登録有形文化財
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この項目では、日本の登録有形文化財について説明しています。その他の登録有形文化財については「登録有形文化財 (曖昧さ回避)」をご覧ください。

登録有形文化財の標識(文化庁交付1996年登録(宗教)/日本基督教団大阪教会(大阪府)1996年登録(学校)/東京大学安田講堂(東京都)1996年登録(文化福祉)/南座(京都府)1997年登録(住宅)/畠中家住宅(野良時計)(高知県1998年登録(産業一次)/二ヶ領用水久地円筒分水(神奈川県)2000年登録(生活関連)/長良川発電所本館(岐阜県)2003年登録(産業三次)/海岸ビルヂング(兵庫県)2006年登録(官公庁舎)/松山地方気象台愛媛県2004年登録(産業二次)/旧横浜ゴム平塚製造所記念館(神奈川県)2006年登録(治山治水)/堂々川六番砂留(広島県)2007年登録(交通)/美保関灯台(島根県)

登録有形文化財(とうろくゆうけいぶんかざい)は、1996年平成8年)の文化財保護法改正により創設された文化財登録制度に基づき、日本国によって文化財登録原簿に登録された有形文化財のことである。登録対象は当初は建造物に限られていたが、2004年(平成16年)の文化財保護法改正により建造物以外の有形文化財も登録対象となっている。登録物件は近代(明治以降)に建造・製作されたものが主であるが、江戸時代のものも登録対象になっている。
概要
登録制度創設の背景

1996年の文化財保護法改正により、従来の文化財「指定」制度に加えて、文化財「登録」制度が創設された。第二次大戦以降の日本においては、急激な都市化の進展などにより、近世末期や近代以降の多種多様な建造物が、その建築史的・文化的意義や価値を十分認識されないまま破壊される事例が相次いだ。このような反省に立ち、昭和40年代ごろから、近世の民家建築、近代の洋風建築などが国の重要文化財や、地方公共団体の文化財に指定される例が漸増していった。

しかし、急激に消滅しつつある近代の建造物の保護にあたっては、国レベルで重要なものを厳選する重要文化財指定制度のみでは不十分であり、より緩やかな規制のもとで、幅広く保護の網をかけることの必要性が議論された。こうして、重要文化財指定制度を補うものとして創設されたのが、文化財登録制度であり、登録された物件を登録有形文化財と称する。
登録の対象

1996年の文化財保護法改正の時点では、登録の対象は当面建造物のみとされ、美術工芸品、歴史資料などは登録対象となっていなかった。この理由は、建造物に関しては、都市化や開発の進展、生活・居住形態の変化などにより、取り壊される可能性があり、緊急に保護措置をとる必要があるためであった。

2004年の同法改正により、建造物以外の有形文化財も登録の対象となった。また、有形民俗文化財、記念物(史跡名勝天然記念物関係)についても、従来の「指定」制度を補完するものとして「登録」制度が導入された。登録された有形民俗文化財および記念物はそれぞれ登録有形民俗文化財登録記念物と呼ばれる。
登録の抹消

この登録制度は指定制度を補完するものであるため、登録対象となる有形文化財は、国や地方公共団体の指定を受けていないものに限られる。登録有形文化財として登録された後、国の重要文化財、または地方公共団体の文化財として指定を受けた場合は、登録有形文化財としての登録は抹消される[1]。ただし、地方公共団体の文化財として指定を受けた場合において、その登録有形文化財について、その保存および活用のための措置を講ずる必要があり、かつ、その所有者の同意がある場合は、例外的に登録を抹消しないことができる(第59条第2項ただし書)[2][1]。焼失や解体などの現状変更が行われた場合も抹消される[1]
指定と登録

ウェブサイトや観光案内書などで、「登録有形文化財に指定されている」という表現をしばしば見かけるが、文化財保護法の規定上、文化財の「指定」と「登録」とは明確に区別されており、「登録有形文化財として登録されている」と表記するのが正確である。官報告示においても「文化財を登録有形文化財に登録する」という表現が用いられている。
登録文化財所有者の会

2005年(平成17年)、日本初の登録文化財所有者の会として大阪登文会が設立された[3]。その後、京都府、秋田県、愛知県(愛知登文会)、群馬県、東京都、和歌山県、三重県、神奈川県、滋賀県の順に登録文化財所有者の会が設立されている。2019年(令和元年)6月には全国組織として全国登文会が設立され、愛知県半田市の小栗家住宅で設立総会が開催された[4]
登録有形文化財(建造物)

2024年令和6年)4月1日現在、建造物の登録件数は14,035件である。登録されている物件には、以下のような多様な分野の建造物がある。

役所、図書館、学校、駅舎などの公共建築

軍隊関連施設

伝統産業施設

店舗、銀行旅館ホテルなどの商業建築

工場などの産業関連施設

トンネル橋梁灯台などの交通関係建造物

ダム水門などの近代化遺産

社寺教会などの宗教建築

民家(飲料用水、生活用水)

これらの登録物件には、建設当時のまま現役のもの、ホテルなど別の用途で活用しつつ保存されているもの、博物館・資料館などとして公開活用されているものとに分かれる。
統計
都道府県別

2024年(令和6年)4月1日現在、都道府県別の建造物の登録件数は以下のとおりである。登録有形文化財一覧を参照。なお2県以上なのは、栃木県群馬県の県境にある「わたらせ渓谷鐵道笠松トンネル」と、山梨県長野県の県境にある「唐沢堰堤」である。この2件はそれぞれの県の登録件数に含めず、「2県以上」に分類している。

 都道府県件数
 総数14,035件
1大阪府846件
2兵庫県775件
3京都府630件
4長野県625件
5愛知県571件
6新潟県569件
7滋賀県501件
8東京都466件
9香川県448件
10岡山県359件
11群馬県342件
11和歌山県342件
13奈良県328件
14神奈川県327件
15三重県319件

 都道府県件数
16静岡県306件
17千葉県305件
18広島県299件
18石川県299件
20茨城県294件
21高知県288件
22岐阜県282件
23福島県268件
23栃木県268件
25鳥取県259件
26福井県236件
27大分県233件


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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