この項目では、動物の器官について説明しています。動物の皮膚を加工した素材については「皮革」を、過去にペンネーム「肌」を用いていた作家については「編乃肌」をご覧ください。
ヒトの皮膚を表面から見たところサイの皮膚
皮膚(ひふ)は、動物の器官のひとつで、体の表面をおおっている層のこと[1]。体の内外を区切り、その境をなす構造である。皮膚と毛、爪、羽毛、鱗など、それに付随する構造(器官)[1]とをあわせて、外皮系という器官系としてまとめて扱う場合がある。また、動物種によっては、皮膚感覚を伝える感覚器の働きも持っている場合がある。ヒトの皮膚は肌(はだ)とも呼ばれる。
高等脊椎動物では上皮性の表皮、その下にある結合組織系の真皮から構成され、さらに皮下組織そして多くの場合には脂肪組織へと繋がってゆく[1]。
ヒトの皮膚は、上皮部分では細胞分裂から角化し、垢となって剥がれ落ちるまで約4週間かかる[2]。
ヒトの皮膚
構造ヒトの皮膚の構造
ヒトの皮膚は体重の6.3?6.9%を占め[1]約9kg、面積は約1.6m2であり、身体の中で最も大きい器官である[2]。表皮は0.06-0.2mm[3]、真皮は2.0?2.2mmだが、掌や足の裏など場所によって異なる[4]。重量は約3kg[4]。9kg?3kg?
組成は水分約57.7%、タンパク質約27.3%、脂質約14.2%、灰分約0.6%である[1]。口唇・鼻孔・まぶた・外陰部・肛門では表皮は粘膜へと移行する[1]。皮膚にはさまざまな付属器があり、毛・爪・皮膚腺(汗腺・皮脂腺など)がある[1]。 外胚葉由来で胎生2?3週間で基本的な構造が形成される[5]表皮は主にケラチノサイトという細胞で形成されている[3]。最も上側にある表皮には、真皮と接触し細胞分裂を盛んに起こす[6]1層の基底細胞があり、そこから生じる表皮細胞が基底側から有棘細胞(有棘層)・顆粒細胞(顆粒層)・淡明層・角質細胞(角質層)へと変化しながら外側に動く[7][6]。上皮では不溶性で[6]繊維状のタンパク質の一種ケラチンを生成して保護機能を持たせ、また同様に生成されたメラニンは紫外線から皮膚を防御し、エルゴステロールは紫外線によってビタミンDへ変化する[1]。そして約4週間程度で[6]表皮細胞は表面で厚さ10?20 μm、足の裏などではmm単位の角質(角層)となり、プログラムされた細胞死を迎えて生命反応を止め[8]、やがて剥離する[3]。これらの細胞はいずれも扁平の形状をしている[7]。 角質部分は、活動を止めた細胞を脂質が取り囲んでおり、モルタルを挟んでレンガが積まれたような構造を取っている。この脂質はセラミド、コレステロール、遊離脂肪酸が特定の比率で層状に重なっている[8]。これらの脂質はケラチノサイト細胞が角膜の下部に到達するとその内部でラメラ顆粒や層板顆粒と呼ばれる袋をつくり、その中に溜め込まれる。細胞が角質となって死ぬと、袋から脂質が押し出されて細胞の間に広がって層をつくる[8]。この層に入り込んだ樹状細胞にはメラノサイトがあり、胎生3?6か月の頃に神経堤から生じて進入し、色素系と形成する。その他の樹状細胞にはランゲルハンス細胞やメルケル細胞等がある[7]。 皮膚の表面には皮溝 (sulcus cutis) と呼ばれる溝があり、浅い皮溝で囲まれる細かな隆起を皮丘 (crista cutis)、太い皮溝で囲まれる複数の皮丘を含む領域を皮野 (area cutanea) と呼ぶ。毛は太い皮溝の交点に生え、汗腺は皮野に開口する。指腹、手掌、足底などでは皮溝が平行して走行しており、皮溝の間に形成される稜線が指紋、掌紋、足紋である[9]。 表皮の下層にある真皮は中胚葉由来であり[5]、表皮との接触面である凸凹した乳頭層(真皮乳頭[10])と、その下の網状層に分けられる。
表皮
真皮