白髪鬼
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岡本綺堂による同名の怪談作品、およびこれを表題作とした短編作品集については「岡本綺堂」をご覧ください。
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『白髪鬼』(はくはつき)は、イギリスの作家マリー・コレリの小説『ヴェンデッタ』を基にした黒岩涙香の翻案小説、およびそれを江戸川乱歩がさらに翻案した小説。殺害された後、埋葬された墓の中で蘇生し、恐怖のために白髪と化した一人の男の復讐譚である。『モンテ・クリスト伯』に大枠を依拠したストーリーであるが、主人公がもともと貴族である点など相違点も多く、猟奇性も強いため乱歩長編としても違和感が無い。
概要

マリー・コレリは22歳の時の処女作以来、数十冊の著作は当時どれも大ベストセラーとなり、凄惨小説の最高作家としてイギリス大衆文壇の女王であった。『ヴェンデッタ(復讐)』(Vendetta!; or, The Story of One Forgotten, 1886年)は、コレリが22歳の時に書いた2作目の作品である。

本国での発表から間もなく、黒岩涙香がこれを『白髪鬼』の題名で翻案した。1893年明治26年)に「萬朝報」で、大好評のうちに終了した『鉄仮面』の翌日から連載された(6月23日 - 12月29日)。まず、「死して蘇生した男がイタリアに居ると知り、その自伝を入手したので明日から連載する」との予告を掲載している。物語は、白髪鬼となった男の手記実伝として書かれ、前作『鉄仮面』をも上回る大人気を博した。

江戸川乱歩版は1931年昭和6年)、黒岩涙香の翻案を同題名のまま更に翻案した長編小説である。雑誌「富士」に掲載された。乱歩は自身の説明で、涙香作品を更に翻案した理由として、昭和初期、一般読者には涙香の『白髪鬼』の文語体が既になじみ薄いものとなっていたこと、彼が少年の頃に耽読した涙香作品の中でも『白髪鬼』がいたく気に入っていたこと等を挙げている。再翻案に際し、乱歩はあらすじを変えるなど独自の改変をおこなっているが、涙香の遺族の承諾を得て作品名は同じにしている。戦前の春陽堂発行の文庫本には涙香版と乱歩版の二つがあり、乱歩版には『乱歩の白髪鬼』と付けられていた。
主要登場人物

原作(平田訳での読み)/黒岩涙香版/江戸川乱歩版  (涙香・乱歩版は相違点を要約)
Count Fabio Romani(ファビオ・ロマニ伯爵)/波漂羅馬内伯爵(はぴよ ろまない伯爵)/大牟田敏清子爵(おおむた としきよ子爵)
(原作)主人公。ナポリの富豪ロマニ家の当主。父フイリッポは彼が17歳の時死亡、母はそれ以前に若くして亡くなっている。1884年のナポリにおけるコレラ大流行の際、病気の少年を助けた後半日ほどで突然体調が悪化し8月15日に死亡するが、埋葬された晩にロマニ家の地下墓所の棺の中で蘇生、その時偶然墓窖が山賊の宝物蔵になっていたことを知り、さらに彼らの侵入口になっていた抜け穴から脱出するも、「服が汚れているのが気になる」と言う理由で古道具屋によった際にそこの店主から「白髪の老人」と言われ、自分の髪が一夜にして真っ白になったことを知る。さらに店主から自分が知らなかった妻のニーナの裏の顔を聞かされ、気になってこっそり我が家に帰ったその日、ニーナとギドーが愛人関係であり、己を悪し様に語るを聞き復讐を誓い、そのために山賊の宝をネコババして富豪のチェザレ・オリヴァ伯爵として姿を変え行動する。(涙香版)伊太利亜第一の富豪、羅馬内家の当主。伝染病(コレラとは明記されてない)で死亡する。蘇生後原作同様に脱出するが、「服に病原菌がついているのではないか」と気にして古着屋に行き、原作同様に店主の話から白髪と妻の裏の顔を知るにいたり、復讐のため海賊の宝を使って富豪の笹田折葉伯爵として姿を変え行動する。(乱歩版)九州西岸S市の旧大名家、大牟田家の当主。冒頭の記述から20年前、30歳前後の時に崖から転落して(実は崩れるように細工した岩の上に誘い出されて)死亡するが、埋葬されて5日後に蘇生後原作同様に脱出するが、「腹が減ってやせ衰えて泥まみれの経帷子では帰りたくない」と古着屋に行くと原作同様に店主の話から白髪と妻の裏の顔を知るにいたり、復讐のため海賊の宝を使って富豪の里見重之子爵として姿を変え行動する。
Count Cesare Oliva(チェザレ・オリヴァ伯爵
[注 1])/笹田折葉伯爵(ささだ おりば伯爵)/里見重之子爵(さとみ しげゆき子爵)
(原作)本来は実在人物でファビオの小学校時代の親友だったが、ヴェニスの浜で溺死している。主人公は彼の名前を借り、変わり果てた白髪と特徴的な目つきを隠す黒眼鏡、そして山賊の財宝で、「ファビオの父の友人で外国から帰って来た初老の富豪」に成りすます。(涙香版)本来は実在人物なのは原作同様だが、こちらは主人公の母方の伯父[注 2]。貧窮貴族で波漂が8・9歳の頃印度へ一身代作ろうと向かうが、数年後に海で溺死している。やはり主人公に名前を借りられる。(乱歩版)涙香版の設定をベースとしており本物は母方の親戚、こちらは「単身南米にわたりそのまま音信不通だった」のを主人公に名前を借りられるのが相違点。
Guido Ferrari(ギドー・フェラリ)/花里魏堂(はなざと ぎどう)/川村義雄(かわむら よしお)
(原作)ファビオの親友[注 3]の画家。彼もまた両親に早く死に別れ、画家としての腕はあるが経済的には困窮していたので、ファビオは彼の自尊心を損ねないような形で援助していた。当初は女性に興味のないファビオに女性との恋のすばらしさを説くような人間だったが、彼がニーナに一目ぼれして結婚した時にギドーもまたニーナに恋をしてしまい、結婚後3か月目にニーナに告白して以後は彼女と浮気を続けていた。ファビオの死後ニーナの後夫を狙うが、チェザレ(=ファビオ)が金の力でニーナを誘惑させて自分と結婚するように仕向けた挑発に乗ってしまい、彼に決闘を仕掛ける。(涙香版)ほぼ原作同様。同じ学校の同級生と明記されている程度の相違。(乱歩版)全体的な流れは近いが、年齢が3歳年下で学校も近くだが別(大牟田が大学、川村が美術学校。)と説明。さらに原作・涙香版ではあくまで冒頭の主人公の死亡は偶然だったのに対し、こちらは川村が大牟田敏清を故意に殺害するなどより悪漢になっている。舞台が決闘禁止後の日本になっていることもあり、終盤の流れも重之(=敏清)への決闘申し込みではなくこっそり殺害しようと別荘を訪ねてくる流れになっている。
Countess Nina Romani(ニーナ・ロマニ伯爵夫人)/那稲羅馬内伯爵夫人(ないな ろまない伯爵夫人)/大牟田瑠璃子子爵夫人(おおむた るりこ子爵夫人)
(原作)主人公の妻。フローレンスの没落した貴族の令嬢で尼院(修道院)で教育され、15?16歳ごろの1881年6月末にファビオの求婚を受け入れ妻になり一児を儲けるが、それは堅苦しいそこでの生活から脱出したかっただけで、ファビオを愛していたのは最初のうちだけだったと本人自らギドーに語る。結婚後3カ月もたたないうちにギドーからも告白されて受け入れ、ファビオの死後は(対面上)喪に服さないといけない半年を待ってギドーと結婚しようとする予定だったらしい(ギドー談)が、宝石に目がくらみチェザレ(=ファビオ)と婚約する。(涙香版)原作とほぼ同様。(乱歩版)中国[注 4]筋の零落士族の娘で18歳の時に敏清と結婚。2年間結婚生活を送るが子供は居ないままで、敏清の子供(少なくともそう思わせられる子供)ができる前に浮気相手の川村が独断で敏清を殺してしまったことで、財産が自分に回らなくなる[注 5]事で悶着を起こす(本人の前では一応愛人関係を続けていた)。
Stera(ステラ)/星子/(乱歩版には登場しない)
(原作)主人公の娘。1882年5月1日生まれで目つきが父親(そして父方の祖父)によく似ている。ファビオの死後はお父さんっ子だった事と母のニーナやギドーの扱いの悪さで気難しくなっていたが、チェザレ(=ファビオ)には彼が父と分からなくても懐いていた。秋が深まるにつれ顔色がさえずやせ衰えていき、11月の半ば過ぎにジフテリアを悪化させ母親が乳母を部屋にも入れず放置した事なども重なって危篤状態になり、チェザレの姿のままの主人公を病気による幻覚でパパと呼ぶので、主人公も黒眼鏡をずらして素顔を見せると幻覚ではなく実際に「父親がいる」と知って嬉しそうに死亡[注 6]。享年3歳。なお、これによってニーナと自分を結ぶ唯一の絆が切れたことで、主人公がステラを巻き込みたくないと迷いながら先延ばしにしていた復讐計画が一気に加速し始めることになる。(涙香版)基本的に原作と同じだが、ナポリを離れた船上で「星子は魏堂の子ではないか?」と主人公が疑い、その後「結婚後2カ月目に妊娠確認しているからやっぱり自分の子だ[注 7]」と再確認して改めて「復讐が終わったら星子を手厚く育てる(ただし星子から母を奪うことになる復讐計画自体は絶対にする)」と誓う場面が追加されている。(乱歩版)彼女自身は登場しないが、瑠璃子と川村の間にできて誕生後まもなく証拠隠滅[注 8]のため殺されてしまった赤ん坊が出てくる。
Carmelo Neri(カルメロ・ネリ)/軽目郎練/朱凌谿
(原作)ロマニ家の地下墓所に宝を隠していた赤い短剣を合印にするパレルモの山賊首領。後に部下のルイジ・ピスカルチの裏切りを受け後をつけられ、主だった仲間と共に逮捕され、この時に一途な妾のテレザを喪う、その後パレルモで捕らえられた状況で主人公と偶然出会い、アンドレア・ルチアニ(彼をここまで逃がした船長)にテレザが死んだことを伝えてくれるように頼んだ後連れていかれ、彼を逮捕した憲兵隊本部の人によると終身懲役刑になるという。(涙香版)原作とほぼ同じだが「海賊」とされ、妾と裏切った部下の名前が「照子」と「ビス カルダイ」になっている他、主人公を装飾品の夜光石(ダイヤモンド、地下墓所の宝物の1つだった)から仲間の変装と思いこむ描写が追加されている。また罪状が終身懲役から死刑に変更されている。(乱歩版)基本的に涙香版の設定だが、イタリア人から中国人(原文は「支那人」)の海賊になり、合印が赤い短剣から「紅髑髏」、妾と裏切った部下の名前は「ルイズ」と「山田」に変更の他。主人公に気がついた宝石がダイヤモンドから真珠になっている。
あらすじ

(原作・黒岩涙香版[注 9])ナポリのロマニ家のファビオ・ロマニ伯爵は、親友のギドー・フェラリから称賛されるほど、美しい妻ニーナと可愛い娘のステラと共に幸せに暮らしていたが、1884年のコレラ流行時に(下手に逃げるとかえって危ないと考え)町に出ずに屋敷で衛生的な生活を送っていたが、庭で散歩中に偶然港の方に出てそこで倒れていた果物売りの少年を助けようとしたあと急激に体調が悪化し死亡する[注 10]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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