矢羽根
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この項目では、弓とともに用いる武具について説明しています。

木の伐採に用いる補助具(矢)については「伐採」をご覧ください。

幾何学の矢については「矢 (幾何学)」をご覧ください。

矢(や)は、の弾力を利用して発射される武具(狩猟具)。箭の字も用いられる。
構造
和弓の矢矢(一手)

和弓に用いられている矢は、現在でも矢竹の端に鏃を、反対の端に矢羽やをつけて作られている。

矢の長さは、自分の矢束(やづか。首の中心から横にまっすぐ伸ばした腕の指先まで)より手の指数本分長いものが安全上好ましいとされている。平家物語には十二束三伏(拳の幅12個分に加え指3本分の幅)という表記もある。

矢を作る職人を矢師(ちなみに、ゆがけを作る職人は『かけ師』、弓は『弓師』)という。弓矢は鉄砲と比べ、科学技術的にはより原始的なものではあるが、消耗品である矢を含め全ての製造を職人技に頼らなければならなかった。この点、弾火薬の製造は知識さえあれば誰でもできる労働集約型産業でまかなえたことが、銃器の普及が推進された一因でもある。
鏃(矢尻=やじり)新石器時代の矢尻現代の弓道で用いられる鏃。上から鉄製の鏃(打根)、真鍮製の鏃(打根)、巻藁矢の鏃(丸根)

縄文時代までは黒曜石等の石鏃のほか、鮫の歯、動物の骨や角などで作られていたが、弥生後期には急速に鉄製(鉄鏃)に替わっている(鏃(英語版)も参照)。使用目的により、様々な形の鏃が発達した。現在では製のものが用いられている。また稀に真鍮製の鏃を用いる人もいる。箆に挿し込むものと被せるものの二種類があるが、もっぱら「かぶせ」が使用されている。

長く使用していると磨り減るので、そのときは交換しなければならない。

矢を持つとき、日置流などではここを持つ。

流派によって、「板付(いたつき)」「矢の根(あるいは単に「根」とも)」などと呼ぶこともある。

戦闘においては一般的に小さく軽い物は遠距離用、逆に大きく重い物は近距離用で、刃の部分が広く大きめの鏃は鎧を付けていない敵に対して、細身で返しもない様な鏃は鎧、特に鎖帷子の敵に対して、刃はないがやや太く重めの鏃は板金の鎧を着た相手に対して使用した。また、火矢用に燃やすためのボロ布を絡めやすくなった鏃もあった。素材も丈夫な鉄だけでなく、緑錆のついた銅や着弾すると砕け散る石の鏃をあえて使うこともあった。

木製の鏃、木鏃(もくぞく)については捕具#矢・鏃の項を参照。
箆(の)

矢の、棒の部分。矢竹と呼ばれる)で作られ、矢柄(やがら)、矢箆竹(やのちく)、矢竹(やだけ)などと呼ばれることもある。現代ではジュラルミン炭素繊維強化プラスチック製のものも学生を中心に用いられるようになっており、これらはアーチェリーに倣ってシャフトと呼ぶこともある。

箆の形は、以下の三種がある。

一文字

文字通り端から端まで太さが変わらないもの。現在はこれが主流になっている。

杉成(すぎなり)

径が杉の木のように根(矢尻部)から徐々に細くなっている様子から名が付いた。竹の生育に適っていて、工作が少ないために丈夫といわれる。

麦粒(むぎつぶ)

中央が最も太く、両端にいくにつれてだんだん細くなるもの。空気抵抗を受けた際の振動率がよく、遠くまで威力を弱めにくく飛んでゆくので遠矢や鏑矢などに用いられた。


一組の矢では節の位置をそろえてあり、一本の矢には節は四つある。

射付節(いつけぶし)

から5cm位のところにある節。矢を持つとき、小笠原流などではここを持つ。

箆中節(のなかぶし)

矢の中央よりやや鏃側にある節。

袖摺節(そですりぶし)

矢の中央よりやや筈側にある節。着物を着ていると、矢を番えるときに袖が摺るのでこう呼ばれる。押取節(おっとりぶし)ともいう。

羽中節(はなかぶし)

矢羽の中にある節。
矢羽(やばね)甲矢と乙矢矢羽(鷲)。下が甲矢、上が乙矢

矢に取り付けられている羽。単に羽(は)と呼ばれることもある。白鳥七面鳥など様々な種類の鳥の羽が使用されるが、特に鷲や鷹といった猛禽類の羽は最上品とされ、中近世には武士間の贈答品にもなっている。使用される部位も手羽から尾羽まで幅広いが、尾羽の一番外側の部位である「石打」が最も丈夫で、希少価値も高く珍重される。

鳥の羽は反りの向きで表裏があり、半分に割いて使用する。一本の矢に使う羽は裏表を同じに揃えられるため、矢には二種類できる。矢が前進したときに時計回りに回転するのが甲矢(はや、早矢・兄矢とも書く)であり、逆が乙矢(おとや、弟矢とも書く)である。甲矢と乙矢あわせて一対で「一手(ひとて)」といい、射るときは甲矢から射る。


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