生きる LIVING
Living
監督オリヴァー・ハーマナス
『生きる LIVING』(いきる リビング、原題:Living)は、2022年のイギリスのドラマ映画。1952年の黒澤明の日本映画『生きる』のリメイク作品で、オリヴァー・ハーマナス(英語版)が監督、カズオ・イシグロが脚本を務めた。1953年のロンドンを舞台に、ビル・ナイが演じる官僚のウィリアムズが余命半年を宣告され、自分自身の人生を見つめ直す姿を描いている。
2022年1月21日に開催されたサンダンス映画祭(英語版)でプレミア上映され[2]、11月4日からイギリスで公開された[3]。
ストーリー「生きる (映画)」も参照
黒澤版とハーマナス版との違いについて、春日太一は「大きく変わっているのは、息子との関係だ。同居する息子の結婚相手に邪険にされ、息子も嫁側に付いているという設定は同じだ。ただ、嫁と組んで主人公を徹底的に邪魔者扱いしたオリジナル版に対し、今回はそこまではしていない」「主人公が雪の中を歌いながら公園のブランコをこぐという、オリジナル版を象徴する場面は今回もある。ただ、描かれる視点は少しだけ変えてある」と述べている[4]。
1953年のロンドン。若いピーター・ウェイクリングは市役所の市民課に就職した。課長であるロドニー・ウィリアムズは大変な堅物(かたぶつ)で他人を寄せ付けず、部下たちは冗談を言うことも控えていた。ある日、陳情書を持ち込む婦人たち。汚水まみれの小さな資材置き場を子供たちの遊び場に変えて欲しいという陳情で、彼女たちは何ヶ月もたらい回しにされながら市役所に通い続けていた。しかし、無表情なまま陳情書を未決の棚に放り込むロドニー。
ある日、医者から末期ガンを宣告されるロドニー。寿命は半年か長くて九ヶ月だった。同居の息子夫婦に話そうとするが、日頃から疎遠で言いそびれるロドニー。彼は初めて役所を無断欠勤し、海辺のリゾート地に行って羽目を外した。だが、性に合わずにロンドンに戻り、出勤するふりをして町をさ迷い歩くロドニー。
町でロドニーを見かけ、声をかける部下のマーガレット。カフェに転職して副店長になるという陽気なマーガレットを食事に誘うロドニー。その姿を見た近所の噂好きの主婦が息子の嫁に告げ口し、浮気を疑う息子夫婦。父親に意見しようと意気込むが、厳格な父を前にすると息子は何も言えなかった。
3週間も無断欠勤を続けた末に、マーガレットが転職したカフェに行くロドニー。