この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。
生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律
日本の法令
通称・略称生殖補助医療法、生殖医療民法特例法
法令番号令和2年法律第76号
種類民法
効力現行法
成立2020年12月4日
公布2020年12月11日
施行2021年3月11日
所管法務省
主な内容生殖補助医療の基本理念等と、民法の親子法制の特例規定
関連法令民法
条文リンク生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律
生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律(せいしょくほじょいりょうのていきょうおよびこれによりしゅっしょうしたこのおやこかんけいにかんするみんぽうのとくれいにかんするほうりつ)とは、2020年(令和2年)12月4日に成立した日本の法律(令和2年法律第76号)である。国会議員が自ら発議した法律(議員立法)であり、秋野公造、古川俊治、石橋通宏、梅村聡、伊藤孝恵の5人が発議した[1][2][3]。本法は、「長年手つかずであった不妊治療関連法制の第一歩」[4]と評されている。本法は、後述のとおり公布から施行までの期間が短いため、施行前であっても、生殖補助医療を受けようとする日本人およびその配偶者ならびに日本国内に居住する者の意思決定に大きな影響を及ぼす。
日本政府公式の略称はないが、法務省民事局の民法(親子法制)等の改正に関する法律案を説明する図や、インターネット上の文献では、生殖補助医療法の略称が用いられている。 日本の法制度は、法律婚の妻を母とし、その夫を父とする子を「嫡出子」と呼び、嫡出子でない子を「非嫡出子」と呼ぶ[5]。 民法(日本の明治29年法律第89号をいう。以下同じ。)は、妻が婚姻中に懐胎した子を夫の子と推定する(772条1項、嫡出推定)。民法は、この推定を覆す方法として、夫による子が自己の嫡出子であることの否認(774条、嫡出否認)のみを設け、妻が懐胎した子が妻の嫡出子であることを否認する権利を誰にも与えない。つまり、妻が懐胎した子は妻の子とみなされる。民法は、子を懐胎した女性がその子の血縁上の母ではないという事態を想定していないのである。 夫の嫡出推定も強力である。判例によると、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律に基づき戸籍上の性を生来の女性から男性に変更した者が女性と婚姻をし、その女性が子を懐胎し出産したときは[6]、夫妻は父の欄を夫とする戸籍記録を申請することができる[7]。
背景となる日本の親子関係法制