生卵
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鶏卵(全卵、生)[1]鶏卵
100 gあたりの栄養価
エネルギー632 kJ (151 kcal)

炭水化物0.3 g

脂肪10.3 g

タンパク質12.3 g

ビタミン
ビタミンA相当量β-カロテン(19%) 150 μg(0%)3 μg
チアミン (B1)(5%) 0.06 mg
リボフラビン (B2)(36%) 0.43 mg
ナイアシン (B3)(1%) 0.1 mg
パントテン酸 (B5)(29%) 1.45 mg
ビタミンB6(6%) 0.08 mg
葉酸 (B9)(11%) 43 μg
ビタミンB12(38%) 0.9 μg
ビタミンD(12%) 1.8 μg
ビタミンE(7%) 1.0 mg
ビタミンK(12%) 13 μg

ミネラル
ナトリウム(9%) 140 mg
カリウム(3%) 130 mg
カルシウム(5%) 51 mg
マグネシウム(3%) 11 mg
リン(26%) 180 mg
鉄分(14%) 1.8 mg
亜鉛(14%) 1.3 mg
(4%) 0.08 mg
セレン(46%) 32 μg

他の成分
水分76.1 g
コレステロール420 mg
ビオチン(B7)25.4 μg
ビタミンEはα─トコフェロールのみを示した[2]

冷凍液全卵を含む廃棄部位: 付着卵白を含む卵殻(卵殻: 13 %)卵黄:卵白=31:69ビタミンD: ビタミンD活性代謝物を含む(ビタミンD活性代謝物を含まない場合: 0.9 μg


単位

μg = マイクログラム • mg = ミリグラム

IU = 国際単位

%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDI) の割合。

鶏卵(100g中)の主な脂肪酸の種類と代表値[3]項目分量 (g)
脂肪9.51
飽和脂肪酸3.126
16:0(パルミチン酸)2.231
18:0(ステアリン酸)0.811
一価不飽和脂肪酸3.658
16:1(パルミトレイン酸)0.198
18:1(オレイン酸)3.388
多価不飽和脂肪酸1.911
18:2(リノール酸)1.531
18:3(α-リノレン酸)0.036
20:4(未同定)0.188
22:6 n-3(ドコサヘキサエン酸 (DHA))0.058

鶏卵(けいらん)は、ニワトリ(鶏)のである。世界中の多くの地域で消費されている。殻(卵殻)を割った中身は黄身(卵黄)と白身(卵白)に分かれている。生の卵を溶いたものを「溶き卵」と言う。

一般的に食用とする鳥類の卵は国・地域によって異なり、カモガチョウダチョウカモメホロホロチョウキジ科エミューといった様々な卵が使われる。日本においては、「卵」といえば鶏卵を指す。東アジア東南アジアではアヒルの卵も一般的である。ハトの卵もあり、用途に応じて使い分けられている。目次

1 概要

2 構造と規格

2.1 構造の詳細

2.1.1 卵殻部

2.1.2 卵白部

2.1.3 卵黄部


2.2 鶏卵のサイズ

2.2.1 日本

2.2.2 世界最大の鶏卵


2.3 鶏卵の色

2.3.1 殻の色

2.3.2 卵黄の色


2.4 二黄卵

2.4.1 二黄卵多発鶏種の品種改良


2.5 寒卵


3 鶏卵の生産方法

4 生産

4.1 生産量

4.2 鶏卵の高付加価値化


5 流通・販売と貿易

5.1 賞味期限・消費期限

5.2 鶏卵パック

5.3 業務用製品

5.4 鶏卵の鮮度


6 食品としての利用

6.1 鶏卵と料理

6.1.1 日本の鶏卵食

6.1.2 主な鶏卵料理


6.2 鶏卵を使用した菓子

6.3 鶏卵を使用した飲料

6.4 生食

6.5 栄養

6.6 鶏卵とコレステロール

6.7 アレルギー


7 食品以外の利用

7.1 医薬品

7.2 卵殻の利用

7.3 卵油

7.4 乳化剤


8 文化

8.1 風習と遊び

8.2 記録


9 脚注

10 参考文献

11 関連項目

12 外部リンク

概要

日本語では本来は、生物学的な意味で「卵」、食材として「玉子」というように区別されるが、2014年時点では、生のものを「卵」、調理されたものを「玉子」という使い分けがされるようになってきているという[4]

鶏卵は栄養価が高く、白身と黄身の双方にタンパク質が含まれる。白身はタンパク質のみだが、黄身(卵黄)には動物性タンパク質と動物性脂肪が含まれ、その中にビタミンCを除く12種類のビタミンと12種類のミネラルを含んでいる。全卵においては必須アミノ酸が散在するが、これは白身よりも卵黄に多く含まれる。世界的にも動物性のタンパク質の摂取源として一般的な食材である。菜食主義でも、無精卵だけは動物を傷つけることなく入手できる食材であるとして「食べてもよい」とする主義もあり、中国における精進料理でも使われる例がある。

クエン酸のような有機酸に溶かしたり、砕いて粉末にしてから何らかの方法で卵殻まで摂取することでカルシウムの摂取が可能(卵自体にはカルシウムも含まれている)。中国での精進料理の中で、少林拳では粉末にして飲んだり、卵殻を噛み砕いて摂取する修行法もある。また、香酢にも生卵をそのまま漬けて卵殻を溶かし、中身は肌や髪の美容に向けて蛋白源として摂取し、溶かした酢は料理に用いる。同様の家庭調理食品は「ビネガー・エッグ」と呼ばれる。

卵にまつわるイメージや比喩については、の項に詳しい説明を参照。
構造と規格 鶏卵の断面図
1. 卵殻
2. 外卵殻膜
3. 内卵殻膜
4. カラザ
5. 外水様卵白
6. 濃厚卵白
7. 卵黄膜
8. パンデル核
9. 胚盤(核)
10. 濃色卵黄(黄色卵黄)
11. 淡色卵黄(黄白色卵黄)
12. 内水様卵白
13. カラザ
14. 気室
15. クチクラ

鶏卵は卵殻、卵白、卵黄から成る。その重量比率はおよそ1:6:3である[5]。卵殻は主に炭酸カルシウムから成る多孔質の殻で、外部から酸素を取り込み、の呼吸によって生じた二酸化炭素を放出できるようになっている。卵殻の内側には卵殻膜と呼ばれる薄皮がある。

卵白は粘度の高い「濃厚卵白」と、粘度の低い「水様卵白」から成る。

卵黄はひも状の「カラザ」(卵帯)によって卵の中心に固定されている。カラザは日本語で「殻座」あるいは「殻鎖」と書かれることもあるが、実際はギリシア語由来の「chalaza」(χ?λαζα : の意)の音写であり、漢字での表記は当て字。その成分は通常の卵白とほぼ同じであり、消化速度に留意するほどの違いはない。その内部には通常の卵白にはないシアル酸が豊富に含まれている。卵黄の中心付近には、直径5 mm程度の「ラテブラ」(latebra) と呼ばれる組織がある。「ラテブラ」はゆで卵にしても完全には固まりきらないという性質がある。なお、卵黄は肉眼では液状のように見えるが、顕微鏡等で拡大すると「卵黄球」という粒状の物体が集まったもので出来ていることが分かる。加熱した卵特有のわずかに粒立ったような舌触りやぽろぽろと崩れる様子は、この卵黄球によるものである(卵黄球自体は卵生生物に共通の性質である)。卵黄球の数は、卵のサイズの大小に関わらず、およそ180万とされている。
構造の詳細
卵殻部

卵殻は硬く表面には多数の細かい気孔があり胚の呼吸や水分の調整を担う[6]。主に無機質から構成される層で、その両面に配置されるクチクラ層や卵殻膜を合わせ、400 μm前後の厚さの層を形成する。さらに外層から以下の構造に分けられる。
クチクラ層
主に糖タンパク質からなる膜状の層[6]。厚さ10 μm程度。簡単な洗浄や摩擦で失われ、市販卵では取り去られている[6]
卵殻

スポンジ基質
有機物からなるスポンジ状の構造に無機質が沈着したもの。炭酸カルシウムを主成分とするが、最外層の部分ではマグネシウムリン酸塩がやや増加し、卵殻強度を高めているといわれている。
乳頭突起
卵殻内面に認められる突起群。鶏卵管における卵殻形成過程の名残で、先端部は卵殻膜に食い込んでいる。
卵殻膜
厚さ70 μm程度の脂質や糖質を若干含む、主に蛋白質からなるμm単位の網目を持つ格子状に組まれた不織布状繊維により構成される。卵殻膜はさらに50 μm厚の6層から成る外層(外卵殻膜と呼ぶ)と、20 μm厚の3層から成る内層(内卵殻膜と呼ぶ)に分かれ、外層と内層は気室の部分では別れて存在している。保湿性と呼吸のための通気性に優れている。
気孔
卵殻の表面は不織布状に形成された炭酸カルシウムであり、気孔と呼ばれるμm単位の小さな網の目状の穴が無数に開いている。ここから内部の水分や炭酸ガスが発散される。
卵白部

卵白部は、以下の部分からなる。
卵白
ほとんどが水分から成り、
糖鎖を持つタンパク質を含む。リゾチームを含み、弱い抗菌作用を持つ。
外水様卵白と内水様卵白
卵殻赤道部と卵黄部周辺に存在する比較的流動性の高い卵白。それぞれ卵白の.mw-parser-output .frac{white-space:nowrap}.mw-parser-output .frac .num,.mw-parser-output .frac .den{font-size:80%;line-height:0;vertical-align:super}.mw-parser-output .frac .den{vertical-align:sub}.mw-parser-output .sr-only{border:0;clip:rect(0,0,0,0);height:1px;margin:-1px;overflow:hidden;padding:0;position:absolute;width:1px}1⁄4程度を構成する。
濃厚卵白
比較的粘性の高い卵白。卵白全体の1⁄2を占める。カラザと一体化し、卵黄を卵の中心に維持する役目も果たす。
カラザ層
卵黄膜の外面を覆う、蛋白質から成る網目状の繊維から成る層で、卵黄極部では繊維が並行に配向し、カラザと連続している。
カラザ
卵黄の極部から引き出されたカラザ層の延長部分。末端は濃厚タンパク質と一体化している。これらの構造により、卵黄を抗菌作用を持つ卵白の中心に位置させることで、微生物による汚染から守っている。
卵黄部

胚の成長における栄養供給を目的とした濃厚な部分。以下の部分に分かれる。
卵黄膜
厚さ15 μmからなる層で、基本的に水分を通さない不透膜。
外層
厚さ3.0 - 8.5 μmの、格子状の繊維が多数積層した層。
連続層
厚さ0.05 - 0.5 μm顆粒状のタンパク質が並ぶ、外層と内層の間に位置する層。
内層
網目状の繊維から成る層。外層に比べ繊維が20 - 60倍太い。
パンデル核と胚盤
実際に
として成長してゆく中心の部分。パンデル核の中心に胚盤が位置する。
卵黄
50%の水分と、30%の脂質、17%のタンパク質からなる。脂質とタンパク質の複合体であるリポタンパク質が多い。また必須アミノ酸にも富み、胚盤成長時の栄養供給源となる。卵黄はラテブラを中心に淡色卵黄と濃色卵黄が交互に層を成している。
ラテブラ(白色卵黄)
卵黄中心部にある直径5 mm程度の淡色の卵黄からなる。
黄色卵黄

淡色卵黄

この節の加筆が望まれています。

濃色卵黄

この節の加筆が望まれています。

ラテブラの首
ラテブラからパンデル核へと伸びる淡色卵黄からなる連結構造。

卵黄部分には抗菌性成分を含まない。先に述べたように卵白部の機能により、卵黄は微生物による汚染から免れているが、カラザや濃厚卵白の脆弱化によって卵黄が卵殻と接触した状態になると微生物の汚染に晒されるようになり、急速に腐敗が進行する。
鶏卵のサイズ
日本

市販されている卵は、パック詰鶏卵規格により、1個あたりの重量によってランク付けがなされている。また、サイズごとに異なる色のラベルが指定されている。

卵のサイズが大きくても、黄身の大きさはほとんど変わらないとされていることもある[7]が、実際の計量による統計ではむしろ卵のサイズが大きくなるほど卵黄の比率が高いという結果が出ている[8]


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