男性専用車両(だんせいせんようしゃりょう)は、公共交通機関における「男性専用」を前提として提供されている車両である。
弱者男性を救済して本当の男女平等を実現するために運行される場合[1]の他、イスラム教やヒンドゥー教の戒律に基づいて設定される場合もある(女性専用車両#宗教的な意味合いによるもの)。 都心部においては女性専用車両が導入されている交通機関も一定数存在するが、男性専用車両はほとんど存在しない。その現状に対して、男性のみが利用できる車両、すなわち男性専用車両を導入すべきであるとの主張を行う者もいる[2]。これに加え、男女の乗車車両を分離すべきであるとの主張を行う者もいる[3]。警視庁も、痴漢対策としてこの「区分乗車」の試験導入を鉄道会社に要請したことがある[4]。また、女性専用車両には反対の立場をとりながらも、老人などより広い交通弱者のための専用車を求める意見もある[5]。一方、男性専用車両を導入するということは女性専用車両の存在を認めることになり、「女性専用車両があるなら、男性専用車両も導入すべき」というのは「目には目を」の発想で、一方的な差別は解消されるものの差別自体はなくならない、そもそも専用車両というのは「女性用」の場合も「男性用」の場合も、法的には存在し得ないので、「男性専用車両を導入すべき」と言うのは、実はあり得ない主張だという意見もある[6]。 株式会社ロイヤルバスの一部の高速バスなどで男性専用席が設定されている。 NPO法人日本弱者男性センターは、2022年11月19日の国際男性デーに合わせ、東京さくらトラム(都電荒川線)で男性専用車両のイベントを実施した[1]。貸し切り車両を三ノ輪橋停留場から早稲田停留場まで運行し、スタッフを含め13人が乗車した[7][注 1]。日本弱者センターは、今後も同様の取り組みを年2回、国際男性デーと父の日に合わせて行っていく予定である。 2017年6月にマクロミルが関東地方の500人を対象に行った調査では、全体の69.4%が男性専用車両の導入に賛成し、男女別では男性は65.1%、女性は73.9%が賛成に回った[9]。 鉄道事業者に対し、男性専用車両の導入が要望された例もある。 同国の首都マニラで運行されているMRTで男性専用車両があることが報道されている[15]。
日本
導入例
意見・要望
2008年2月1日に大阪市営地下鉄で男性会社員が痴漢にでっち上げられた事件後、大阪市交通局には男性専用車両の導入・男女の乗車車両の分離を要望するメールが20件以上寄せられた[10]が、同局は「現状では女性の保護を目的に行っている、痴漢そのものをなくす取り組みが主眼」とし、男性専用車両の導入は「検討段階にもない」と回答した[11]。
2009年6月24日に開催された西武ホールディングスの第4回定時株主総会では、痴漢および痴漢冤罪の防止を目的として、株主が西武鉄道に対して男性専用車両の導入を提案したが否決されている[12][13]。
2011年9月の東京都議会における公営企業委員会では、都営地下鉄における男性専用車両の導入に関する陳情が出されたが、不採択とされた[14]。
フィリピン
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 都電の車両は、事前に申し込むことで1両まるまる貸し切ることができる[8]。
出典^ a b “男性専用車両が限定運行 企画者に意図を聞いた 「本当の男女平等を実現するためのもの」
^ ⇒J-CASTニュース: テリー伊藤「男性専用車も導入せよ」(2007年8月24日)
^ ⇒家には恐妻、電車には無敵女…日本“女尊男卑”実態「女たちよ、女性専用車両に乗れ!」が話題 - ZAKZAK、2009年5月11日
^ 痴漢抑止:「女性専用車両」増発、警視庁が異例の要請 毎日新聞2005年1月25日
^ “第22回 女性専用車両どうですか?
(調査は2005年5月24日)
^ https://oawc.jp/principle/faq.html
^ “東京さくらトラムを貸し切って男性の乗客やスタッフら13人が乗車