出典は列挙するだけでなく、脚注などを用いてどの記述の情報源であるかを明記してください。記事の信頼性向上にご協力をお願いいたします。(2016年10月)
五円硬貨。銅60-70%、亜鉛40-30%の黄銅製。
黄銅(おうどう[1]、英語: brass)は、銅と亜鉛の合金で、特に亜鉛が20%以上のものをいう。真鍮(しんちゅう)[1]とも呼ばれる。 青銅と並ぶ重要な銅合金で、先史時代から使用されていた[2]。初期は、亜鉛が豊富に含まれる銅鉱石を精練して自然に得ていたと考えられる[3]。考古学では、紀元前3千年紀には、西アジアや地中海東岸地域でごく少数の痕跡が確認されている[4]。また紀元前5世紀の中国で真鍮の痕跡がある[5]。紀元前後の古代ローマ人は銅鉱と亜鉛鉱を混ぜて精製して使用していた。 しかし製造時に使う亜鉛蒸気が金属として認識されていなかったため、銅亜鉛合金としての真の性質は中世後期まで理解されていなかった[6]。両単体金属を溶かし合わせて作るようになったのは、十六世紀に亜鉛金属が発見されてからである[7]。 製法は、ローマ時代までにはセメント化プロセスを使用したカラミンブラス
歴史
なお、古代ローマではドゥポンディウスやセステルティウスなどの貨幣に使用されていた。
物性銅-亜鉛混合系の相図。横軸は銅・亜鉛混合比、縦軸は温度を示す。混合比によりα相,β相,γ相等の異なる相をとる。
配合の比によって外見が変化し、亜鉛の量が増えるに従い銅赤色→黄金色→帯赤銀白色となり、機械的性質も変わるが一般的に引っ張り強さ・硬さ・延びともに良好で加工しやすく比較的安価なため、機械器具や日用品に極めて広い用途を持つ。また、鉛・錫・ニッケルなどを加えると特別な性質を持つので、用途に応じて特殊黄銅(鉛入黄銅・ネーバル黄銅・高力黄銅など)として製作される[7]。
亜鉛のみとの合金では亜鉛の割合が増すごとに硬度を増すが、同時に脆さも増すため、亜鉛45%以上では実用に耐えない。最も一般的な黄銅は、銅65%、亜鉛35%のものである。また、銅と亜鉛の割合によって物性が変化する。JISでは銅合金として扱われ、材料記号は頭文字Cで始まる4桁記号で表される。下記に例を示す。
C2600:七三黄銅(銅が約70%、亜鉛が約30%) イエローブラスとも言う。
C2801:六四黄銅(銅が約60%、亜鉛が約40%) 黄金色に近い黄色を示す。
C3604:快削黄銅(銅が57.0-61.0%、鉛が1.8-3.7%、鉄が0.50%以下、鉄+錫が1.0%以下、亜鉛は残部) 被削性を高めるために鉛を添加している。
C3771:鍛造用黄銅(銅が57.0-61.0%、鉛が1.0-2.5%、鉄+錫が1.0%以下、亜鉛は残部)
C4600台:ネーバル(naval)黄銅(海軍黄銅とも言う) 錫(すず)を添加し耐海水性を高めたもの。
CAC201:黄銅鋳物1種
いずれの黄銅も展延性に優れており、よく冷間加工で使用される。適度な硬さと過度ではない展延性によって、旋盤やフライス盤などによる切削加工が容易でなおかつ価格もほどほどなので、微細な切削加工を要求される金属部品の材料としての使用頻度が高い[注釈 1]。