目潟
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一ノ目潟。2020年9月6日撮影。

男鹿目潟火山群一ノ目潟(おがめがたかざんぐんいちのめがた)は、秋田県男鹿市北浦西水口にある国の天然記念物に指定された、爆裂火口(マール、英語: maar)に水が溜まって出来た淡水湖である[1][2]。秋田県沿岸北西部から日本海へ突き出した男鹿半島の先端付近に、一ノ目潟、二ノ目潟、三ノ目潟の3つの湖沼が東北東の方向へほぼ直線状に並んでおり、目潟火山群と呼ばれる単成火山群を形成している[3]

目潟火山群のマールのうち一ノ目潟は、本来であれば地下深くに存在するマントル起源の噴出物の中に、いわゆる捕獲岩が含まれていることが世界で最初に確認された場所として、古くから各国の火山学者らの間では知られており[4]、3つのマールは、火山地形のひとつ「マール」の典型例として[5][6]、日本国内での火山学地理学などの教科書でも取り上げられ、よく知られた存在ではあるが[7]、マール自体を国の天然記念物として指定したものは他所を含め長らく存在せず、国の天然記念物としては比較的新しい2007年平成19年)7月26日に「男鹿目潟火山群一ノ目潟」として国の天然記念物に指定された[1][2]

太平洋プレートの沈み込みに伴う東西方向の応力場[8]の支配する東北地方で、このような単成火山が出現するのは不思議であり[3]、また、多種多様な火山地形を持つ日本においてもマールは例が少なく、特に東北地方では目潟火山群の3つのマールが唯一のものである[2]
解説
目潟火山群の形成年代.mw-parser-output .locmap .od{position:absolute}.mw-parser-output .locmap .id{position:absolute;line-height:0}.mw-parser-output .locmap .l0{font-size:0;position:absolute}.mw-parser-output .locmap .pv{line-height:110%;position:absolute;text-align:center}.mw-parser-output .locmap .pl{line-height:110%;position:absolute;top:-0.75em;text-align:right}.mw-parser-output .locmap .pr{line-height:110%;position:absolute;top:-0.75em;text-align:left}.mw-parser-output .locmap .pv>div{display:inline;padding:1px}.mw-parser-output .locmap .pl>div{display:inline;padding:1px;float:right}.mw-parser-output .locmap .pr>div{display:inline;padding:1px;float:left}一ノ目潟秋田市 一ノ目潟の位置[† 1]

「男鹿目潟火山群一ノ目潟」として国の天然記念物に指定された一ノ目潟は、男鹿半島西部の台地上に、ほぼ東北東の方向に並んだ3つの淡水湖のひとつで、古くより火山地形のマールの典型例として知られてきた[5]。マールとは「爆発的な噴火でできた火口で、そのまわりに目立つような堆積物をもたないもの」と定義されている[7][9]。より具体的には、水とマグマが接触して起こる非常に強い水蒸気爆発によって、噴出物が激しく周囲に飛び散るため、一般的な火口のように噴出物が環状に堆積する顕著な丘を形成しないものを指す。日本国内では他の火山地形と比較するとマールは例が少なく、当地のほかには伊豆大島波浮港や、鹿児島県薩摩半島南部の山川港など数例が知られるのみである[2]目潟火山群の空中写真。右(東側)から一ノ目潟・二ノ目潟・三ノ目潟が並ぶ。国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成。(1975年11月4日撮影の15枚を合成作成。)

目潟火山群の3つのマールの形成された時期について、かつては沖積世(完新世)の初め頃に開始されたと考えられていたが、3つのマール火山噴出物の序層[10]や、湖底から採取された木片の放射性炭素年代測定などから、一ノ目潟、二ノ目潟、三ノ目潟の順番で形成されたと考えられており[3]、このうち一ノ目潟は6万年前から8万年前[4]、または8万年前から11万年前[11]、二ノ目潟は2万年前から4万年前[12]、三ノ目潟は2万年前から2万4000年前と考えられるようになった[4]。なお、歴史時代の活動歴はない[13]

目潟火山群の活動は3つの活動期があったと考えられており、古い順から、
第1期 一ノ目潟の形成。泥流を伴った水蒸気爆発。

第2期 既に形成されていた一ノ目潟でマグマを含んだ水蒸気爆発と軽石が放出され、第2期の末期に二ノ目潟が形成された。

第3期 三ノ目潟の形成。スコリア火山礫の放出が起きた。

今日確認される目潟火山群の噴出物の体積は0.1 km3以下である。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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