『異本紫明抄』(いほんしめいしょう)は、鎌倉時代に成立した『源氏物語』の注釈書。 書陵部本やノートルダム清心女子大学本が『紫明抄』の外題を持ち、内容も素寂 いくつかの手がかりをもとに、稲賀敬二は藤原時朝 本書の注釈の内容はそれ以前の諸注を集成したものであり、『源氏釈』や『奥入』といった過去の注釈に書かれている説のほか当時の人々の説を記録している。『河海抄』の説を全く引用していないので、それ以前の成立であると思われる。 以下の古写本がある。 ほかに、実践女子大学山岸文庫本、国文学研究資料館初雁文庫本、東海大学桃園文庫本などもあるが、これらは皆、昭和になってから書陵部本を写した新古写本である。
概要
著者
内容
巻一 - 桐壺から夕顔まで
巻二 - 若紫から関屋まで
巻三 - 絵合から真木柱まで
巻四 - 梅枝から竹河まで
巻五 - 橋姫から夢浮橋まで
写本
書陵部本(宮内庁書陵部蔵本)[8]
ノートルダム清心女子大学本
翻刻本
吉沢義則編『未刊国文古註釈大系 第10冊 異本紫明抄』帝国教育会出版部、1937年(昭和12年)(書陵部本を底本とする)
中野幸一・栗山元子編『源氏釈・奥入・光源氏物語抄』源氏物語古註釈叢刊第一巻、武蔵野書院、2009年(平成21年)(ノートルダム清心女子大学本を底本とする)
脚注^ 池田亀鑑「紫明抄」増補改訂『日本文学大事典 第三巻』新潮社、1950年(昭和25年)8月。
^ 八木意知男「異本紫明抄と紫明抄―教隆注の取捨―」今井卓爾他編『源氏物語講座第八巻 源氏物語の本文と受容』勉誠社 1992年(平成4年)12月、pp.. 93-107。ISBN 978-4-585-02019-6
^ 稲賀敬二 1967, p. 15-46.
^ 新美哲彦「『光源氏物語抄』から『河海抄』へ」『文学語学』第186号、2007年(平成19年)3月。のち『源氏物語の受容と生成』武蔵野書院、2008年(平成20年)10月、pp.. 167-186。ISBN 978-4-8386-0227-8
^ 陣野英則「『源氏物語』古注釈における本文区分-『光源氏物語抄(異本紫明抄)』を中心に-
^ 稲賀敬二 1967, p. 73-131.
^ 堤康夫『源氏物語注釈史の基礎的研究』.
^ もと全五帖であったが、関東大震災により第一帖が失われたため、現在残るのは4帖
参考文献
伊井春樹, 紫式部『「異本紫明抄」源氏物語注釈書・享受史事典』東京堂出版、2001年、25-26頁。ISBN 4-490-10591-6。 NCID BA53790947。 (2008年 再販、ISBN 9784490105919)
堤康夫「「『異本紫明抄』編者に関する一考察―清原教隆との関係を中心にして」」『源氏物語注釈史の基礎的研究』おうふう、1994年。ISBN 4273027631。https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002351986。
《初出》 堤康夫「「異本紫明抄」編者に関する一考察--清原教隆との関係を中心にして」『國學院雜誌』第88巻第1号、國學院大學、1987年1月、74-92頁、CRID 1520572358692471424、ISSN 02882051。
稲賀敬二「「中世源氏物語梗概書の諸問題」」『源氏物語の研究 : 成立と伝流』笠間書院〈笠間叢書〉、1967年。 NCID BN05830306。"昭和42年"。
稲賀敬二『源氏物語の研究 : 成立と伝流』(補訂版)笠間書院、1983年10月。https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000136-I1130282269226036608。
光源氏と親兄弟
光源氏
桐壺帝
桐壺更衣
朱雀帝
蛍兵部卿宮
八の宮
女君
藤壺中宮
葵の上
紫の上
明石の御方