白黒リバーサルフィルム(しろくろリバーサルフィルム)は、写真フィルムの分類で、白黒のリバーサルフィルム(リバーサルの白黒フィルム)である。原理等はカラーのリバーサルフィルムと同様で、白黒反転フィルムや白黒ポジフィルムや白黒スライドフィルム等と呼ばれることも同様である。カラー写真におけるクロス現像と比べ、白黒写真では白黒ネガフィルムをリバーサル現像することはさほど特殊なことではないが、ベースを透明としたり、感光材をリバーサル現像やスライド向けに調整された製品が、白黒リバーサルフィルムとして生産・販売されている。
白黒写真用のフィルムはスライドおよび商業印刷に、35mmフィルムは劇場用映画等の上映用プリントに、16mmフィルムおよび8mmフィルムは小型映画等の撮影用に使用される[1]。
2011年現在も、コダック(アメリカ合衆国)、ORWO(ドイツ)、フォマ・ボヘミア(チェコ)等各社が、写真用・映画用の白黒リバーサルフィルムを製造販売している(後述)。
略歴・概要(英語版)、撮影機シネコダック(英語版)を発表した[2][3]。同フィルムは安全フィルムであった[2][3]。同時期に劇場用映画のディフュージョン版を家庭で上映するためにフランスのパテが生み出した規格である9.5mmフィルムで、小型映画用の撮影機パテベビーでの撮影用に、白黒リバーサルフィルム(ダイレクトフィルム、ROFとも)が発売されている[4]。
1953年1月、富士フイルムは、白黒リバーサルフィルム「ネオパン反転8mmフィルム」「ネオパン反転16mmフィルム」を発表する[5]。
1955年、コダックは白黒リバーサルフィルム「コダック プラスX リバーサルフィルム 7276」「コダック トライX リバーサルフィルム 7278」の製造販売を開始、後者の貢献によりコダックは、第28回アカデミー賞科学技術賞を受賞している[6]。
1960年10月、富士フイルムは、商業印刷・製版用に「富士製版用反転フィルム」を発表する[7]。1962年(昭和37年)、コダックは劇場用映画のプリントフィルム用に「イーストマン リバーサル白黒プリントフィルム 7361」(オルソタイプ)を発売する[8]。
写真用白黒リバーサルフィルムについては、ドイツのアグフア・ゲバルトが製造販売し、もっとも普及していたアグフアスカラ(ドイツ語版)が、2005年5月、135フィルム、ブローニーフィルム(120フィルム)、大判カメラ用シートフィルム(4×5 シノゴ判)の全製品が生産終了した[9]。これをもって「世界唯一の白黒リバーサルフィルムが消滅した」[10]とするのは誤りである。前述のムービー用等の他写真用についてもそれ以前もそれ以後も、チェコのフォマ・ボヘミアによる「フォマパンR」、ドイツのギガビットフィルムによる「ギガビットフィルムDIA」、同じくローライの「ローライRSD」の製造販売が(2014年現在)続けられている。⇒ #おもな製品 コダックが示す基本的な現像工程の定義は以下の通りである[11]。
現像「現像#白黒リバーサル現像」も参照
基本プロセス
第一現像 - 撮影によって感光したハロゲン化銀の結晶を金属銀に還元してネガ画像を起こす。時間と温度が仕上がりを左右する。全暗室で行う。
水洗 - 第一現像液を除去する。全暗室で行う。
漂白 - 金属銀がかたちづくるネガ画像を溶解するが、残留したハロゲン化銀には影響は及ぼさない。