略綬
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アメリカ海軍(右・マイケル・マレン大将)とナイジェリア陸軍(左)の将官。両者とも左胸に略綬を着けているが、並べ方が異なっている。略綬の形状や装着法も国(国によっては個人)によって異なる。

略綬(りゃくじゅ)は、勲章記章の受章者がそれらを佩用しないときに受章歴を示すために着用する綬(リボン)である。日本政令で定められている“略綬”は円形で、欧米ではロゼットと呼ばれるものに相当する。しかし、日常多く見られるのは軍人等が制服に着けている長方形のものであり、一般的にも“略綬”と呼ばれているものはこのタイプを指すことが多い。これは、欧米では“Ribbon bar”、“Breast Ribbon”、“service ribbons”(英)、Service ruban(仏)、“Bandschnalle”(独)等と呼ばれているものであり、日本では内閣告示によって個人での作成と制服への着用が可とされているものである。

同様の目的で使用されるものとしては略章があり、略章には実物の縮小模型(ミニチュアメダル)やピンバッジ、布製のワッペン等がある。目次

1 概説

2 装着法

3 着用

4 日本

4.1 制服用略綬

4.2 防衛記念章

4.3 その他組織の栄章


5 脚注

6 参考資料

7 関連項目

概説 ドイツ連邦共和国功労勲章功労メダルとスティックピン型略綬。

受章した勲章・記章の全てを日常佩用することは実用的ではなく、破損や紛失の危険も伴う。しかし、一方では受章者には自己の受賞歴を誇示したいという要求もあった。そこで、式典等礼服を着用する場合以外は、略綬を日常的に着用して正式の勲章・記章の佩用を省略するようになり、特に各国の軍隊で普及した。このようにした事で、常装でも何の勲章・記章を受章しているのかが確認でき、その着用している軍人の功績や経歴を窺い知る事ができるようになった。

略綬には、平服(背広など)の襟に付けるスティックピンや円型略綬 (Rosette)、軍服等に並べて着ける長方形略綬(英:Ribbon bar、仏:Service ruban、独:Bandschnalle)等がある。

略綬は基本的に本来の勲章・記章の綬(勲章・記章を吊るすリボンや留め金)と同じ柄色の布製で、長方形略綬には勲章の等級や他のメダルとの識別、或は受章回数等を表すための彩花[1]や金属製の小さな付属物が付いているものもある。長方形略綬は幅もオリジナルの綬と同じと規定されるのが一般的であるが、ドイツのように狭いものを使用する国もある。そして、同じ幅と規定されている国でも、大綬のようにその幅が着用に不向きなものには例外規定が設けられている。また、ソ連の赤星勲章や北朝鮮の国旗勲章のように正章に綬の無い勲章・記章もあるが、このようなものにも対応した略綬が制定されていることは珍しくない。東ドイツ軍の様に綬の柄を印刷した紙片をプラスチックケースに封入する形式の略綬を採用している国や、北朝鮮軍の様にプラスチック板の裏側から綬の柄を塗装した形式の略綬を採用している国もある。そして、自衛隊防衛記念章、アメリカ軍のユニットアワード (Unit Award) やユニットサイテーション (Unit Citation) 等のようにメダルが無く、章自体が長方形略綬の様式になっているものもある。

長方形略綬の幅
アメリカ軍の記章セットNATOの記章セットドイツ連邦軍の従軍記章(右)とNATOの記章アメリカ海軍(右)とドイツ海軍(左)の将官

アメリカとNATOの記章は何れも綬幅が35ミリで、同じ幅の長方形略綬が付属する。ドイツの記章の綬はそれらより狭いが、略綬はそれより更に狭い25ミリ幅である。そして、NATOの記章についても、ドイツ軍では略綬を25ミリ幅にしている。また、アメリカ海軍将官が着けているリボンラックの最下段中央にクウェート政府発行のクウェート解放メダルが見られるが、この記章の綬は本来40ミリ幅であり、リボンラック用に他の記章とサイズを合わせたものを使用しているのが分かる。
アメリカ海軍(右)とフランス海軍(左)の将官。両者とも左胸に略綬を着けているが、装着法が異なる。

略綬は授与される勲章・記章に付属しているものもあるが、それを着用しなければならないと規定されている例は殆どなく、制服に着用するものの場合でも、様式や装着位置に関しては規定されていることはあるが、規定されている事項は国や組織によってまちまちであり、衣服への取り付け方法まで規定されることも英連邦王国の国々以外ではあまり見られない。そのため、個人で自己の受賞歴や好みに合った様式や装着法のものに改造したり、その様に作られたものを購入して着用することも広く行われている。例えば、第二次世界大戦終了までのドイツ軍では、授与される殆どの勲章・記章に略綬が付属しておらず、制式も定められていなかったため、各自が個人で様々な形式のものを作成していた。

ドイツに見る制服用略綬のバリエーション


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