検閲
国別
発禁
発禁(はっきん、(はつきん)とは、『発行禁止処分』または『発売頒布禁止処分』の略称であるとともに、両者の総称である。
本項では略称の「発禁」に統一して記述する。 発行禁止処分または発売頒布禁止処分は、発行、発売、頒布された(またはその準備が整った)出版物、音楽、映画などの表現物の内容に不都合がある場合に、その発行、発売、頒布を禁止する処分である。無償頒布のものも対象となる。 どのような内容の表現物が発禁とされるかは、時代や地域によって異なる。 戦前の日本においては、雑誌ならば該当号、単行本ならばその書籍のみの発売や頒布を禁止対象とする「発売頒布禁止処分」と、雑誌や新聞の以後の号の発行を全て禁じる「発行禁止処分」があり、それぞれ根拠法条を異にしていたが、しばしば混同されている[1]。 国立国会図書館では、旧帝国図書館時代に所蔵していた発禁本と、終戦後米軍が内務省から接収しその後返還された発禁本とを所蔵している[2]。 1998年のアカデミー賞を受賞したアメリカ映画「クンドゥン」は、ダライ・ラマ14世の半生を描いたものであるとして、中華人民共和国で上映及び公開禁止となっている。 中国国内の経済格差という社会問題に触れた「迷失北京」は、中国政府の掲げる社会テーマと一致しないという理由で、中国映画審査機構より上映禁止となり、「迷失北京」から「苹果」(リンゴ)と改題、映画審査機構による5回の審査を受ける。2007年の第57回ベルリン国際映画祭への出品にあたり、北京市の不衛生な町風景と天安門広場及び中華人民共和国の国旗など、中国イメージの対外的な低下に繋がるシーンについて、当局から削除が命じられている[3]。 現在の日本では、日本国憲法第21条において検閲が禁止されているため、法制度上の発禁は原則存在しない。 したがって、出版等が禁止されるのは、私人間の民事訴訟において、裁判所の判決または仮処分により出版等の差止めが命じられる場合に限られる。 民事訴訟において人権侵害(名誉毀損、プライバシーの侵害等)や著作権の侵害(著作権法第112条)が認定された場合は、販売差止め(出版差止め)が命じられ、これを俗に発売禁止ということもある。 アメリカ合衆国憲法修正第1条において、報道の自由が保障されている。しかし、報道の自由と個人のプライバシー権の議論がおこなわれ、政府が公開した情報なら合法という最高裁の決定が、Florida Star v. B. J. F. 発禁については、Criminal Code (刑法)に次の情報は発禁処分になると記されている[4]。
概要
現行の事例
中華人民共和国
日本
アメリカ
イギリス
進行中の裁判を妨害する事件情報:Contempt of Court Act 1981(英語版
Sexual Offences (Amendment) Act 1992
カナダ
Section 486.4(1) and (2) - 性的暴行被害者の個人情報の公開
Section 486.4(3) - 18歳未満の証人、児童ポルノ対象者の個人情報の公開
Section 486.5(1) - 被害者または目撃者を特定できる情報の公開
Section 486.5(2) - テロ組織・犯罪組織などの犯罪事件に関与した司法関係者の個人情報の公開
Section 517/Section 539 - 係争中の裁判情報
Section 631(6) - 裁判所が発禁が必要と判断した陪審員を特定できる情報
過去の事例
日本「日本における検閲」も参照梅原北明の雑誌『グロテスク