百式(ひゃくしき、HYAKU-SHIKI)は、「ガンダムシリーズ」に登場する架空の兵器。有人操縦式の人型ロボット兵器「モビルスーツ」 (MS) のひとつ。初出は、1985年放送のテレビアニメ『機動戦士Ζガンダム』。
作中の軍事勢力のひとつである反地球連邦組織「エゥーゴ」の試作機。元々は可変型のガンダムタイプMSとして設計されていたが、技術不足からこれを断念し、通常のMSとして完成した。全身に施された金色の特殊塗装と肩に描かれた「百」のマーキングが特徴で、高い機動性と運動性を発揮する。
『Ζガンダム』劇中では、クワトロ・バジーナの偽名でエゥーゴに参加している元ジオン公国軍大佐シャア・アズナブルが搭乗し、続編の『機動戦士ガンダムΖΖ』では、おもに「ガンダム・チーム」の一員であるビーチャ・オーレグが搭乗する。
メカニックデザインは、永野護のラフ画をもとに藤田一己が行なった[1]。
当記事では、そのバリエーション機についても記述する。 当初、デザイナーの藤田一己はネモをベースに百式をデザインしようと考えていたが、監督の富野由悠季に永野護の描いたラフを使うよう言われたため、そのデザインを基にアレンジ・クリーンナップして現在のデザインとなった。 「M・ナガノ博士」の設定[注 1]などから、永野によってデザインされたと誤解されることも多いが、彼が描いたのは百式の基になったMSのラフ稿(新ガンダム案)[注 2]だけであり、「完成した百式のデザインは100パーセント藤田君のもの」と語っている[2]。また、同様に「M・ナガノ博士」の設定によって永野のアイデアだと誤解されている金色のボディカラーのほか、「百式」というネーミングやMSの肩に漢字の「百」を書き込むという案も、彼の証言によればすべてスポンサーとの打ち合わせの際に富野が出したものだとのことである[3]。 永野は、小説『機動戦士Ζガンダム』(講談社刊)第2巻の表紙に全体のシルエットは似ているもののアニメ版とは若干異なるデザインの百式を描いている。この機体は頭部以外が後述のエプシィガンダムと同型で、シャア・アズナブルの乗機ということを意識して登頂部にはジオン軍MS風の角があり、金色ではなく赤系統のカラーリングとなっている。カメラアイはラフ稿と同じガンダム型のツインアイで、肩の数字は漢字の「百」ではなくアラビア数字の「100」に改められている。また、永野は『月刊ニュータイプ』1994年1月号(8-9頁)に、「タイプ100」と称してまったく別のデザインのガンダム型頭部を持つ機体を描き下ろしている。こちらの機体は明灰白色と黄橙色を基調とするカラーリングで[注 3]、機体各部にモノアイ型カメラアイを複数持つメガ粒子砲とプルトンドライブ・エンジンを搭載したジオン軍連隊長機という設定になっている。 藤田は、小説『機動戦士Ζガンダム』(角川文庫刊)の口絵に、自身の手によるアニメ版デザインをさらにアレンジした百式を描いている。 ゲーム『機動戦士Ζガンダム エゥーゴvs.ティターンズ』『機動戦士ガンダム ガンダムvs.Ζガンダム』におけるティターンズ(ジオン・アクシズ)カラー機やゲーム『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』における2Pカラー機は、シャア専用を髣髴とさせる赤色となっている。また、ゲーム『サンライズ英雄譚2』では、赤色に塗装されたシャア専用機が登場した。 『ガンダムMSグラフィカ』に掲載された百式の開発途上のカラーバリエーション候補には、赤色が含まれている[4]。 漫画『機動戦士ガンダム U.C.戦記 追憶のシャア・アズナブル』では、アストナージ・メドッソに百式を赤くするかどうか聞かれる場面がある。その後はあるシミュレーションを経て、色をそのままにしておくことに決めている。 なお、決定稿でも目元の内部詳細までは描かれておらず、富野も特に決めていなかったため、テレビ版では後述のようにツインアイが光るシーンがある。2005年公開の劇場版『Ζ』の新作パートでは、そういった理由や後述のアナハイム・ガンダムとの設定も踏まえ、メカニカル作画監督の仲盛文がかっこよさを優先してツインアイとして描いている[5]。 諸元百式
デザイン
設定解説
HYAKU-SHIKI[6] / 100 SHIKI[7]
TYPE-100
型式番号MSN-00100[7] / MSN-100[8]
所属エゥーゴ
建造アナハイム・エレクトロニクス
生産形態試作機
全高21.6m[9][注 4] / 19.2m[11]