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産業政策(さんぎょうせいさく,Industrial policy)とは、政府の誘導によって特定の産業の発達を加速したり、保護するなどして産業構造を変化させる政策である。 産業政策とは、政府・官僚が次に国を牽引する産業部門(リーディングセクター)を選び、その産業に補助金などの優遇措置によって保護し育成する政策のことである[1]。産業政策を最も広くとらえると、産業間の資源配分に影響を与える政策全てを含むことになり、政府が市場に代わって財・サービスを供給するようなものまで含まれてしまうが、通常「産業政策」という場合にはこれらは含まれず、たとえばIT産業の育成などといった政府による重点産業への保護や支援を指す。また、独占や寡占による財やサービスの過小供給や価格、供給企業への超過利潤の発生などの問題は、産業政策と呼ばれることもあるが、狭義には競争政策や規制政策
解説
産業政策について日本の学者は「一国の産業間の資源配分、または特定産業内の産業組織に介入することにより、その国の経済厚生に影響を与えようとする政策」と定義している[2]。産業政策は、特定産業に政府が、補助金、税制恩典、政府系金融機関による低利融資を施す政策である[2]。
また日本では、狭義に「通商産業省(経済産業省)が行う政策」という定義がある[3]。なお、「産業政策について、…個別産業の振興又は産業間の所得再配分を行う施策から撤退し、又はこれを縮小し、市場原理を尊重した施策に移行すること」(中央省庁等改革基本法21条2号イ)とされている。
「産業政策」は「産業政策」と明言されず色々な名称となるため、中身を吟味する必要がある[4]。 石油危機以降、日本をはじめとした先進工業国各国では、経済成長率の鈍化が起こり、新興工業国の追上げなどによる需給構造の急激な変化もあって、産業調整を促す要因が増大した。第一次石油危機後、OECDでは、1978年のOECD閣僚理事会で積極的産業調整政策に関する一般方針が採択されるなど、政府の関与によって積極的に産業構造の転換を図るべきであるという考え方が採られるようになった。 経済学者の村上泰亮は、産業政策を「『費用逓減傾向』が見込める産業は、その成長可能性を維持し高める直接的手段」としている[5]。村上は、国家経済を主導する産業を見出すのは「官僚組織」の責務であるとしている[6]。村上は産業政策の具体的なものとして、保護貿易政策、補助金政策、各種経済計画、価格規制などを挙げている[5]。 経済学者の若田部昌澄は「理論的には、政府主導で産業を創出することがまったく効果がないとは言えなくもない」と指摘している[7]。 しかし、こうした可能性はしばしば保護主義的な政策を正当化するのに利用されることがあるという問題もある。そもそも「将来発展する産業が何かということは、民間では分からないのに政府なら分かるということはないはずだ」という産業政策に対する根本的な批判意見もある。 経済学者の岩田規久男は「政府は税・補助金を用いて、特別な投資・消費を促進させたり、特定の産業を促進させないことが産業政策の哲学である」と指摘している[8]。
産業政策の理論的基盤