発泡酒
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この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。
ディスカウントストアに並ぶ発泡酒

発泡酒(はっぽうしゅ)とは、日本酒税法で定義されている酒類の一つ。日本ではビール風味の発泡アルコール飲料が多く、これらは日本の酒税法でビールと区別して定義されており、「定められた副原料以外を用いる」ので発泡酒に分類される[注 1]。本項では、これら日本で1990年代以降に展開されている低税率系発泡酒を中心に記述する。
概要

1990年代中盤以降日本で展開されている発泡酒は、主にビールの原料のうち麦芽の使用割合を下げ、代わりに大麦、米、糖類などの割合を増やしたビール風アルコール飲料である。ビールに比べると低価格である。

発泡酒市場は1994年以降の市場形成以来2000年代前半までシェア拡大したことで、ビールの売り上げが減少傾向となり、アルコール飲料の売れ筋商品となっていたが、2度の酒税改正や第三のビールの登場による割安感の低下、ビール会社の事業方針変化などの要因により、2000年代後半以降の市場は縮小化している[1]

新ジャンルのビール風味アルコール飲料『第三のビール』において「リキュール(発泡性)@」では原材料として発泡酒が使用され、それに小麦または大麦を原料の一部に使用したスピリッツを加える製法となっている[2]

アルコール飲料の中で、日本の税制に影響された内容や副材料を極端に多用した内容から、日本独自のビール類似アルコール飲料であり[3]、日本国外メディアでは low malt beer や happoshu と紹介されることもある。

また、麦・水・ホップの他にビールへの使用が認められていない副原料を使用した発泡性酒類も日本では発泡酒に分類される。そのため、スパイスやハーブを用いたビールや、果実や果汁を用いるフルーツビールも2018年3月31日までは全て「発泡酒」と区分されていた[4]。特に、ベルギーから日本に輸入されるビールにはベルギーの法律上ではビールであるにもかかわらず、副材料の使用量から日本の酒税法上では「発泡酒」になってしまうことがあった[5]。なお、副材料については、2018年4月1日に施行された改正酒税法によって緩和されたため、以前は発泡酒扱いだったが輸入ビールが改正後はビール扱いとなっている銘柄もある[6]

発泡酒にて「生」の定義は、ビールの「生」(生ビール)の定義と同様に『熱処理をしていないもの』が該当する[7][8]。表示に関して「ビールの表示に関する公正競争規約」[9]に該当せず他に規約がないため、「生」商品でもビールのような「熱処理していない」旨(「非熱処理」等)の表記は行なわれていない。
地発泡酒

地ビール(クラフトビール)の発泡酒版である「地発泡酒」(クラフト発泡酒)も存在する[注 2]。ビールでなく発泡酒とする理由としては、発泡酒免許を受けるための最低製造数量が6kLと、ビールの10分の1である点[10]、フルーツやハーブなど、酒税法上ビールに区分されない原料を使うため[4]、あるいは大手メーカーと同様、価格引き下げのためなど、いくつかの理由が存在している。

なお、地ビールに対して税制優遇が存在するが、地発泡酒に対しては麦芽25%未満の区分のみが優遇対象となり、本来の税率がビールと同じである麦芽50%以上の発泡酒では、結果として税制優遇のあるビールより税額が高くなっている[11]
広義

広義では「炭酸ガスを含んだ酒」という意味がある[12]。具体的には、ビール類似アルコール飲料(いわゆる【発泡酒A】に属する第三・第四のビールなど)[3]シャンパンなどのスパークリングワイン[12]発泡日本酒などを指す場合にも用いられることがある。
定義

酒税法第3条によると、酒類は「ビール」「リキュール」「雑酒」など17種類に分類され[注 1]、発泡酒は以下の定義となっている。
発泡酒


麦芽又は麦を原料の一部とした酒類(同法第3条第7号から第17号までに掲げる酒類及び麦芽又は麦を原料の一部としたアルコール含有物を蒸留したものを原料の一部としたものを除く)で発泡性を有するもの(アルコール分が二十度未満のものに限る)をいう。

税率

税制上区分は麦芽比率によって「50%以上」「25%以上50%未満」「25%未満」の3種。大手ビールメーカーが販売する一般的な発泡酒の麦芽比率は「25%未満」が主流である。麦芽比率「50%以上」の発泡酒の税率はビールと同率である[2]。かつては、地ビールやベルギービールを始めとする輸入ビールの中には日本の旧酒税法上ビールとして認められない副原料(ベルジャンホワイトビールにおけるコリアンダーシードやオレンジピールなどのハーブ類)が使用されているものもあり、節税型発泡酒と区別し発泡酒なのに値段が高いというような批判を回避するため「酒税法上ビールと表記できない原材料を使用しているため発泡酒となります。麦芽使用比率は50%以上なので税率はビールと同じです。」等の注意書きがされていることがあった(2018年4月1日に施行された改正酒税法で政令で定めた副原料を麦芽の100分の5まで使用できビールと認められるようになった[13])。

2020年(令和2年)10月以降、順次減税または増税され、2026年10月には麦芽使用比率に関わらずビールと同一の税率(1リットルあたり155円)になる[13]

2020年10月1日から2023年(令和5年)9月30日までの1リットルあたりの税率は次の通り。

発泡酒

麦芽比率50%以上 - 200円

25%以上50%未満 - 167.125円

25%未満 - 134.25円

なお、ビールの税率は麦芽比率50%以上の発泡酒と同率で1リットルあたり200円、いわゆる第三のビールは108円、チューハイ等のアルコール分10度未満で発泡性のある酒類の税率は1リットルあたり80円である[13]

2006年(平成18年)5月1日から2020年9月30日までは次の通りであった[2]

発泡酒

麦芽比率50%以上 - 220円

25%以上50%未満 - 178.125円

25%未満 - 134.25円


歴史・背景

日本での発泡酒の誕生には、時代背景による一種の対処法、参入障壁の高いビール製造、高いビールの税率、1989年平成元年)以来のビールの低価格競争が主な要因としてあげられる。
戦前から1960年代

戦前では、1932年(昭和7年)に余剰米対策として大蔵省醸造試験所でライスビールの研究が行われたが、市販化には至らなかった[14]

太平洋戦争中、ビールは戦意を高揚するための重要な戦略物資であったが、戦況の悪化に伴い食糧不足が逼迫し、ビールの原材料となる大麦や米の供給不足が顕著化した[15]。このような時代背景もあって大麦の使用量を減らした[14]、もしくは使用しないビール風の酒類「麦酒類似飲料」の製造開発を軍部は依頼し、農芸化学を専門とする大学大日本麦酒などの産業関連研究機関を中心に研究が行われた[15]。この原材料は甘藷(サツマイモ)とホップであり、現在でいう「第三のビール」に相当するものであった[15][16]

戦後も食糧不足が続き食糧管理法によりビールの製造も統制が行われたため、原材料で麦芽の使用が認められなかったことから、麦芽を使わない「合成ビール」と呼称されるビール類似の酒類開発が行われ、新規企業の太洋醸造が当時自由販売化していたイモとホップを使用したイモ・ビールの試験醸造を申請して認可され、1950年(昭和25年)から新発売され、日本の市販発泡酒第1号となったが、1年程度で終売した[14][17]1952年(昭和27年)、麦芽の原料になる大麦が統制緩和されたが、一部企業は原材料としての使用は引き続き制限されたまま[17]で、同年の合成ビールに関する特許は大日本麦酒以外にも12件登録されており、名称は「合成麦酒」「即製麦酒様飲料」「ビールの素」「麦酒代用飲料」が用いられていた[18]1950年代における、発泡酒の一般的な呼称は「合成ビール」「模擬ビール」「模造ビール」「原材料名+ビール(一例:イモ・ビール)」など、複数存在した[19]。1950年代前半から後半にかけて「ビーヤ」「ビール」の名を用いたビール風味の酒・飲料が複数存在し、引き続きイモを原料とした酒「イモ・ビール」、合成麦酒製造方法で作った酒「ファミリー・ドリンク・ビール」「クイック・ビール」「即席ビール」、果実酒にホップと炭酸ガスを加えた酒「ミュンヘンビール」「リンゴビール」、焼酎割りを前提とした清涼飲料水「新ビール・ミックス」などがあった[18]1953年(昭和28年)、発泡酒に一定量までの麦芽の使用が認められるようになったこと、ビールの需要増加と焼酎と合成清酒の需要減退、ビールよりも参入コストと税金が少なく抑えられる利点があったことにより、参入障壁の高いビールを避けて発泡酒に参入する企業が現れた[16][19]。1950年代から1960年代に複数社から、この種の酒が製造・販売されていた。しかし、多くの会社は数年で撤退し、協和?酵工業(現・協和発酵キリン)1960年に発泡酒「ラビー」を発売して当初は好調であったが冬になると出荷が激減し[20]、ライナービヤーは1959年11月14日に既存ビール会社からビールと紛らわしいと不正競争防止法で訴えられ、1965年6月4日に最高裁判所の判決で既存ビール会社が勝訴したことから事実上販売を差し止められた[21][22]。また、1957年昭和32年)にビール業界に宝酒造が参入したが苦戦、1967年(昭和42年)にビール事業から撤退[23]1964年にはサントリーが発泡酒事業ではなくビール事業に参入し、日本のビール庫出数量は1000万を突破してビール各社が品質・販売数量を競争する時代に突入した[22]。これらの要因などから「ビールに対抗して発泡酒を売るのは難しい」と考えられ発泡酒事業ブームは終了し、発泡酒は酒税法で定義されているものの長期間参入する企業がない状況が続き、醸造タイプの商品は1990年代中盤まで途絶え、休眠状態のジャンルとなってしまう[16][22]
1980年代

発泡酒で醸造タイプは長期間途絶えたが、混合タイプは既存メーカーから僅かに商品化された。1983年(昭和58年)にアサヒビールが発売した「Be」はビールとジュースを混合した発泡酒で、カクテルの様に色がついていたことや、アルコール度数が2%だったこともあり「ビールタイプのライトカクテル」として発売された。ピンク・グリーン・パープルの3色に染められたネコが白いグランドピアノの前で戯れるCMが当時話題を呼んだ。1986年(昭和61年)にサッポロビール東海四県限定で「ビヤカクテル バンブー」を発売。しかし、両商品とも短期間で販売終了した[16]

1984年(昭和59年)にサントリーが発売した「ビーハイ」はその名の通りビールを焼酎で割ったもの[24]で、今日でいう「第三のビール:リキュール(発泡性)(1)」(もしくは「第四のビール」)のルーツ的な商品であったが、成果が出ず製造販売中止となった[24]
1990年代から2000年代中盤

1989年平成元年)に酒類販売免許が緩和され、大型ディスカウント店でビールを扱うことができるようになった。これによりこれまでの小売店での希望小売価格での購入が減り、大店舗間での低価格競争が起こった。それらの競争は、卸売業者や生産メーカーへの値下げ要望となったのだが、そもそもビールはその小売価格のうち46.5%が税金で占められ、値下げは難しい商品であった(1990年代前半における日本国産ビールの一般的な価格は225円前後[25][26])。また、日本国産ビールの値下げが難しいため、日本国外の安い輸入ビールを取り扱う店が急増し、日本国内の大手ビール会社は危機感を募らせていた。

この状況に対し、日本国内のビール会社は価格と内容で対抗出来る商品の開発が急務であり[27]、麦芽使用量を抑えた酒類の研究・開発が進められていた[28][29]。当時の酒税法では麦芽の比率が67%(3分の2)以上のものをビール、それ未満は「雑酒 - 発泡酒」の区分けで、ビールに比べ税率は低い条件になっていた[26][28][30]。1990年代前半においてシェアが5%台と大苦戦していたサントリーは打開策として発泡酒の税率の低さに注目し、過去20年行われた低麦芽比率における発泡酒醸造の研究を活かし、日本人の嗜好に合う味と価格面でも支持を得るような新商品の開発を具体化させ[25][28]、麦芽比率の低下による香味への影響を原料・酵母・醸造技術で解決して商品化に至った[28]


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