生命の樹_(旧約聖書)
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この項目では、旧約聖書に登場する木について説明しています。他の神話宗教については「生命の木」を、その他の用法については「生命の樹 (曖昧さ回避)」をご覧ください。
ギカティラ著 リキウス訳書に描かれたセフィロト[1][2]

生命の樹(せいめいのき、英語: Tree of Life)は、旧約聖書創世記(2章9節以降)にエデンの園の中央に植えられた木。命の木とも訳される。生命の樹の実を食べると、永遠の命を得るとされる。

旧約聖書において神がアダムとエバをエデンの園から追放した理由は、知恵の樹の実を食べた人間が、生命の樹の実までも食べて永遠に生きる事がないようにするためであったとされる[3]

ユダヤ教神秘思想カバラでは神による天地創造の象徴を10の円と22の直線で図式化した。その図はセフィロト(ヘブライ語: ??????‎、英語: Sefirot、Sephirothic Tree)もしくは生命の樹(英語: Tree of Life)と呼ばれた。
旧約聖書創世記における「命の木」

聖書協会共同訳聖書創世記2章9節神である主は、見るからに好ましく、食べるのに良さそうなあらゆる木を地から生えさせ、園の中央には、命の木と善悪の知識の木を生えさせた。

新共同訳聖書創世記2章9節主なる神は、見るからに好ましく、食べるに良いものをもたらすあらゆる木を地に生えいでさせ、また園の中央には、命の木と善悪の知識の木を生えいでさせられた。

口語訳聖書創世記2章9節また主なる神は、見て美しく、食べるに良いすべての木を土からはえさせ、更に園の中央に命の木と、善悪を知る木とをはえさせられた。


聖書協会共同訳聖書創世記3章22節神である主は言われた。「人は我々の一人のように善悪を知る者となった。さあ、彼が手を伸ばし、また命の木から取って食べ、永遠に生きることがないようにしよう。」

新共同訳聖書創世記3章22節主なる神は言われた。「人は我々の一人のように、善悪を知る者となった。今は、手を伸ばして命の木からも取って食べ、永遠に生きる者となるおそれがある。」

口語訳聖書創世記3章22節主なる神は言われた、「見よ、人はわれわれのひとりのようになり、善悪を知るものとなった。彼は手を伸べ、命の木からも取って食べ、永久に生きるかも知れない」。


聖書協会共同訳聖書創世記3章24節神は人を追放し、命の木に至る道を守るため、エデンの園の東にケルビムときらめく剣の炎を置かれた。

新共同訳聖書創世記3章24節こうしてアダムを追放し、命の木に至る道を守るために、エデンの園の東にケルビムと、きらめく剣の炎を置かれた。

口語訳聖書創世記3章24節神は人を追い出し、エデンの園の東に、ケルビムと、回る炎のつるぎとを置いて、命の木の道を守らせられた[4]

セフィロト図式化したセフィロトの樹リキウスのセフィロト[1][2]キルヒャーのセフィロト[5][6]フラッドのセフィロト[7]

セフィロト(ヘブライ語: ‎??????、英語: Sefirot)は、ユダヤ教神秘思想カバラにおいて、10個のセフィラと22個の小径(パス)により図式化された世界創世の象徴。2世紀の教典『形成の書』によって述べられた世界の創造が、13世紀の文献『ゾーハル』において象徴化され、ヨゼフ・ギカティラなどのカバリストたちによって研究された。

近代以降の西洋魔術、特に黄金の夜明け団などではタロットカードと結びつけて研究が行われた。セフィロトの成り立ちはユダヤ教の生命の樹とは異なるものであるが、この二つを同一のものとみなす考えも存在する[8]
歴史
形成の書

セフィロトとは「数える」を意味するヘブライ語「セフィラ」(英語: Sefirah、ヘブライ語: ‎?????)から派生した言葉で、2?6世紀ころに成立したとされる『形成の書』で初めて使用された。形成の書には10のセフィロトと22のヘブライ文字を用いて神が宇宙を創造したことが書かれている。

『形成の書』に記された無形の10のセフィロトは次のとおりである。始まりの深さ、終わりの深さ、善の深さ、悪の深さ、高位の深さ、深淵の深さ、東の深さ、西の深さ、北の深さ、南の深さ。
それらは稲妻のような外見をしており、無限なるもの(エン・ソフ)であるとされている[9]
エン・ソフ

ユダヤ教の神秘主義カバラでは、現実世界の全てを生み出した "隠れたる神" の別名を "無限なるもの" と言う意味で、ヘブライ語で無限を意味するエン・ソフ(アイン・ソフ、Ein Sof、??????)と呼んだ。

13世紀スペインのカバリスト、アズリール・ソロモンは、世界の創造とはエン・ソフの流出(アツィルト、Atziluth、???? ???????)によるものだと考えた。この流出におけるエン・ソフと物質世界の中間がセフィロトであり、第一のセフィラはエン・ソフの潜在的な形である。第二のセフィラは流出して知的世界の基礎を形成し、他のセフィロトはそれぞれ流出して、道徳・物質・自然界を形成した。また、10のセフィロトは次の3つのグループに分類される[9]

思想界における三つの最高の形成

霊魂における三つの領域

有形なるものの四つの世界

ゾーハル

13世紀のユダヤ教のラビモーシェ・デ・レオンによって書かれた『ゾーハル』は、1280年代のスペインで発見された。このゾーハルのなかで、セフィロトは世界を象徴する概念として説明された。ヨゼフ・ギカティラはゾーハルに述べられたカバラの象徴的体系を研究し、『光の門』(Sha'arei Orah)[10]としてゾーハル発見の数年後に出版した。この研究書は1516年にパウルス・リキウス(Paulus Riccius)により一部がラテン語訳され『光の門:義人が入るテトラグラマトンの門』(Portae lucis: Hecet porta Tetragrammaton iusti intrabunt per eam)としてドイツで出版された。このリキウスの訳書の表紙にはレオンハルト・ベックの木版画によるセフィロトが描かれている[1][2]

『ゾーハル』にはエン・ソフについて次のように記されている。「第一の世界は人間の存在する物質世界、第二の世界は "高位の世界" と呼ばれる天上の世界、第三の世界は隠された深遠な不可知の世界である」「神の思惟は人間には想像しえない。神の思惟の内、我々が知り得る限りのものがエン・ソフであるが、その痕跡は発見できない。エン・ソフから下降する光は、針穴の光のように感じにくいものである」

当時のカバリストたちはエン・ソフについて次のように考えた。「神秘によって隠された感知しえない領域、それがエン・ソフの世界であり、神それ自身の存在の場である」「第二の世界は 分離の世界 であり、エン・ソフの世界と密接な関係を保っており、なおかつ現実世界とも対応している」「不可知の世界から 分離の世界 が形成されるとき、10の特質が識別可能となった。これがセフィロトであり、セフィロトは神と宇宙の中間に存在する」[9]
オウル・エン・ソフ

16世紀のカバリスト、アイザック・ルリアの思想は彼の弟子ハイム・ヴィタルによって著書『生命の樹』として1573年に発表された。


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