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この項目では、光を受容する感覚器について説明しています。その他の用法については「目 (曖昧さ回避)」をご覧ください。

「白目」はこの項目へ転送されています。スズを主成分とする合金については「ピューター」をご覧ください。

「眼」はこの項目へ転送されています。その他の用法については「眼 (曖昧さ回避)」をご覧ください。

目(眼)
ヒトの目
1:硝子体 2:鋸状縁 3:毛様体筋 4:チン小帯 5:シュレム管 6:瞳孔 7:前眼房 8:角膜 9:虹彩 10:水晶体皮質 11:水晶体核 12:毛様体突起 13:結膜 14:下斜筋 15:下直筋 16:内側直筋 17:網膜の動静脈 18:視神経乳頭(視神経円板) 19:硬膜 20:網膜中心動脈 21:網膜中心静脈 22:視神経 23:渦静脈 24:テノン嚢 25:黄斑 26:中心窩 27:強膜 28:脈絡膜 29:上直筋 30:網膜
ラテン語Oculus
英語Eye
器官感覚器
動脈眼動脈
静脈眼静脈
神経視神経
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目(眼、め)は、受容する感覚器である。光の情報は眼で受容され、中枢神経系の働きによって視覚が生じる。

ヒトの眼は感覚器系に当たる眼球と附属器[1]、神経系に当たる視神経と動眼神経からなる[2]。眼球は光受容に関連する。角膜瞳孔水晶体などの構造は、光学的役割を果たす。網膜において光は神経信号に符号化される。視神経は、網膜からの神経情報を脳へと伝達する。付属器のうち眼瞼や涙器は眼球を保護する。外眼筋は眼球運動に寄与する。多くの動物が眼に相当する器官を持つ。動物の眼には、人間の眼と構造や機能が大きく異なるものがある。

以下では、まず前半でヒトの眼について、後半では動物全体の眼についてそれぞれ記述する。
ヒトの眼の構造ヒトの眼の構造詳細は「ヒトの眼」を参照

眼は眼窩に位置し、眼球、視神経、付属器からなる[1]
眼球

眼球は外壁(眼球壁)と内容物からなる。外壁は3層構造をなし、最外層で血管が少ないため白く見える外膜(繊維膜)は前部1/6に当たる強く湾曲した屈折を担う角膜[3]その外周にあり[3]5/6を覆う強膜からなる[1]

中間層は眼球血管膜(俗称:ぶどう膜[3])と総称され、カメラの絞りに相当する膜状組織であり中央に瞳孔と呼ばれる開口部を持つ[3]虹彩[3]、中に筋肉を持ち水晶体を支えたりひっぱたりする毛様体[3]、メラニン色素を多く含み光の乱反射を防ぐ脈絡膜からなる[1]

最内層は神経性網膜と色素上皮からなる網膜がある。網膜は、後半部に受けた光を神経の興奮状態に替えて視神経に伝える役割を持つ網膜視部と、前半部の光を感じない網膜盲部がある。この境界には鋸状縁という。また、眼球奥にも視神経に繋がるためくぼんだ箇所(視神経円板・視神経乳頭)があり、光を感じない。この場所から約4mm外側には中心窩と呼ばれる窪みがある。ここは視力が最も高く発揮される場所であり、物を凝視する際の焦点として使われる[1]

眼球の内容物には、直径約1cmの弾性を持つ凸レンズ状組織である水晶体、無色透明なゼリー状で眼球の形状を支える硝子体眼圧を調整する液体の眼房水がある。角膜と虹彩のあいだを前眼房、虹彩と水晶体・硝子体のあいだを後眼房とよぶ[1]。眼房水は毛様体の上皮で分泌供給され、強膜静脈洞(シュレム管)から排出されて静脈に還流する[1]

視神経は網膜神経節細胞の軸索である。視神経は視神経乳頭から視交差へ向かう。視神経は視交差以降では視索となり外側膝状体上丘視交叉上核などへ向かう。視神経は視神経鞘に包まれる。視神経鞘には網膜中心動脈、網膜中心静脈なども包まれる。

健常成人の平均眼球横幅は約24mmであり[4]、±10%程度の個人差がある[5]。疾患により眼球サイズは変化し、例えば近視/遠視では眼球の奥行き(axial)が10%ほど異なる傾向にある。また健常成人の平均黒目幅は11.7mmであり、個人差は±7% (±0.42 mm) 程度である[6][注釈 1]。男女間で差は見られない[7]
付属器

眼球の外側には付属器が付く。眼瞼は眼球の前方に位置する折りたたみ可能な上下2枚の襞で、眼球の保護をする。内側は血管と神経が張り巡らされた結膜があり、この箇所は感染症を起こしやすい。内部には眼輪筋と、結合組織からなり眼球と瞼の摩擦を低減する脂肪性物を分泌するマイポーブ腺を一列に備えた瞼板がある[1]

涙器には涙腺と多数の涙道がある。平時には少量のを分泌し眼球の乾燥を防ぎながら、時には多量の涙を流すこともある。通常では涙は目頭の方へ集まり、涙小管から鼻根部にある涙嚢そして鼻涙管を通じて鼻腔に落ちるようになっている[1]

筋肉(眼筋)は眼窩の中にあり眼球を動かす横紋筋である。6本のうち上直筋・下直筋・内側直筋・外側直筋の4本は直筋群と呼ばれ、眼球前方の強膜と連結して眼球をそれぞれが収縮する方向に向ける働きを持つ。残りの上斜筋・下斜筋は同じく眼球をある方向に向ける役割を担うが、その末端は滑車と呼ばれる腱と繋がっている[1]
眼の血管系網膜中心動脈と網膜中心静脈は眼底写真により観察できる。

眼を栄養する主要な動脈は、内頸動脈の枝である眼動脈の分枝である。網膜中心動脈は視神経管を通り、網膜の内面に分布する。短後毛様体動脈は視神経の近くで強膜を貫いて脈絡膜に分布する。

眼瞼や外眼筋には眼動脈の分枝のほかに、外頸動脈の枝である顎動脈浅側頭動脈顔面動脈などの分枝も分布する。

眼の主要な静脈は眼静脈である。眼静脈は上眼静脈と下眼静脈を受ける。網膜中心静脈は網膜中心動脈を受け、上眼静脈へ注ぐ。脈絡膜や毛様体に分布した血液は渦静脈となり、上眼静脈へ注ぐ。眼静脈は海綿静脈洞へと注ぐ。

網膜の特に後方奥は眼底と言い、瞳孔を通じて検視鏡で観察できる。ここは、人体において直接に血管を見ることが出来る唯一の場所であり、動脈硬化など血管の診断に利用される[1]
眼の求心性神経「視神経」および「眼神経」も参照

視神経網膜神経節細胞軸索である。視神経は視神経溝で視交叉を作り、外側膝状体上丘へと投射する。

三叉神経第1枝の眼神経の枝である、涙腺神経、眼窩上神経と滑車上神経からなる前頭神経、滑車下神経は、眼瞼や角膜の知覚に寄与する。長毛様体神経は毛様体と虹彩の知覚に寄与する。


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