界_(分類学)
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生物ドメイン界(かい)門(もん)綱(こう)目(もく)科(か)属(ぞく)種(しゅ)

界(かい、: kingdom、: regnum)は、生物学におけるドメインに次いで2番目に高い分類階級である。界はと呼ばれるより小さなグループに分けられる。

米国[1]やカナダの教科書では六界動物界植物界菌界原生生物界古細菌界細菌/真正細菌)が使われるのに対し、日本[2]、イギリス、パキスタン、バングラデシュ、インド、ギリシャ、ブラジルなどの教科書では五界(動物界、植物界、菌界、原生生物界、モネラ界)が使われている。

現代分岐学に基づいた最近の分類の中には、従来の一部の界が単系統ではない、つまり共通の祖先のすべての子孫から構成されているわけではないことを指摘し、界という用語を明確に放棄しているものもある。また、植物相(flora)、動物相(fauna)、そして21世紀には真菌類(funga(英語版))という用語も、特定の地域や時代に存在する生命を表すのに使われる[3][4]
定義と関連用語

1735年、カール・リンネが、生物学に階級に基づく命名法を導入したとき、最も高い階級に「界」という名称を与え、その後に「」「」「」「」という4つの主要な階級が続いた[5]。その後、さらに2つの主要な階級が導入され、界(kingdom)、(phylum, or division)、(class)、(order)、(family)、(genus)、(species)という順序になった[6]。1990年、界の上位にドメイン(domain)という階級が導入された。

接頭辞を追加することができ、亜界(subkingdom、subregnum)と下界(infrakingdom、infraregnum)は、界(kingdom)の直下にある2つの階級である。上界(superkingdom)はドメインや帝国(empire)に相当するもの、あるいは帝国とドメインやサブドメインの中間に位置する独立した階級と考えることができる。分類体系によっては、亜界と下界の間に、さらに枝(branch、: ramus)の階級が挿入されることもある、たとえば、キャバリエ=スミスの分類における前口動物(Protostomia)や後口動物(Deuterostomia)があげられる[7]
歴史
生命の二界

リンネ式階層分類体系」も参照

生物を動物と植物に分類することは古くから行われてきた。アリストテレス(紀元前384-322年)は『History of Animals(動物誌)』で動物の種を分類し、弟子のテオプラストス(紀元前371 - 287年頃)は植物について『Historia Plantarum(植物誌(英語版))』を記述した[8]

1735年、カール・リンネ(1707-1778)は、現在では命名規約(英語版)によって規定されている近代的な生物学的命名法の基礎を築いた。彼は、生物を2つの界「動物界」(Regnum Animale)と「植物界」(Regnum Vegetabile)に分けた。リンネはまた、分類体系鉱物も含め、それらを第3の界「鉱物界」(Regnum Lapideum)に位置づけた。.mw-parser-output table.clade{border-spacing:0;margin:0;font-size:100%;line-height:100%;border-collapse:separate;width:auto}.mw-parser-output table.clade table.clade{width:100%}.mw-parser-output table.clade td.clade-label{width:0.7em;padding:0 0.15em;vertical-align:bottom;text-align:center;border-left:1px solid;border-bottom:1px solid;white-space:nowrap}.mw-parser-output table.clade td.clade-fixed-width{overflow:hidden;text-overflow:ellipsis}.mw-parser-output table.clade td.clade-fixed-width:hover{overflow:visible}.mw-parser-output table.clade td.clade-label.first{border-left:none;border-right:none}.mw-parser-output table.clade td.clade-label.reverse{border-left:none;border-right:1px solid}.mw-parser-output table.clade td.clade-slabel{padding:0 0.15em;vertical-align:top;text-align:center;border-left:1px solid;white-space:nowrap}.mw-parser-output table.clade td.clade-slabel:hover{overflow:visible}.mw-parser-output table.clade td.clade-slabel.last{border-left:none;border-right:none}.mw-parser-output table.clade td.clade-slabel.reverse{border-left:none;border-right:1px solid}.mw-parser-output table.clade td.clade-bar{vertical-align:middle;text-align:left;padding:0 0.5em;position:relative}.mw-parser-output table.clade td.clade-bar.reverse{text-align:right;position:relative}.mw-parser-output table.clade td.clade-leaf{border:0;padding:0;text-align:left}.mw-parser-output table.clade td.clade-leafR{border:0;padding:0;text-align:right}.mw-parser-output table.clade td.clade-leaf.reverse{text-align:right}.mw-parser-output table.clade:hover span.linkA{background-color:yellow}.mw-parser-output table.clade:hover span.linkB{background-color:green}

 生命 

動物界
Regnum Animale (animals)

植物界
Regnum Vegetabile ('vegetables'/plants)


Life
 非生命 

鉱物界 (鉱物)
Regnum Lapideum (minerals)


Non-life



生命の三界

詳細は「生命樹 (生物学)(英語版)」を参照ヘッケルが最初に発表した新しい原生生物界 (kingdom Protista) を含む3つの生命界の概念(1866年)。シアノバクテリウム (Nostoc) が植物 (Plantae) に含まれていることに注目される。

1674年、しばしば「顕微鏡の父」と呼ばれるアントニ・ファン・レーウェンフックは、初めて顕微鏡で単細胞生物を観察した結果をロンドン王立協会に送った。それまでは、このような微生物の存在はまったく知られていなかった。けれどもリンネは彼の独創的な分類法に微生物を含めなかった。

当初、微生物は動物界と植物界に分類されていた。しかし、19世紀半ばには「植物界と動物界という既存の二分法は急速にその境界が曖昧になり、時代遅れになった」ことは、誰の目にも明らかになった[9]

1860年、ジョン・ホッグは、「すべての下等生物、あるいは原始的な有機生物」からなる第3の生命界である原生生物(Protoctista)を提案した。彼は、第4の界である鉱物界(Regnum Lapideum)を残した[9]。1866年、エルンスト・ヘッケルもまた、動物でも植物でもない「中立的な生物」あるいは「原始的な形態の界」として、第3の生命界である原生生物界(Protista)を提唱した。しかし、ヘッケルはこの枠組みに鉱物界を含めなかった[9]。ヘッケルは、生物が単細胞(原生生物界)か多細胞(動物界と植物界)かに基づく分類に落ち着くまで、この界の内容を何度も修正した[9]

生物

原生生物界
Kingdom Protista or Protoctista

植物界
Kingdom Plantae

動物界
Kingdom Animalia


Life
  非生物  

鉱物界 (鉱物)
Regnum Lapideum (minerals)


Non-life



四界

顕微鏡の発達により、細胞に明瞭な(細胞核)を持たない生物(原核生物)と、細胞に明瞭な核を持つ生物(真核生物)の重要な違いが明らかになった。1937年、エドゥアール・シャットンはこれらの生物を区別するために「原核生物(prokaryote)」と「真核生物(eukaryote)」という用語を導入した[10]

1938年、ハーバート・F・コープランド(英語版)、原核生物からなる新しいモネラ界を創設し、四界の分類を提案した。これは原生生物界のモネラ門を改訂したもので、現在では細菌古細菌に分類されている生物が含まれていた。エルンスト・ヘッケルは、1904年の著書『The Wonders of Life(生命の不思議)』の中で、藍藻類(またはPhycochromacea)をモネラ門に分類した。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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