田部 重治(たなべ じゅうじ、1884年〈明治17年〉8月4日[1] - 1972年〈昭和47年〉9月22日)は、日本の英文学者・登山家。 富山県富山市長江(旧:富山県上新川郡山室村)生まれ[1]。旧姓は南日[1]で、長兄に英語教育者の南日恒太郎、次兄に英文学者の田部隆次がいる。 富山中学校を経て[2]、東京帝国大学英文科卒[3]。在学中に木暮理太郎と知り合い、山への関心を深める。大学卒業後、海軍経理学校、東洋大学、法政大学などで講義をする[4]。研究対象は19世紀の英文学で、ウォルター・ペイター、ウィリアム・ワーズワースなどを研究した[4]。 登山家として日本アルプス、秩父山地を歩き、1919年(大正8年)に『日本アルプスと秩父巡礼』を刊行、1930年(昭和5年)に『山と渓谷』として出版される。日本アルプスを偉大な山として、秩父山地を緑の渓谷美としてその魅力を表現した。 また「只今のところ日本アルプスという名称によって総括されている山脈を概括的にあらわすべき適当な名称が無く、かつ今俄かに適当なる名称を創造することも出来ない為め」日本アルプスという名称を使う、として、アルプスという表現を日本の山にあてはめるのに抵抗を示している。墓所は多磨霊園。
生涯
著作
日本アルプスと秩父巡礼 北星堂、1919、あかね書房、1966、大修館書店、1975
渾沌より統一へ 博文館、1920
スキーの山旅 大村書店、1930
峠と高原 大村書店、1931、新潮社 1938、角川文庫 1950
中世欧洲文学史 第一書房、1932/新編「中世ヨーロッパ文学史」法政大学出版局、1966
心の行方を追ふて 第一書房、1933、角川文庫 1951 改版1964
紀行と随筆 大村書店、1934
山への思慕 第一書房、1935
涯てしなき道程 第一書房、1936
日本精神の情操的陶冶 中央教化団体聯合会、1936
山と渓谷 第一書房、1938
山に入る心 旧新潮文庫、1938
山路の旅 新潮社、1938
四季の随想 旧新潮文庫、1939、松和書房 1947
萠え出づる心 第一書房、1939
山と随想 新潮社、1939、旧新潮文庫 1942
青葉の旅・落葉の旅 第一書房、1941、角川文庫 1952
ふるさとの山々 第一書房、1942
旅への憧がれ 新潮社、1942
詩と断章 七丈書院、1942
わが散文詩 第一書房、1942
北アルプス 熊沢復六共編 六芸社、1943
随想山茶花 七丈書院、1943
旅路 青木書店、1943
山と渓谷 紀行篇 旧新潮文庫、1944、新編・角川文庫 1951。電子出版 2013
日本の山 生活社、1946
文芸の理念 八雲書店、1947
高原のあけくれ 東海書房、1947
山茶花の咲く頃 鳳林書林、1948
山と渓谷 随筆篇 万葉出版社、1948、新編・角川文庫 1951。電子出版 2013
憧れの旅路、元々社教養新書、1954
人生の旅 角川文庫、1955
山をたゝえる心 山と渓谷社、1955
わが山旅 朋文堂、1956
旅・人間・自然 東京ライフ社、1957
忘れえぬ山山 第二書房、1959
わが山旅五十年 桃源社、1964、二見書房「山岳名著シリーズ」1971
ペィターの作品と思想 北星堂書店、1965
山旅と随筆 紀行・随筆集 世界文庫、1965
忘れえぬ山旅 三笠書房、1968
わが詩わが歌 田部重治先生詩歌集刊行委員会、1974。遺稿集
新版
新編 山と渓谷 岩波文庫、1993。近藤信行編
わが山旅五十年 平凡社ライブラリー、1996、水野勉解説。