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百合(ゆり)は、女性の同性愛のこと。また、それを題材とした創作物のジャンルである。ガールズラブ(英語: girls' love、GL)とも呼ばれる。
作品の場合、女性同士の恋愛だけでなく恋愛に近い友愛や広く友情を含んだ作品も百合と言うことが多い[注 1]。1990年代以降の日本の漫画、ライトノベル、アニメ、同人誌のジャンルをさすことが多いが、戦前の少女小説や一般のレズビアン文学、実写映画も含まれる場合がある[1][2][3]。 語源は1970年代、男性同性愛者向けの雑誌『薔薇族』で編集長を務め、2011年引退した伊藤文學が、男性同性愛者を指す薔薇族の対義語として、百合族という言葉を提唱したことによると言われている[4][5]。同誌には女性読者の投稿コーナー「百合族の部屋」が設けられた[注 2]。また、従来日本においては「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」と、美人を百合に例えることがしばしばあったが、男性同性愛者が真っ赤な薔薇にたとえられていることから、伊藤はそれとの対比で女性的なイメージの強い白百合を当てたという説もある[4]。 当初は、女性同性愛を意味する隠語であったが、1983年にレズ(レズビアン)作品である日活ロマンポルノ映画『セーラー服 百合族』(児ポ法との関係で、現在は『制服 百合族』に改題)が人気を得たことにより、百合は隠語ではなく、女性同性愛を意味する言葉になったという。ただし、現在の意味で普及したのは2000年代前半以降のことである。『マリア様がみてる』ブーム、百合ブーム[注 3] があり百合という言葉が使われるようになった。性的指向を率直に表す「レズ」という言葉に比べ、「百合」は軽めの女性同性愛を意味する言葉として定着していった。しかし時には、官能的な女性同性愛のことも百合と称される場合がある。 元々このジャンルは、戦前の少女小説に源流があると、森絵利佳は語る。その少女小説は、吉屋信子の『花物語』に始まるとされているが、作品の中で描かれる少女同士の強い絆はエスと呼ばれ、1914年の宝塚歌劇団の創立もあって[6]、少女から大きな支持を得た。現実の女学校でもエスに良く似た少女同士の強い関係が生まれていた[7]。 しかし、戦後共学化により女ばかりの閉鎖的な空間は、共通のものとしては存在しなくなった[8]。しかも、戦前には女子高(=高等女学校)というものは結婚までの避難所であり、結婚というものは大抵親から押し付けられるものだった。少女は結婚までの限られた時間の中で、唯一自由な女同士の愛をファンタジーとして味わったのである。しかし、戦後異性との自由恋愛が一般化するにつれて、強固なファンタジーが他のファンタジーを駆逐してしまった[8]。そのため、戦後もしばらくはエス小説は発表されていたが、徐々に姿を消していった[9]。戦前・戦後に大量生産された捨てられた子が母に出会うパターンの母と子の自然な関係という大きな物語に、エスが回収されたことも指摘されている[10]。 しかし、戦後の少女文化においても女性同士の愛を扱った作品は消えることなく、近年の百合作品の隆盛に至るまで脈々と受け継がれた。少なくとも1950年代には戦前のエスを引き継いだ漫画が発表されており[11]、戦後の少女小説における母娘、姉妹間のレズビアニズムを思わせる強い絆が指摘されている[9]。多岐川恭は江戸川乱歩賞を受賞した長編推理小説『濡れた心』で女子高生の純粋な同性愛を描いて話題となった。丸茂ジュンはレズビアンの女探偵をヒロインとした連作ミステリー『ヴィトンの中は疑惑の匂い』を1984年に発表、本シリーズは横山まさみちにより劇画化もされている。 日本で初めての連載少女漫画は『リボンの騎士』であるが、その続編の『双子の騎士』(1958年 - 1959年)に早くも男装の少女が女性を惹きつける場面が描かれている[12]。また、『なかよし』版『リボンの騎士』(1963年 - 1966年)にも女性同士の結婚の場面がある[12]。1970年前後にはわたなべまさこ『ガラスの城』(1969年 - 1970年)や矢代まさこ『シークレットラブ
語源
歴史吉屋信子(1930年)