痩果(そうか)(そう果、英: achene, akene, achaenium[注 1], achenium[注 2], achenocarp)[1]とは、果実の1型であり、果皮が乾燥して1個の種子を包み、裂開しない果実のことである。カヤツリグサ、ニリンソウ、ヤブマオ、ヤマブキ、スイバ、タンポポなどに見られる(下図1)。外見上は1個の種子のように見えるためしばしば「種(タネ)」とよばれるが(例: ヒマワリのタネ)、実際には種子ではなく1個の種子を含む果実である。.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{display:flex;flex-direction:column}.mw-parser-output .tmulti .trow{display:flex;flex-direction:row;clear:left;flex-wrap:wrap;width:100%;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{margin:1px;float:left}.mw-parser-output .tmulti .theader{clear:both;font-weight:bold;text-align:center;align-self:center;background-color:transparent;width:100%}.mw-parser-output .tmulti .thumbcaption{background-color:transparent}.mw-parser-output .tmulti .text-align-left{text-align:left}.mw-parser-output .tmulti .text-align-right{text-align:right}.mw-parser-output .tmulti .text-align-center{text-align:center}@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{width:100%!important;box-sizing:border-box;max-width:none!important;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow{justify-content:center}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{float:none!important;max-width:100%!important;box-sizing:border-box;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow>.thumbcaption{text-align:center}}1a. イチゴ(バラ科)の花托上の痩果1b. タンポポ(キク科)の冠毛をつけた痩果(下位痩果)
狭義には子房上位(雌しべにおいて種子のもととなる胚珠を含む部分である子房が、花弁や雄しべ基部よりも上部についていること)で1枚の心皮(雌しべを構成する葉的要素)からなるものに限られるが、ふつう子房下位や複数の心皮からなるものでも同様の特徴をもつものは痩果とよばれる。ただしキク科の痩果のように下位子房に由来するものは、特に下位痩果(菊果)とよばれることもある。1つの花から複数の痩果が形成され、集合果を形成することもある。痩果からなる集合果であり、かつ花托に由来する構造が多くを占める偽果として、イチゴ状果やバラ状果がある。また複数の花がそれぞれ痩果を形成し、まとまって複合果(多花果)を形成する例もプラタナスなどに見られる。痩果は裂開しないため、種子を含んだ果実が散布される。 狭義には、子房上位で1心皮からなり、成熟した状態で果皮は乾燥しており、1種子を密に包んでいるが果皮と種皮は合着しておらず、裂開しない果実は痩果とよばれる[2][3][4][5][6][7][8][9]。このような痩果は、ロウバイ(ロウバイ科)、オモダカ(オモダカ科; 下図2a)、ヒルムシロ(ヒルムシロ科; 下図2b)、マツモ(マツモ科)、ウマノアシガタ、ニリンソウ、センニンソウ、カラマツソウ(キンポウゲ科; 下図2c)、ヤブマオ、カテンソウ(イラクサ科)、オランダイチゴ(イチゴ; 下図2d)、バラ、ダイコンソウ、キンミズヒキ、ヤマブキ、ワレモコウ(下図2e)(バラ科)、アキグミ(グミ科)などに見られる[10][11]。2a. オモダカ属(オモダカ科)の痩果2b. ヒルムシロ属(ヒルムシロ科)の痩果2c. キンポウゲ属(キンポウゲ科)の痩果2d. イチゴ(バラ科)の痩果2e. ワレモコウ属(バラ科)の痩果 しかし複数の心皮からなるものでも、類似した特徴をもつ果実はふつう痩果とよばれる[3][4][10][12]。このような果実は、コウボウムギ、ワタスゲ、ヒメクグ(カヤツリグサ科; 下図3a)[注 3]、ケヤキ(ニレ科)、クワ、ヒメコウゾ、イヌビワ(クワ科)、カナムグラ(アサ科; 下図3b)、ドクウツギ(ドクウツギ科)、スイバ、イタドリ(下図3c)、イヌタデ(タデ科)[注 4]などに見られる[10][14]。3a. ノグサ属(カヤツリグサ科)の痩果(小堅果)3b. カナムグラ(アサ科)の痩果3c. イタドリ(タデ科)の痩果は翼状の花被で包まれている3d. タンポポ属(キク科)の痩果(下位痩果)3e. ヒマワリ(キク科)の種子(左)と痩果(下位痩果; 右) またノアザミ、タンポポ(上図3d)、ノゲシ、セイタカアワダチソウ、オオブタクサ、フキ、ハハコグサ、ヒメジョオン、ヒマワリ(上図3e)などキク科の果実も複数の心皮からなる痩果であるが[4][10][12]、子房下位(子房が花弁や雄しべ基部よりも下部についており、子房は花托で囲まれている)であることから、特に下位痩果(菊果、cypsela[注 5])とよばれることがある[2][3][5][6][7][8]。
定義