睡眠時無呼吸症候群
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睡眠時無呼吸症候群
別称sleep apnoea ,sleep apnea syndrome

睡眠時無呼吸症候群(閉塞型)
発音[ap?ni??], [?apni?]
概要
診療科耳鼻咽喉科, 睡眠医学, 呼吸器病学, 循環器病学, 神経学
分類および外部参照情報
ICD-10G47.3,P28.3
ICD-9-CM327.23, ⇒780.57
MedlinePlus000811 003997
eMedicineped/2114
MeSHD012891
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睡眠時無呼吸症候群(すいみんじむこきゅうしょうこうぐん、Sleep apnea syndrome; SAS)とは、睡眠時に呼吸停止または低呼吸になる疾患である[1][2]
概要

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)、中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSA)、これら2つの混合性睡眠時無呼吸症候群、この3つに分類される。OSAが最も一般的である[1] 。OSAのリスクファクターには、肥満、家族の病歴、アレルギー、咽頭扁桃肥大[3](アデノイド)などがある[4]

治療は、生活習慣の改善、マウスピースや呼吸機器の装着[5]、手術など[1]。生活習慣については禁酒、減量、禁煙、睡眠姿勢など。呼吸機器ではCPAP装置の装着など[6]。治療しない場合、心臓発作脳梗塞糖尿病心不全不整脈肥満交通事故などのリスクが増加する[1]

OSAの有病率は、成人で1-6% 、小児で2%ほど[7][8]。男女で有病率に差はない[7]。全ての年齢で起こり得るが、最も一般的なのは55-60歳である[1][7]。CSAの有病率は1%以下である[9]。.mw-parser-output .toclimit-2 .toclevel-1 ul,.mw-parser-output .toclimit-3 .toclevel-2 ul,.mw-parser-output .toclimit-4 .toclevel-3 ul,.mw-parser-output .toclimit-5 .toclevel-4 ul,.mw-parser-output .toclimit-6 .toclevel-5 ul,.mw-parser-output .toclimit-7 .toclevel-6 ul{display:none}
症状
主な症状

閉塞性睡眠時無呼吸症候群では激しい鼾(いびき)がみられるが、中枢性睡眠時無呼吸症候群では特徴的ないびきはみられない[10]。閉塞性睡眠時無呼吸症候群に特有のいびきは、通常の一定リズムではなく、しばらく無音のあと著しく大きく音を発するという傾向・特徴を持っている。同居者がいてもこの病気に関する情報を持っていなければ、単に「いびきをかきやすい性質」としか認識されず、治療開始が遅れることもありえる。その他、以下のような症状が挙げられる。

就寝中の意識覚醒の短い反復、およびそれによる脳の不眠

昼間の傾眠傾向

抑うつ

頻回の中途覚醒

集中力の低下

睡眠時の無呼吸状態

夜間頻尿(2型糖尿病になりやすくなる)

起床時の頭痛

インポテンツ

月経不順

呼吸性アシドーシス

腓(こむら)返り

家族などの同居者がいない場合、この病気の発見は非常に遅れる。特に自覚症状が弱い場合は誰にも発見されないため、その状態が徐々に悪化して深刻な問題を起こしてしまう。よくある深刻な問題の例は、自動車の運転中に強い眠気が発生し運転操作を誤って人身事故になることである。そしてこういう事故をきっかけにこの症状を知るというケースが目立つ。この病気が一般社会に知られるようになったのも、患者が起こした事故の報道によるものであった。
合併症

肥満高血圧高脂血症不整脈多血症虚血性心疾患脳血管障害糖尿病など[1]。動脈硬化性疾患の危険因子である。
原因と診断
原因

睡眠時無呼吸症候群は、次の3種類がある。
混合性睡眠時無呼吸症候群
閉塞型と中枢型の混合したもの。OSAが84%、CSAが0.4%、混合型が15%を占める
[11]
閉塞性睡眠時無呼吸症候群 (OSAS, Obstructive SAS)
睡眠中の筋弛緩により舌根部や軟口蓋が沈下し気道を閉塞することが主な原因である[10]。上気道の閉塞によるもので呼吸運動はある。肥満者は非肥満者の三倍以上のリスクがあるとされる[12]。OSASのスクリーニングには、BMI,収縮期血圧,拡張期血圧,いびきによるスコアを用いるものがある[13]
診断
スクリーニング
男性 4点、女性 0点

BMI: <21.0; 1点、21.0?22.9;2点、23.0?24.9;3点、25.0?26.9;4点、27.0?29.9;5点、30.0以上;6点

血圧: 収縮期血圧(SBP)<140 かつ 拡張期血圧(DBP)<90;1点、140≦SBP<160または90≦DBP<100;2点、160≦SBP<180または100≦DBP<110;3点、SBP≧180またはDBP≧110;4点

いびき: いびきをかかない、時々、たまに、わからない; 0点、いびきをよくかく、いつも; 4点


以上4項目の合計点数が11点以上でOSASの可能性が高いと判断される。14点以上ではさらに特異度があがる
[14]

診断基準

「無呼吸・低呼吸指数」(apnea hypopnea index; AHI) が米国睡眠医学会の提唱する基準では5以上且つ日中の過眠などの症候を伴うときを睡眠時無呼吸症候群とする定義が多い。

ここでは

無呼吸 : 口、鼻の気流が10秒以上停止すること。

低呼吸 : 10秒以上換気量が50%以上低下すること。

無呼吸・低呼吸指数 : 1時間あたりの無呼吸と低呼吸を合わせたもの。

を指す。

なお、この定義には当てはまらないものの低呼吸状態を繰り返して不眠を訴える場合があり、その場合も睡眠時無呼吸症候群と同様、患者のいびきや歯ぎしりがひどい場合が多いため「いびき・歯ぎしり不眠症」と呼ばれる。

睡眠総合ケアクリニック代々木の伊藤永喜は、10秒以上呼吸が止まることが1時間に5回以上あれば睡眠時無呼吸症候群と診断されると説明しており、15回までなら軽度、30回までは中程度、30回以上となれば重症としている[5]
睡眠ポリソムノグラフィ検査

睡眠ポリソムノグラフィ検査は、睡眠ポリグラフ (PSG) 検査とも呼ばれる。入院して下記のようなデータ収集を行なうものである。携帯型の簡便な装置(アプノモニター)で在宅検査を行なう場合もある。

脳波、眼電図、頤筋筋電図による睡眠ステージ

口・鼻の気流、胸・腹部の動きによる呼吸パターン

パルスオキシメーターによる経皮的動脈血酸素飽和度 (SpO2)

治療

初期介入は行動療法であり、睡眠薬の中止などを行う。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群
減量療法

患者が肥満者の場合、減量により上気道周辺の脂肪の重さによる狭窄を改善する。


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