監視カメラ
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様々な監視カメラの種類

監視カメラ(かんしカメラ)とは、何らかの目的で何らかの対象を監視するためのビデオカメラである。主に人間を監視し、犯罪の抑止などの効果を求めて設置されるものは防犯カメラ(ぼうはんカメラ)、活火山や天候、河川を監視して防災上効果を求めるものは防災カメラ(ぼうさいカメラ)とも呼称される。広義にはカメラ単体ではなく、撮影した映像の伝送・処理、記録、表示機能を含むシステム全体を指すことがある。英語では video serveillance などと呼ばれることもあるが、 closed-circuit television(閉回路テレビ:ケーブルで結ばれたカメラとモニタ間だけの閉じた回路のテレビ)の略語を用いて「CCTV」と呼ぶことの方が多い。

監視カメラの設置場所は、店舗などの各種施設内や敷地内、街頭、鉄道の踏切空港学校暴力団事務所、個人および集合住宅など多岐にわたる。
主な用途
防災

ダム水量監視、道路災害(崩落など)監視、活火山監視、津波監視[1]鉄道駅ホームの乗降状況確認など。

工場の製造ライン監視、原子力発電所火力発電所、研究所などで人が入れない場所の異常監視、ダム、河川、火山などの状況の監視・記録に使用されている。「かぐや」などをはじめ、人工衛星のような状態が把握しにくいものについても監視カメラが用いられる。
防犯

監視カメラは、様々な犯罪の摘発に役立っている[2][3][4][5]。複数の監視カメラ映像をつなぎ合わせて犯人の行方を突き止める「リレー方式」[6]人工知能(AI)による顔認識システムも導入されている[7]

日本の各都道府県警は、繁華街などの防犯対策の一環として、繁華街、街頭、街路周辺に監視カメラを設置している。鉄道会社においても、各駅の状況確認のため監視カメラを設置している。また、鉄道の車内にも設置されつつある[8][9]。しかし、首都圏の各鉄道会社は監視カメラの運用規則を公表しておらず、規則を開示すべきとする声もある[10]

一般の目に触れるものとしては、防犯を主な目的として、商店(小売店)や銀行など金融機関、暴力団事務所、エレベーター、公的機関の天井など様々な場所に設置されているものがある。目的は、金融・公的機関の場合、侵入者や不審者の監視・記録はもちろん、従業員の背任行為を抑止するためでもある。エレベーターでは乗客の異常行動などを感知して近くの階に止まるなど、色々な用途で使われている。商店の場合、顔認識による万引き常習犯の監視も行われている[11]ベトナムでは、空港の貨物運搬係による窃盗が多発しているため、運搬係に監視カメラを装着することが検討されている[12]

暴力団事務所の場合、悪戯や対立する組の関係者、警察関係者の監視のため設置されている。施設内だけでなく、市街や盛り場の道路などに監視カメラが取り付けられることも増加しつつある。学校の通学路や校門への監視カメラ設置も行われているほか、校内への監視カメラ設置も進んでいる[13][14]。また、カメラの価格低下に伴い、個人で自宅駐車場などに盗難防止、当て逃げ防止目的として安価な監視カメラを設置するケースもある。(「#設置場所と目的・効果」も参照)

監視カメラの映像から必要な情報だけを簡単に検索し抽出できるシステムも開発されている[15]

警察が、複数の監視カメラ映像や、個人から提供されたスマートフォンで撮影した映像を分析して、刑事事件容疑者の逃亡先を「リレー方式」で追跡して逮捕につなげる取り組みも行われている[16]

日本では、防犯カメラなどで取得した画像によって容疑者を特定する割合が増加し、2019年(平成31年/令和元年)には検挙数の1割がカメラ画像によるものだった[17]。物証の残りにくい特殊詐欺などの捜査では、防犯カメラの映像が重要となっている[18]

しかし一方で、テレビニュースなどで防犯カメラの映像を紹介する際には、犯人の顔の部分や、自動車のナンバープレートなどにモザイク処理が行われることが多く、犯人の検挙に役立っていないとの批判がある[19]
設置場所と目的・効果スウェーデンストックホルムに設置された交通監視カメラ

防犯用に設置される監視カメラの場合、「監視している」ことによる犯罪抑止効果を求めるケースと、「犯罪が起きたときの証拠確保」を目的とする場合とに分かれる。前者の場合は目立つ場所に設置され、後者の場合には目立たない場所に設置される。プライバシー侵害につながるという批判を回避するために監視カメラを設置していることを「監視カメラ作動中」といった看板などで告知している場合もある。この場合はもっぱら前者の目的を求めることになる。

犯罪抑止用では、撮影機能がないダミーカメラも販売されている[20]

カメラが破壊されることも考えられるので、複数のカメラを組み合わせて設置することがある。監視カメラ本体が他の監視カメラによって撮影されるようにするものである。また、カモフラージュの方法として、電球ソケットに挿し込める監視カメラ内蔵LED電球も存在する[21]。また、ATM自動販売機などの機械には監視カメラ搭載のものが多い。

人物に設置されたウェアラブル監視カメラは、ボディカメラ(英語版)や身体装着監視カメラ (Body-worn CCTV)などと呼び、アメリカイギリス香港などの警察で急速に普及している[22][23][24][25]。学校での使用も試みられ始め[26][27]、アメリカではボディカメラの最大手アクソンとドローンの最大手DJIが提携して警察向けに監視ドローンを販売している[28][29]。日本でも民間防犯用に監視カメラをドローンに搭載することも行われはじめている[30][31]。また、中国の警察では監視カメラの機能を搭載したロボットが配備されており[32]、監視カメラの機能を搭載したサングラス型のウェアラブルコンピュータも使用している[33]懐中電灯に監視カメラの機能を搭載することも行われている[34]
犯罪抑止JR東日本E233系電車7000番台1号車の監視カメラ。

イギリスで2005年7月7日に起きたバス地下鉄を標的としたロンドン同時爆破事件において、犯人の検挙が迅速に行われたのは、監視カメラの記録に負うところが大きい。特に故意犯に対する抑止効果が期待されている。日本においても、成田国際空港関西国際空港に顔認識システム付きの監視カメラが設置されており[35]、また2007年(平成19年)7月1日に東海道・山陽新幹線で営業運転を開始したN700系電車の全乗降口と運転室出入口にも、日本では初めて鉄道車両内に監視カメラを設置するなど、公共交通機関でも防犯を強く意識した監視カメラの設置が進んでいる。


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