酸化カルシウム
IUPAC名
Calcium oxide
別称Quicklime, burnt lime, unslaked lime
識別情報
CAS登録番号1305-78-8
2613 °C, 2886 K, 4735 °F[1]
沸点
2850 °C, 3123 K (100 hPa)[2]
水への溶解度1.19 g/L (25 °C), 0.57 g/L (100 °C)、発熱反応[3]
酸への溶解度溶(グリコールや砂糖水にも同様)
メタノールへの溶解度不溶(ジエチルエーテルやN-オクタノール)
酸解離定数 pKa12.8
熱化学
標準生成熱 ΔfHo?635 kJ・mol?1[4]
標準モルエントロピー So40 J・mol?1・K?1[4]
危険性
安全データシート(外部リンク) ⇒hazard.com
EU Index記載なし
NFPA 704032
引火点燃焼性なし
関連する物質
その他の陰イオン
硫化カルシウム
その他の陽イオン
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。
酸化カルシウム(さんかカルシウム、Calcium oxide、quick lime)は化学式 CaO で表される化合物。慣用名として、 生石灰(せいせっかい[5][6])とも呼ばれる。生石灰は「しょうせっかい」とも読めるため、消石灰と区別するため「きせっかい[7]」と呼称される場合がある。腐蝕性(英語版)のあるアルカリで、室温では結晶である。石灰という語はカルシウムを含む無機化合物の総称であり、石灰岩のようにケイ素やマグネシウム、鉄、アルミニウムなどよりカルシウムの炭酸塩や酸化物、水酸化物が多く含まれている岩石も指す。対照的に、生石灰は純粋な化合物のみを指す。
生石灰は比較的安価で、酸化カルシウム(塩基無水物(英語版))とその誘導体である水酸化カルシウムは重要な汎用化学物質(英語版)である。 炭酸カルシウムの熱分解を利用する。炭酸カルシウムを825 °C以上[8]に加熱すると二酸化炭素を放出して生ずる。融点は2572 °C。通常は石灰岩や貝殻を石灰窯で強熱して製造する。このプロセスはV焼と呼ばれる。 CaCO 3 ⟶ CaO + CO 2 {\displaystyle {\ce {CaCO3 -> CaO + CO2}}} しかし放置すると空気中の二酸化炭素と自発的に反応し、上記の反応の逆反応が起こる。ただし水を加えて消和すれば反応は止まり、ライムプラスター 水を加えると発熱し、数百℃にまで温まった後、水酸化カルシウム(消石灰)を生成する。この反応を、1リットルの水に約3.1キログラムの生石灰を投入して行うと、おおよそ3.54メガジュールのエネルギーが得られる。 乾燥剤や、殺虫剤などに用いられるほか、缶入の清酒や弁当を温めるために水と生石灰を袋詰し、紐を引くと両者が混合して発熱するようにしたものもある。火も使わず煙も出ないため、火を使えない状況や火に弱い素材でパックされた食品を温める用途や、自己加熱缶
調製
反応
なお反応が進行すると熱平衡の状態となり、発熱は止まる[9]。発熱反応で溶液は膨張する。ここでできた固体を強熱すると水酸化カルシウムは水和水を失う。 工業的には製鋼用、セメント原料が多く、陶磁器、ガラスの副原料そして土壌改良剤、るつぼの内張り用耐熱材などにも利用される。あるいは炭化カルシウム(カーバイド)、水酸化カルシウムの生産原料でもある。 また19世紀中頃から20世紀初頭にかけてガスマントル(水素ガス灯の発光体)として使用された。これは酸化カルシウムを2400 °Cまで加熱すると強烈な光を放つ性質を利用したものである。 電気による照明が発明されるまで特に劇場で多く用いられた[10]。詳細は「ライムライト (照明)」を参照 石油化学工業でも重要な役割を果たす。水を検出するペーストは酸化カルシウムとフェノールフタレインを含んでいる。燃料を貯蓄するタンクに水が入り込むと、水と酸化カルシウムが反応し水酸化カルシウムができる。水酸化カルシウムは強い塩基性を示すため、フェノールフタレインが濃いピンク色に変色し、水の存在を確認できる。 製紙産業においては、クラフトパルプで炭酸ナトリウムから水酸化ナトリウムを作り直す。 土器前
利用
酸化カルシウムの固体のスプレーやスラリーは脱硫の過程で二酸化硫黄を除去するのに使用される。
バイオディーゼルの塩基に酸化カルシウムが用いられている[14][15]。