的障害が中度・重度であったり、外見的に特徴的な容貌であることも多い。
生理的要因
特に知能が低くなる疾患をもつわけではないが、たまたま知能指数が低くて障害とみなされる範囲(IQ69または75以下)である場合。生理的要因から偶然にも遺伝子の組み合わせで生まれたことなどが原因である。多くは合併症をもたず、健康状態は良好である。知的障害者の大部分はこのタイプであり、知的障害は軽度・中度であることが多い。
心理的要因
養育者の虐待や会話の不足など、発育環境が原因で発生する知的障害。リハビリによって知能が回復することもある。関連用語に「情緒障害」がある[注釈 2]。また、離島・山岳地帯・船上などの刺激が少ない環境で成育した児童も、IQが低くなる傾向にある(知能指数#生活環境を参照)。ただ、IQテストそのものが文明社会に馴染んだ者にとって有利な(○や△など抽象的な図柄を見分けるといった)問題であるため、たとえば都会生活を経験したことのない先住民族には不利な評価が下されることになる。先天性の遺伝のみが原因でもなく、育ち方や親からの扱われ方など生活環境の影響から本人の考え方や性格へと発達遅滞の原因となる場合もある。この場合、親のIQのことに本人は違和感を持っていない。逆に、元々の向上心が豊富な当事者ではあったものの、周囲からの見られ方から自信損失があり啓発意欲に興味が示せなくなる性格へと変わる事も原因となる。しかし、この場合は本人が周囲に対して違和感を抱く場合があり自分を変えようと考える事もあるが、改善へと導けるために当事者を協力できる人間は社会的に数少ないと言える。
診断

Levine and Marks 1928 IQ分類[7][8]IQ範囲IQ 分類


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