サトウキビ
サトウキビ
分類
サトウキビ(砂糖黍、甘蔗、学名:Saccharum officinarum)は、イネ科サトウキビ属の植物。砂糖の原料になる。
概要サトウキビ
日本語の別名は甘蔗(かんしゃ、かんしょ)である[1]。ただし、「かんしょ」は「甘藷」(サツマイモ)と同じ読みであり、サトウキビの産地とサツマイモの産地が重複していることもあって、紛らわしいためあまり使われない。中国語では甘蔗(.mw-parser-output .pinyin{font-family:system-ui,"Helvetica Neue","Helvetica","Arial","Arial Unicode MS",sans-serif}.mw-parser-output .jyutping{font-family:"Helvetica Neue","Helvetica","Arial","Arial Unicode MS",sans-serif}?音: g?nzhe ガンジョー)と呼ぶ。
サトウキビから取れる蔗糖(スクロース)を甘蔗糖 (cane sugar) と呼ぶ。
種子島では おうぎ、奄美群島の徳之島では うぎ、沖縄方言では ウージ と呼ばれている。これらはオギ(荻)が訛ったものであるが[2]、オギはイネ科ススキ属であり属が異なる植物である。産地では新聞の見出しなどでは、単に「キビ」と書かれることもある[3](同音のイネ科穀物については「キビ」参照)。
学名「Saccharum officinarum」は「薬局の砂糖」を意味する。製糖が伝播し栽培が行われていた、カナリア諸島(大西洋上のスペイン領)などの15世紀のヨーロッパで、薬局が砂糖を甘味料や薬として扱っていたことに由来する。[4] テンサイと並んで砂糖(蔗糖)の原料となる農作物である。栽培種の起源はニューギニア島とその近くの島々と言われ、世界各地の熱帯、亜熱帯地域で広く栽培される。 茎は竹のように木化し、節がある。茎の節間の内部は竹とは異なり空洞ではなく、糖分を含んだ髄となっている。茎は高さ3 mにもなる。葉はトウモロコシのように幅広い線形である。秋には茎の先端からススキのような穂を出す。 かつてはサトウキビ発祥の地は、現在のニューギニア島あたりで、紀元前6000年前後に現在のインド、さらに東南アジアに広まったといわれている[5]。また、インドを原産とする文献もある[6]。古代サンスクリット語による古文書の記載から、砂糖の精製は北インドが発祥ではないかとされている。 2002年時点の世界生産量は12億9000万トンという膨大な量に及び、世界の農作物で最も多い(小麦は同年5億7000万トン)。ブラジル (28.0%)、インド (21.7%)、中国 (6.4%) の順であるが、地域別に集計するとアジア州 (43.5%)、南アメリカ州、北アメリカ州の順となる[7]。 サトウキビはC4型光合成と呼ばれるタイプの光合成を行う植物であり、栽培には十分な日照と、豊富な水源が必要である。沖縄居酒屋のさとうきびサワー。マドラーは凍結して硬くしたサトウキビである 日本での栽培地域は、南西諸島が特に多く沖縄県と奄美群島(鹿児島県)が大部分を占める。@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}近代史の中では、薩摩藩の蓄財を南西諸島の島々のサトウキビが支えてきたとされる。その歴史から「維新を適えた」との評価も、沖縄・奄美諸島への厳しい支配・徴税との評価もともに見る必要がある。[要出典]黒砂糖#歴史の「黒糖地獄」を参照。 また、大隅諸島などの南九州、四国地方の高知県(黒潮町など)や愛媛県(四国中央市など)でも広く栽培されている。香川県(東かがわ市など)や徳島県(上板町など)では、和三盆という砂糖の原料として竹糖(ちくとう、たけとう)と呼ばれる茎が細いサトウキビが栽培されている。現在の日本国内におけるサトウキビの商業栽培の最北限は、四国から伝播した本州の遠州横須賀地区(静岡県掛川市南西部)とみられるが、昭和30年代までは南房総地域でサトウキビが栽培されていた歴史がある。ここで生産される砂糖は「横須賀白」と称され、第二次世界大戦後に衰退したが、1989年から復活され、年20トン程度つくられている。江戸時代、横須賀藩の武士が身分を隠して四国へ渡り、秘密扱いされていた製糖技術と苗を持ち帰ったのが起源と伝承されている[8]。 ただし、竹糖はシネンセ種 (S. sinense) の為、一般的なオフィシナルム種 (S. officinarum) を使って和三盆と同じ製法で砂糖を製造しても同じ味にはならない。 九州・四国等の温帯地域で栽培されるサトウキビは、製糖の歩留まりが低い為、農研機構は早生系のサトウキビの品種改良を行って、2011年(平成23年)10月31日に本土向けサトウキビ育成品種として「黒海道(くろかいどう)」を発表している[9](品種登録出願番号:第25823号)。 作型は春に植えてその年の冬に収穫する春植え栽培と、夏に植えて翌年の冬に収穫する夏植え栽培、そして収穫後の地下株から再び出る芽から栽培し収穫する株出し栽培がある。海外では植え付けを行なうと、刈り入れまでほとんど人手が入らないが、日本国内では植付けから収穫までの間は、雑草防除や発根を促進し地上部の倒伏を防ぎ養水分の吸収を盛んにする為、1?2回培土を行う。収穫の際は、まず斧に似た農具で生え際で切り倒し、別人が鎌を用いて茎に巻き付いている枯れ葉を除去し先端部分を切り離す(先端部分は苗として利用する)。茎は適当に集めて置いておき、作業の終わり頃に搬送に適した量に結わえ付けて運搬車に載せる。そこまではほとんど人力で行なわれる。台湾・キューバ・ブラジルなど規模の大きい外国の生産地では専用の大型収穫機が使われるが、日本でも小型の収穫機械による収穫が広まっている。 2014年における国別の生産量は以下の通りである[10]。 上位10カ国 - 2014年集計国名単位:万t 茎の髄を生食したり、搾った汁を製糖その他食品化学工業や工業用エタノール製造の原料とするなど多様な利用方法がある。沖縄県などで作られる黒糖のほか、四国地方で作られる白下糖
特徴
産地・栽培「砂糖の歴史」も参照
生産量
ブラジル73,611
インド35,214
中華人民共和国12,561
タイ10,370
パキスタン6,283
メキシコ5,667
コロンビア3,651
オーストラリア3,052
インドネシア2,860
アメリカ合衆国2,760
世界の総生産量188,425
利用