用心棒
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この項目では、1961年公開の黒澤明監督映画について説明しています。その他の用法については「用心棒 (曖昧さ回避)」をご覧ください。

用心棒
Yojimbo
ポスター
監督黒澤明
脚本黒澤明
菊島隆三
製作田中友幸
菊島隆三
出演者三船敏郎
仲代達矢
山田五十鈴
司葉子
土屋嘉男
東野英治郎
志村喬
加東大介
音楽佐藤勝
撮影宮川一夫
製作会社東宝
黒澤プロダクション
配給東宝
公開 1961年4月25日
1961年8月20日 (VIFF)
1961年9月
上映時間110分
製作国 日本
言語日本語
製作費9087万円 (直接費)[1]
配給収入3億5100万円[2]
次作椿三十郎
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『用心棒』(ようじんぼう)は、1961年に公開された日本時代劇映画である。監督は黒澤明、主演は三船敏郎モノクロ東宝スコープ、110分。桑畑三十郎を名乗る浪人が、宿場町で対立するヤクザ同士を衝突させて壊滅させるという物語で、理屈抜きの娯楽映画として興行的に大ヒットし[3]1962年に続編の『椿三十郎』が作られた。三船は本作品で第22回ヴェネツィア国際映画祭男優賞を受賞[4]。本作品は刀の斬殺音や残酷な描写を取り入れるなど、従来の時代劇映画の形式を覆して後の作品に大きな影響を与え、1964年にはセルジオ・レオーネ監督のマカロニ・ウエスタン荒野の用心棒』で非公式にリメイクされている。
あらすじ三船敏郎、仲代達也三船敏郎、加東大介、仲代達也

からっ風が吹きすさぶ中、一人の風来坊の浪人が足の向くまま、桑畑に囲まれた宿場町・馬目宿へとやってくる。そこは賭場の元締めである馬目の清兵衛一家と、清兵衛の弟分で跡目相続に不満を持って独立した丑寅一家との抗争によって荒廃していた。二人はそれぞれ町の有力者である名主の多左衛門と造酒屋の徳右衛門を後ろ盾にして抗争は泥沼化し、町の産業である絹取引きも中断していた。ふらりと立ち寄った居酒屋の権爺からあらましを聞いた浪人は、酒代の代わりに馬目宿を平穏にしてやるという。

浪人は丑寅の子分を挑発して瞬時に三人を斬り倒す。これを見た清兵衛一家は浪人を用心棒として五十両で雇い、祝いの酒席で清兵衛に名前を尋ねられた浪人は窓の外の桑畑を眺め、とっさに桑畑三十郎と名乗る[注釈 1]。凄腕の浪人を手に入れた清兵衛は、一気に抗争の決着を付けるとして総力を挙げて攻め入ろうとするが、清兵衛と女房のおりんが事が済んだら三十郎を始末する算段をしていたことがばれ、三十郎は土壇場で報酬を突き返して足抜けしてしまう。三十郎の狙いは本格的な抗争を起こさせて両勢力を共倒れさせることにあったが、そこに八州廻りが来るとの一報が届き、抗争は中止となってしまう。役人の逗留中は平穏を装い休戦することとなったが、清兵衛と丑寅は互いに大金を積んで三十郎を雇おうとし、三十郎は居酒屋で様子を見続ける。

十日後、隣の宿場町で町役人が殺されたとの報が届き、八州廻りは去った。しかし再開するかと思われた抗争はそのまま沈静化してしまう。実は、丑寅の腹心の弟である切れ者の卯之助が帰参し、仲介役となって手打ちの算段を始めたのだった。またもや計画が狂う三十郎であったが、町役人殺しは八州廻りを早く町から追い払いたいと考えた丑寅が仕組んだことと知り、雇われた下手人を捕らえて清兵衛に売りつける。一転して有利となった清兵衛は手打ちを破談にするも、今度は卯之助がその下手人を始末した上で、清兵衛の息子である与一郎を捕まえ再び形勢が逆転する。しかし、清兵衛側も徳右衛門の情婦おぬいを人質にし、丑寅と清兵衛は与一郎とおぬいを人質交換する約定を取り交わす。結果、人質交換はどうにか済んだものの、三十郎は、おぬいの正体が、しがない農夫・小平の妻で、徳右衛門と丑寅の企みによって借金のかたにされ、無理やり妾にされたことを知る。三十郎は丑寅の用心棒となって彼らを油断させ、もともと小平の家だったが今はおぬいが囚われた一軒家をひそかに急襲、見張りを皆殺しにして彼女を助け出し、小平に妻子を連れて町から去るように告げる。

おぬいを逃がしたのが清兵衛一家の仕業と考えた丑寅一家は、遂に一線を越えて多左衛門の絹倉庫に火を放ち、清兵衛一家も報復として徳右衛門の酒蔵を襲う。抗争は激化し、町の至るところに死体が転がる惨状となる。一方、気の利かない小平はわざわざ町に戻って来て、三十郎への礼状を権爺に託していた。町をいたずらに混乱させるとして三十郎の策謀に怒っていた権爺は、事情を知って彼に好意的となっていたが、他方で卯之助が真相に気づくきっかけとなってしまう。手紙が証拠となって三十郎は丑寅一家に監禁されてしまい、おぬいの居場所を吐かせるため激しい拷問を受ける。見張りの隙を突いて逃げ出すことに成功した三十郎は、命からがら権爺の店に逃げ込み匿われる。権爺がついた嘘で三十郎が清兵衛に匿われていると思った丑寅一家は、ついに清兵衛の家に火を放ち、燻り出された清兵衛一家を皆殺しにする。

気息奄々だった三十郎は権爺に助けられて町外れのお堂で静養していたが、権爺が握り飯と傷薬を運ぶ途中で丑寅一家に捕まったと棺桶屋から知らされる。三十郎は権爺が護身用にとくれた包丁と棺桶屋が用意した刀を持ち、権爺を助けるために再び町へ戻る。白昼の町辻で三十郎と丑寅一家が対峙する。短銃を構えた卯之助に対して、三十郎は彼の腕に包丁を投げつけて銃を封じ、瞬く間に丑寅一家を次々と斬り倒し、郊外の農家を飛び出して丑寅一家に加わっていた若者一人を見逃す。倒れた卯之助は弾切れになった短銃を持たせて欲しいと三十郎に乞い、実はまだ弾薬が残っている銃口を彼に向けるが、引き金を引く寸前に力尽きて絶命、ついに清兵衛一家と丑寅一家が全滅する。一方、大店を潰された馬目宿の有力者二人は零落、多左衛門は発狂し、団扇太鼓を叩きながら徳右衛門を発作的に脇差で斬り殺し、放心状態でいずこへと去る。三十郎は権爺を縛っていた縄を斬り、「あばよ」と声をかけて平穏を取り戻した町を去ってゆく。
出演者

桑畑三十郎:
三船敏郎

新田の卯之助:仲代達矢

清兵衛の女房 おりん:山田五十鈴

小平の女房 ぬい:司葉子

百姓 小平:土屋嘉男

居酒屋の権爺:東野英治郎

造酒屋 徳右衛門:志村喬

新田の亥之吉:加東大介

名主 絹問屋 多左衛門:藤原釜足

馬目の清兵衛:河津清三郎

清兵衛の倅 与一郎:太刀川寛

百姓の小倅:夏木陽介

番太の半助:沢村いき雄

棺桶屋:渡辺篤

用心棒 本間先生:藤田進

新田の丑寅:山茶花究

無宿者の熊:西村晃

無宿者の瘤八:加藤武

斬られる凶状持:中谷一郎大橋史典

八州廻りの足軽:堺左千夫千葉一郎

丑寅の子分 亀:谷晃

丑寅の用心棒 かんぬき:羅生門綱五郎

清兵衛の子分 孫太郎:清水元

賽の目の六:ジェリー藤尾

清兵衛の子分 坂下の松吉:佐田豊

馬の雲助:大友伸

清兵衛の子分 弥八:天本英世

清兵衛の子分 助十:大木正司

百姓の親爺:寄山弘

八州廻りの小者:大村千吉

百姓の古女房:本間文子

丑寅の子分:広瀬正一高木新平草間璋夫小川安三坂本晴哉

清兵衛の子分:草川直也桐野洋雄津田光男大友純向井淳一郎熊谷二良緒方燐作

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