発生学
[Wikipedia|▼Menu]
桑実胚:8細胞期1 - 桑実胚, 2 - 胞胚1 - 胞胚, 2 - 原腸形成; オレンジ - 外胚葉, 赤 - 内胚葉

発生学(はっせいがく、Embryology)は、の発生を研究する学問である。胚とは、動物では誕生孵化の前、植物では発芽の段階にある全ての組織と定義できる。

発生学では主に、受精卵の発生と組織器官への分化を扱っている。分割が起こると、桑実胚から端に極のある胞胚となる。

左右相称動物では、胞胚の発達の仕方には大きく2通りあり、これによって動物界が二分されている。胞胚の最初にできた極が口になるのが旧口動物であり、肛門になるのが新口動物である。旧口動物には、昆虫などの多くの無脊椎動物が含まれ、新口動物には脊椎動物などの進化した動物の多くが含まれる。また、この過程を原腸形成という。

原腸形成が起こるとすぐに細胞は3つの層に分かれ、全ての器官や組織はここから作られる。

内胚葉からは、消化管膀胱等ができる。

中胚葉からは、筋肉骨格血管等ができる。

外胚葉からは、神経管皮膚等ができる。

ヒトでは、「胚」という言葉は、受精卵子宮着床した時から、妊娠後8週目頃までを指し、妊娠8週目を過ぎると胎児と呼ばれるようになる。

多くの種で、初期の胚は良く似ている。これは、多くの種が同じ進化の歴史を経てきているからであると説明される。これは相同性と呼ばれる。
歴史6週目のヒトの胎児10日目のネズミの胚甲虫の幼虫

18世紀まで、ヒトの発生には、卵子精子の中に予め小さな胎児が含まれているという前成説が信じられていた。これと反対の説が後成説で、アリストテレスによって2000年も前に考えられていた。後成説では、卵から徐々に動物の形成が始まるとされる。19世紀に顕微鏡が改良されると、生物学者は進化の段階に沿って胚を観察することができるようになり、後成説が支持されるようになった[1]

近代の発生学の草分けには、ギャヴィン・デ・ビーアチャールズ・ダーウィンエルンスト・ヘッケルJ・B・S・ホールデンジョゼフ・ニーダムらがいる。また、アリストテレスから続く近代以前の発生学者には、レオナルド・ダ・ヴィンチマルチェロ・マルピーギジェロラモ・カルダーノラザロ・スパランツァーニらがいる[2]。他にはウイリアム・ハーベークリスティアン・パンダーアウグスト・ヴァイスマンらが発生学に重要な貢献をした。

1950年代以降は、デオキシリボ核酸の構造が明らかになり、分子生物学発生生物学に関する知見が蓄積し、胚から徐々に形態が変わってくるそれぞれの段階で、どの遺伝子がどのように制御されながら働いているのかを明らかにする取り組みができるようになった。
脊椎動物と無脊椎動物

発生についての多くの原則は、脊椎動物と同様に無脊椎動物にも当てはまる[3]。そのため、無脊椎動物の胚の研究が脊椎動物の胚の研究を進化させてきた。しかし、多くの相違点も見つかっている。例えば、無脊椎動物の多くの種は発達が完了する前に、親とは違う形の幼虫の時代を経る。無脊椎動物の発生学は、他の無脊椎動物の種と似ている点が多いが、違いも沢山ある。例えば、クモは卵から直接成虫になるが、多くの昆虫は少なくとも1つの幼虫の段階を経る。
近代の発生学の研究

現在では発生学は、発生の過程での遺伝学的制御、細胞シグナル、ある種の病気突然変異幹細胞との関係等で、重要な研究テーマとなっている。
脚注^ Campbell et al. (p. 987)
^ Massimo De Felici, Gregorio Siracus, ⇒The rise of embryology in Italy: from the Renaissance to the early 20th Century, Int. J. Dev. Biol. 44: 515-521 (2000).
^ Parker, Sybil. "Invertebrate Embryology," McGraw-Hill Encyclopedia of Science & Technology (McGraw-Hill 1997).

関連項目.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ウィキメディア・コモンズには、発生学に関連するカテゴリがあります。ウィキブックスに発生学関連の解説書・教科書があります。ウィクショナリーに関連の辞書項目があります。発生学

胚発生

反復説

旧口動物

新口動物

胚葉

中胚葉

後成説

発生生物学

モルフォゲン

心臓の発生

細胞説

外部リンク

Embryo Research UK philosophy and ethics website discussing the ethics of embryology

Human embryo research Canadian website covering the ethics of human embryo research

Indiana University's Human Embryology Animations

What is a human admixed embryo?

UNSW Embryology Large resource of information and media

Definition of embryo according to Webster










生物学
対象生物学

ウイルス学

寄生虫学

植物学

真菌学

人類学

動物学

微生物学

分子生物学

生理・生化学

生化学

生理学

栄養学

疫学

毒性学

病理学

免疫学

薬理学

細胞・組織学

解剖学

形態学

細胞生物学


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:18 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef