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真菌学(しんきんがく、英語:mycology)とは真菌についての学問のことである。菌学、菌類学とも呼ばれる。どちらかといえば医学の分野で真菌学を、生物学の分野では菌類学を用いる。 具体的には、酵母やカビ、キノコなどの基礎的な性質や応用についての学問。これらの生物は、外見上は肉眼的なものであっても、その構造は菌糸など、微細な構造の積み重ねから構成されているので、微生物に扱われる。したがって、微生物学の一部と見る向きもある。歴史的には、これらの生物は細菌類と共に植物界のものであると考えられていたので、植物学から派生したものである。現在では菌界は独立の界と見なされており、これが菌類学の扱う分野である。ちなみに現在では、菌類は植物とは類縁が遠く、むしろ動物界とごく近いものであると考えられている。 なお、粘菌類と卵菌類などは現在では菌類ではないと考えられている。しかしながら、長く菌類として扱われてきたので、その研究は菌類学者の仕事と見なされて来た。そのため、現在でも菌類学の中に含めることが多い。 初期の学者としては、エリーアス・フリース (Elias Magnus Fries)、クリスティアーン・ヘンドリク・ペルズーン(Christian Hendrik Persoon)、アントン・ド・バリー (Anton de Bary)、ルイス・デービッド・ド・シュウェイニツ (Lewis David von Schweinitz)などが挙げられる。 菌類学は、肉眼で観察できるキノコの研究と、顕微鏡で発見された微生物の研究を両輪に進んできた。微生物学は、細菌類を中心に進んできたため、初期の菌類学は、その影響を非常に強く受ける。微生物研究にとって不可欠な培養の技術は、酵母についてパスツールが試みたのが非常に早い例であるが、その後は主として病原性微生物を対象に研究が進んだ。しかし、そのための技術は、菌類の多くにも応用可能であったため、次第に研究が進められるようになる。 酵母は細胞レベルの生物学におけるモデル生物の最初の例となったといって良いだろう。呼吸や酵素に関する生化学の分野はここから始まっている。続いてアカパンカビが遺伝学の研究で利用されて有名になった。それ以降も基礎的な生物学の諸分野は微生物をモデルとして使用してきたが、むしろ菌類よりさらに小さく単純な微生物である細菌類やウイルスが分子生物学や遺伝学のモデルとして使われることが多くなった。しかし、これらの生物は原核細胞であり、われわれと同じ真核細胞ではないため、もっとも扱いやすい真核生物として菌類が使われる例は多い。頻繁に使われるのは出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeと分裂酵母Schizosaccharomyces pombeである。 酵母の研究が発酵産業の要請で始まったように、実用に直結した分野は、大きな発展が行われる。菌類に関しては、発酵にかかわるもの、ペニシリンに始まる抗生物質などの二次生産物の利用などが実用的な面では重要で、現在も様々な菌類の作る物質を探す事は世界中の製薬会社などで行われている。
概論
基礎生物学
応用科学
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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